無料で屋根に太陽光パネルが設置できる!?第三者所有モデルとは?
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みなさんは「第三者所有モデル」という言葉はご存知でしょうか。
「第三者所有モデル」とは、個人住宅の屋根などに太陽光発電設備を設置することで、これを資産化するビジネスモデルのこと。もとは米国で始まったものです。
日本国内では2016年4月1日に始まった電力自由化によって、新電力会社が家庭向けに電力を販売できるようになりました。これまで太陽光発電を影で支えてきた再エネ新電力の会社も、電力小売りの全面自由化によって「第三者所有モデル」に新規参入を果たしています。
ここでは、日本でも勢いづきそうな「第三者所有モデル」の概要や仕組みなどについて解説していきます。
第三者所有モデルとは何か?
「第三者所有(Third-Party Ownership)モデル」(頭文字をとって「TPOモデル」とも云う)とは、もとは米国で普及したはじめたビジネスです。米国でこのビジネスに火がついた経緯から見ていきましょう。
アメリカでは普及している
太陽光発電の第三者所有モデルは、アメリカでは2008年ごろには急速に増えはじめています。そして、2014年には米国住宅用太陽光発電市場の72%を占めるまでに急成長を遂げ、産業用メガソーラーの市場規模も上回るようになりました。
じつは、これだけ勢いがあったTPOモデルですが、「来年(2017年)には第三者所有モデルが(住宅用太陽光発電市場シェアの)45%までに下がる」との予測もあり、さらに「2020年には27%までに落ちる」とまで言われています(米クリーンエネルギーリサーチ・コンサルティング会社のGTM Research 発表)。
この突然の急落には、太陽光発電システムの価格が下がり第三者所有モデルのお得感が感じられなくなったことや、対抗勢力を支える低金利ローンを提供する金融機関が増えてきたことが、おもな原因として挙げられています。
ただし、第三者所有モデルは米国の再生可能エネルギー市場を大きく前進させたことは間違いありません。 この急落の事実を踏まえながら、第三者所有モデルの発展の様子を引き続き解説していきます。
ところで、米国の第三者所有モデルの代表選手として、ソーラーシティ社の名を挙げない人はいません。第三者所有モデルの成長について話す時、ソーラーシティ社の足跡をたどる作業は欠かせないものだからです。
ソーラーシティ社は2006年に創業者イーロン・マスクによって設立した太陽光発電会社です。イーロン・マスク氏というと、今では当たり前のネット上の決済サービスを発展させたPayPalや電気自動車のテスラモーターズ、宇宙輸送のSpaceXなどを起業したことで有名ですが、地道に太陽光発電事業を手がけていたことは意外と知られていないようです。
同社は、2014年に米国住宅用太陽光発電市場の72%シェアを握り、設置容量は890MWを達成するなど、創業以来第三者所有モデルで、破竹の勢いの成長を続けていました。ソーラーシティ社に代表される第三者所有モデルの仕組みとはどんなものなのでしょう。
どのような仕組みなのか
第三者所有モデルの仕組みは非常にシンプルです。
ソーラーシティ社を代表とする第三者所有モデルの売りは、まず導入にコストが掛かる太陽光発電を無料で設置できることにあります。そして、デベロッパーは従来の電力会社の電気料金単価より低い価格で電力を提供します。(「TED Talks」なかで創業者のイーロン・マスク氏は、この料金のことを「リース料」と言っています)。
電気料金の単価が高い地域であれば、必然的に経済利益が生じます。つまり、太陽光発電システムを利用者宅の屋根に無料で設置し、設置前より安価な電力を供給するため電気料金が下がります。契約期間は20年で、期間終了後は無償でシステムを引き継げます。
もちろん、太陽光発電の第三者所有モデルは、自費で自宅の屋根に太陽光パネルを設置した場合のように大幅なコストダウンはしません。ただし、導入に当たって試算した程度には、確実に電気代は下がります。ソーラーシティ社が、料金単価が12セントや13セント以上の州を中心に事業展開しているのはこのためです(米国は日本と違い州や地域によって、電気料金単価の差が大きい)。
また、第三者所有モデルで発電した電力は自家消費しますが、余剰電力は固定価格買取制度(FIT)で売電し、不足分は契約している電力会社やPPSなどから購入します。したがって、今話題の再エネ比率にも貢献してくれます。
問題は資金のほうですが、もちろん、ソーラーシティ社は銀行や企業など出資者から集めた資金で、太陽光発電プランを実現しています。Google社も重要なパートナーの1社です。
これまでの太陽光発電と第三者所有モデルの違いは、やはり初期費用が掛からないことが挙げられます。
太陽光発電のシステムはむかしに比べれば確かに安くなりました。それでも住宅に搭載する設備の中では、今でも高額な部類に入ります。
確かに、細かく試算すれば、オーナー所有の太陽光システムのほうがコストメリットが生まれるのかも知れません。ただ、そうした試算が可能なのは資金に余裕のある人たちです。そのため、太陽光パネルの設置に高額な導入費用がかからないというのは大きなメリットだと言えるでしょう。
次に、電気料金にまつわる誤解です。
第三者所有モデルに使われているのは純正の太陽光発電システムですが、第三者所有モデルを導入して得られる電気料金は、従来の太陽光発電の料金ではありません。
というのも、普通なら余剰電力を売って得られる売電収入は事業者のものです。なぜなら、第三者所有モデルでは、太陽光システムの所有権は契約期間が終了するまで事業者のものだからです(その代わり、メンテナンス費用も契約期間中は事業者負担です)。
