小型風力発電機は台風の影響を受けるのか?
沖縄では台風や暴風で風力発電が停止するだけでなく、風車が倒壊する事故が起きており、また倒壊した風車により近くに設置した太陽光発電パネルもつぶれるという2次被害もでています。
琉球朝日放送
では日本には年間何回台風が来て、どのくらい風速があるのでしょうか?
台風の風速はどのくらいか?
台風は気象情報で黄色い円とその中に赤い円の二つで表現されていますが、黄色の円は強風域で15m/s以上が吹いているか吹く可能性があるところを指し、赤い円は、風速25m/s以上の風が吹いているか吹く可能性があり、暴風域といいます。 また台風には、強さと大きさの階級分けがあります。
階級 最大風速 強い 33m/s(64ノット)以上~44m/s(85ノット)未満 非常に強い 44m/s(85ノット)以上~54m/s(105ノット)未満 猛烈な 54m/s(105ノット)以上
階級 風速15m/s以上の半径 大型(大きい) 500km以上~800km未満 超大型(非常に大きい) 800km以上
台風に関する情報の中では台風の大きさと強さを組み合わせて、「大型で強い台風」のように呼びます。ただし、強風域の半径が500km未満の場合には大きさを表現せず、最大風速が33m/s未満の場合には強さを表現しません。
例えば「強い台風」と発表している場合、その台風は、強風域の半径が500km未満で、中心付近の最大風速は33~43m/sで暴風域を伴っていることを表します。
気象庁
では、1年でどのくらい台風が発生しているかについて、気象庁は2014年から2016年9月の台風の発生数を以下のように公表しています。
年 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年間 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2016 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 7 | 2 | – | – | – | 13 |
2015 | 1 | 1 | 2 | 1 | 2 | 2 | 3 | 4 | 5 | 4 | 1 | 1 | 27 |
2014 | 2 | 1 | 0 | 2 | 0 | 2 | 5 | 1 | 5 | 2 | 1 | 2 | 23 |
上陸数(台風の中心が海岸線に達した場合)
年 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年間 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2016 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 1 | – | – | – | 5 |
2015 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 4 |
2014 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | 4 |
2016年の台風は13回きています。その他の年は20~30回はきており、特に7.8.9月の夏が多いことがわかります。ただ発生数は多いですが、台風の中心が上陸するのは5回未満です。
日本の風の特徴として、夏に太平洋から南西の弱い季節風が吹きます。そのため、夏は風力発電の発電量が下がる傾向があります。これから台風対応風力発電機が実用化されれば、夏の発電量は上がることが期待できます。
従来のプロペラ式の風力発電機は「定格風速」というものがあり、一定の風速を超えた場合、発電量が一定に保たれる仕様になっています。
(定格風速が12m/sで風速12m/sの風が吹いた時の発電量が1,500kWhであるとすると、風速13m/sの風がある場合も発電量は1,500kWhになります。)
また、安全対策のため発電に耐えうる風速の上限値である「カットアウト風速」というものが設けられており、この風速を超えた場合発電が止まるシステムになっています。
(多くの風力発電機で「カットアウト風速:25m/s」と設定されており、それ以上の風が吹いた場合プロペラを水平にすることで受風面積を下げ回転を停止させます。)
台風が上陸すると、カットアウト風速を超える可能性もありますので発電ができずに発電量が下がってしまう傾向があると考えられます。壊れた場合はその分、修理期間中は動かないのでタイムロスが出てしまいます。
カットイン、カットアウト風速について詳しく知りたい方はコチラ↓
小型風力発電の風車は風が吹けば吹くほど、どこまでも発電しますか?
強い台風は風だけでなく飛来物が衝突する可能性もありますし、地盤が弱ければ、根元から倒れる可能性もないとは言い切れませんので、台風が多い日本では保険に入っておく必要があるでしょう。
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