小型風力発電反対!設置の際には住民への理解が必要
大分県の豊後高田市臼野地区で高さ27m計3基の小型風力発電を設置しようとしたところ住民から反対運動が起きました。以下のような内容です。
同地区の7自治会長が施行主体の建築会社(同市)に事業の中止を求め、意見書を提出した。低周波音や景観破壊などを理由とした上で、「声を上げるまで何の説明もなかった。黙っていると次々に建てられそう」と反発する。今後の普及が見込まれている小型風力発電。地元への説明が義務付けられていないことが、住民の不信感を招いている。 同社は工事をストップし、住民説明会を計3回開催した。3月上旬だった完成予定は大幅にずれ込み、8月ごろに2基を稼働させる予定。その際、近くに騒音測定器を設けて、住民の不安に対応するという。残りの1基は年内の設置を目指す。
地区住民によると、数十メートル離れたところに民家があり、羽の風切り音や、低周波音による影響に不安を抱いているそうです。
実際に騒音はどのくらいなのか数値が日本海事協会より出ています。これを見ると8mの高さから25m離れた場所で各風車の騒音は50デシベル前後となっており、わかりやすくいうと「戸建住宅(昼間)」「博物館の館内」の騒音レベルになります。つまり、そんなに大きな問題にはならないと考えられますので、今回の反対運動は住民と建設会社のお互いの小型風力発電への理解のギャップが引き起こした可能性が高いです。
騒音と低周波音の問題については、同サイトの「小型風力発電機の騒音はありますか?」に書かれてありますので参照ください。
小型風力発電は環境アセスメント規制対象外
大型風力発電を行う際には、あらかじめ周辺地域に与える影響を調査し、住民や知事・市町村長から意見を聞きながら、配慮書・方法書・準備書・評価書の4段階の手続きを経て、報告書の作成をして公表する必要があります。この作業に通常3年程度かかります。環境省では期間が半減短縮化ができるように検討しているようです。
事業区分 | 事業規模 | 主な適用法令 |
---|---|---|
法アセス対象 | 1.第1種事業(出力1万kW以上) 2.第2種事業(出力7,500kW以上1万kW未満)のうち法アセスが必要と判定された事業 |
1.環境影響評価法 2.環境影響評価法施行令 3.環境影響評価法施行規則 4.発電所アセス省令 |
条例アセス対象 | 1.第2種事業のうち法アセス手続きが不要とされた事業 2.県市条例等の対象となる事業 |
1.県市条例 等 市ガイドライン 等 |
JWPA環境アセスガイド対象 | 1.法アセス、条例アセスの対象外で、かつ、出力1,000kW未満 | 1.JWPA環境アセスガイド |
規制対象外 | 1.出力1,000kW未満 | 規制なし |
上記でも述べたように、苦情の原因は小型風力発電は環境アセスメント行う規制がなく、導入がしやすいため、説明をせずに建設を始めたという建設会社の住民への配慮不足だった点ではないでしょうか。
小型風力事業参入企業が増えている
上記の環境アセスメントの規制がないことから導入しやすく、売電単価が高いことと、近年太陽光発電の売電単価が下がっていることから小型風力発電へ参入する企業も増えています。
「太陽光が売れにくくなって、風力が注目されている」。発電設備販売代理店(大分市)の関係者は再生可能エネルギーの現状をこう説明する。 昨年1月に電力会社が発電抑制をできるようになって以降、事業用の太陽光発電の新設は採算面などから難しくなっている。一方、風力発電のうち小型(出力20キロワット未満)は固定価格買い取り制度で1キロワット時当たり55円。他の再生エネと比べて最も高い。 小型風力発電は売電条件が良い上に、設置のハードルも低い。国や県の法令によると、景観などの影響を長期間調べる環境アセスメントの実施対象は、総出力7500キロワット以上または造成面積30ヘクタール以上の場合。1基2千~3千キロワットの大型を複数設けない限り抵触せず、普及の追い風になっている。 九州電力によると、風力発電の設置を検討する申し込みは九州内で計68万キロワット(4月末)。昨年3月から4倍以上に増えている。
これから普及が期待される小型風力発電だが、このように住民の近くに設置する場合は、住民から苦情や反対運動をうけると風力発電をストップせざるをえなくなり、風力発電投資をしたのに売電収入が得られなくなります。住民への小型風力発電の認知は浸透していない可能性があるため、導入の際や運転後どのような影響があるのか、万が一の対応法など設置前に説明会を設ける等の配慮をする必要があるでしょう。
(引用:大分県内ニュース)土地付き小型風力発電お役立ちコンテンツ
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