第三者所有モデルを使用している期間は、もちろん電気料金は下がるのですが、下がるとしても従来の太陽光発電を設置した時の金額ではなく、電気を購入する電気代が下がるということだけは理解しておきましょう。
メリット、デメリット
次に太陽光発電の第三者所有モデルのメリット・デメリットについて簡単にまとめておきます。
メリット
・初期費用をかけず太陽光発電を導入できる
何度も出てくることですが、初期費用を掛けずに太陽光発電を導入できることは、やはり第三者所有モデルのいちばんのメリットです。
・自家消費を促し、系統に負担を与えない方向で再エネが導入できる
屋根上で発電した電気は自家消費が基本です。このため、系統に負担を与えない方向で、再エネ比率を高めていけます。意外に見落としがちですが、これもメリットとして外せない部分です。
デメリット
・使用が長期に渡る第三者所有モデルはどうしても割高になる場面がでてくる
太陽光発電のシステム価格が下がり、ローンサービスが今より拡充されると第三者所有モデルが割高になる場面がどうしても出て来ます。TPOモデルが急成長した米国では、そのしっぺ返しが今来ています。
・こだわりユーザーの増加
太陽光発電のユーザーは、システムのテクノロジーや効率といった商品特徴を比較検討したいという方が増えてきています。これは第三者所有モデルのユーザーにも言えることです。特に第三者所有モデルのソーラーシステム・プロバイダーは、太陽光発電のタイプ、ブランドなど、消費者には選択をあまり与えない傾向がありましたが、こだわりユーザーから煙たがられます。
日本でも第三者所有モデルは導入できるのか
最後に国内初の第三者所有モデルを立ち上げたばかりの日本エコシステムの「じぶん電力」と愛媛の「坊っちゃん電力」を紹介します。米国とは違うカタチで、スタートを切った日本の第三者所有モデルですが、今後どういうカタチで受け入れられていくのでしょうか。
日本エコシステムの「じぶん電力」
日本エコシステムは、太陽光発電の黎明期にシャープの現場などでパネルの取りつけを行なうなど、日本の太陽光発電の初期から業界を支えてきた会社です。
そんな日本エコシステムが「じぶん電力」として国内初の第三者所有モデルに参入したことは決して珍しい話ではありません。というのも、グリーン電力制度をいち早く取り入れるなど、この会社には常に新しい分野にも目を光らせているところがあるからです。
また、技術的なこだわりは人一倍強い会社ですから、同社の「じぶん電力」は家庭の屋根から直接電力を供給する仕組みとなっており、そのようなモデルとしては国内初の取り組みとなっています。名前を「じぶん電力」としたのもそこから来ています。
「FIT電気」がどれだけ環境に貢献しているのか分かり難くなっていますが、「じぶん電力」はまさにその答えを明確に付与しています。つまり、「じぶん電力」は、電気代で知らないうちに徴収されている賦課金で賄われている「FIT電気」などではなく、きちんと混じり気のない、自宅屋根で発電した電気で賄われているという主張(表現)です。
日本では電力自由化によってオープンになった第三者所有モデルですが、第三者所有モデルが損か得かということではなく、バックグラウンドに根付く価値観や哲学がきちんと存在する必要があるということを「じぶん電力」は伝えているのかも知れません。
なお、資金調達については、すべて親会社の日本コムシスから受けられるようになっており、資金的には十分余裕があるようですから、「じぶん電力」とタッグを組んでいるソーラーフロンティアは心強いのではないでしょうか。
愛媛発の第三者所有モデルを全国に広げる「坊っちゃん電力」とは
「知名度は低い。電気代はもっと低い。」という、PPSらしからぬサブタイトルを持つのが愛媛の「坊っちゃん電力」です。
創業は電力自由化前年の2015年5月。予約を集めるため戸別訪問をしていた創業当初は、なんとホームページも開設していなかったようです。もちろん、現在は東京、大阪、岡山に支店を出し、コールセンターも二箇所構えています。
創業者の木村賢太氏は40代半ばの若手社長ですが、太陽光システム製造販売を手がけるDenkasinki(デンカシンキ)の社長も兼務しており、愛媛発の第三者所有モデルはDenkasinkiと坊っちゃん電力のコラボで「フリーソーラープロジェクト」と銘打っています。つまり、本プロジェクトでは、Denkasinkiのオリジナル製品の拡販も見込んでいるわけです。
坊っちゃん電力とDenkasinkの「フリーソーラープロジェクト」は、初年度の導入件数を250件と目標を組み、続く2017年度には1200件程度までに申し込みを増やす計画で目下進行中です。地元密着型の小さな会社ですが、県外にも顧客を掴んでいますので、決して無理な目標ではないでしょう。
当面は愛媛県を中心に営業活動を行うことでしょうが、隙あらば中国電力や関西電力管内にも販路を拡げようと狙う勢いを感じる会社です。
フリーソーラープロジェクト メガ発での販売実績
◎第1弾フリーソーラープロジェクト
販売期間:2017年1月24日~1月31日
ご契約金額合計:33,834,100円
◎第2弾フリーソーラープロジェクト
販売期間:2017年2月09日~2月28日
ご契約金額合計:73,038,963円
◎第3弾フリーソーラープロジェクト
販売期間:2017年3月01日~3月31日
ご契約金額合計:65,104,364円
合計額:171,977,427円
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