太陽光発電ではどんな故障、異常、事故がおこるのか?
太陽光発電投資は、20年という長期の付き合いとなりますので、この期間に安定した発電量と売電収入を得るためには故障やトラブルへの対応は必須事項となってきます。
この記事では、太陽光パネルやパワーコンディショナー、その周辺機器や接続機器の故障、異常、そして事故についてまとめています。
特にに野立ての太陽光発電設備について焦点を当てています。
もっともよくある故障:パネルの一部が割れる
太陽光パネルは、ある程度、頑丈に作られているとは言え、衝撃に決して強いとは言えません。
たとえば子どもの投げた石や強風で飛ばされてきた石があたった、運搬中や設置中に何かにぶつかったなど、特別なことなどなくても、パネルの割れは起こりえます。
実際に起こった事例をいくつかご紹介します。
野立ての太陽光発電の場合、山の中や人気のない場所に設置されることも多いため、
太陽光パネルやその土台となる架台には野生動物が衝突することがあります。
シカやキツネなど地上生物はもちろん、鳥が衝突することもあり、鳥の場合はくわえてきた物をパネルに落下させて損傷させるという事例もあるようです。
特にカラスは太陽光パネルに衝突するだけではなく、「遊びの一種として太陽光パネルに石を落としている」と、宇都宮大学 農学部の杉田昭栄教授は説明していました。
――そもそも、カラスはなぜ、太陽光パネルの上に石を落すのか。
杉田 遊びの一つだと考えられる。石に限らず、ゴルフボールなど、いろいろなものを咥えて飛び、上空から落とすといった遊びをすることは、よく知られている。
出典:http://techon.nikkeibp.co.jp/article/FEATURE/20140911/375933/
見た目で分かるほど傷がついている場合は、パネルがうっすらとした茶色やにごった色に変色するので目視で分かることも多いです。
変色する理由としては、発電した熱がその部分をうまく通れず、熱がたまってしまうからです。この熱が溜まった部分のことを「ホットスポット」と言います。
ホットスポットは90度前後と高温となっており、赤外線カメラで見ると赤く映るため目視では分からないような故障でも発見することができます。
他にも野生動物に、パネルや機器を接続するケーブルを食いちぎられる被害例もありますので、フェンスなどを設置して入って来れないようにする必要があります。
パワーコンディショナーの故障:発電されない
パワーコンディショナー(パワコン)は太陽光パネルで作られた直流の電気を交流に変換し、系統へ売電できるようにするものです。
太陽光パネルとともに太陽光発電設備には必須の機器ですが、最も故障が多いと言われるのが、このパワコンです。
パワコンの一般的な寿命は10年程度と言われており、10年以上も故障なく動くこともありますが、早ければ5年ぐらいで故障することあります。
故障するれば、その期間は太陽光発電システム全体の発電量が低下し、修理または交換の費用もかかりますので、太陽光発電投資としては大きな損失となります。
修理には数万円~数十万円はかかることが多いため、ムダな出費を出さないためにも日頃からメンテナンスを行うことをおすすめします。
設置時のミス
架台のぐらつき
太陽光発電の架台は、目に見える以上にしっかりと地面に固定されています。
それは、パネルは傾斜をつけるので、風の影響が大きいからです。設置工事の際には、地盤の調査を行い、ぐらつかないように設計してから工事が始まります。
設置時にこの調査があまいと、架台がぐらついたり、強風で揺らぎやすくなります。
地盤は書類上の条件が同じように見えていても、じっさいに現場を見てみると千差万別です。そのため、現地調査を必ず行い、時間をかけて丁寧にチェックしてくれるのが、良い設置業者と言えるでしょう。
スネイルトレイル
出典:http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/feature/15/302961/041100017/?P=2
結晶シリコン系の太陽光パネルのみで発生するのが、「スネイルトレイル」という現象です。
目視では見つけにくい小さな損傷(マイクロクラック)などが原因で、カタツムリがはった跡のような模様が発生します。
スネイルトレイルが発生したからと言ってすぐに発電量が下がるというわけではないため、現状ではメーカー保証の対象にもなりません。 しかし、トリナ・ソーラーの分析によると、発電量が完全に落ちないとは言い切れないとして、経過を観察していく必要があるとしています。
スネイルトレイルの原因となるマイクロクラックは設置時や運搬時、太陽光パネル保管時に重い物を載せたことで発生することがあると言われています。
これに関しては、使用者側では対処しづらい部分であるため、信頼できる業者に任せるしかないでしょう。
太陽光発電システムからの火災
出典:消防庁『太陽光発電システム火災と消防活動における安全対策』
太陽光発電システムは様々な要因によって、漏電やショートすることで火災が起こることもあります。
出火や火災が起こる要因としては以下のことが考えられます。
- 経年劣化、初期不良、取り付け不良による出火
- パネルと屋根の間に落ち葉や枝などが溜まっていた、鳥が巣を作っていた
- 鳥などの小動物がケーブルをかじった
- 配線端部の絶縁不良による出火
- 配線がモジュール架台等の金属部に触れたことによる放電
施行不良など人為的なミスによる火災もありますが、太陽光発電システムを定期的にメンテナンスを行っておけば、防げることも少なくないため、メンテナンスは非常に重要です。
太陽光発電のトラブル:盗難
事故や故障ではないですが、他にも太陽光発電所のトラブルとしては、盗難があります。
太陽光発電所で盗まれるのは圧倒的にケーブルです
。
ケーブルに使われている銅は換金することができ、運びやすいため、狙われるようです。
過去に太陽光パネルが盗まれた事件もいくつかありますが、パネルは1枚20キロぐらいと運ぶのが大変なため、ケーブルが狙われる傾向です。
対策としては、フェンスや防犯カメラを設置するのがおすすめでしょう。
まとめ
今回は太陽光発電所に関する故障やトラブルについてまとめました。
太陽光発電は何十年単位の長い投資ですから、トラブルに一度も遭わないということはまずないでしょう。
設計・工事だけでなく、日頃のメンテナンスや、フォローもしっかりしている業者を選ぶことで、修理費用などムダな出費を抑えることができ、ランニングコストを下げるポイントなります。