雑草対策

雑草対策

産業用太陽光発電やメガソーラーを野立てで設置した場合、雑草を放置しておくと発電量に影響し、当初予定していた効果を得られない場合があります。
そのため、何らかの除草対策が必要になりますし、その費用も当初から見越しておかなければなりません。

今回は太陽光発電設備の雑草対策について解説していきます。

雑草を放置しておくとどうなるのか?

産業用の太陽光発電を空き地や休遊地などに設置した場合にも、気になるのは雑草対策です。

産業用太陽光発電では伸びた雑草の影で発電ロスを生じる

通常、地面に舗装等を施していない敷地に太陽光発電設備を設置すると、架台の高さぐらいか、あるいはそれを越す程度まで雑草が育ちます。
このように雑草が伸び放題にしておくと、伸びた雑草が原因でパネルに影を落としてしまいます。
太陽光発電では、雑草でできた影そのもので発電ロスを生じます。

太陽光発電は、曇天でも発電量が少なくなります。雲だけではありません。
家庭用のソーラーパネルでは、ビルや隣家、大きく成長した木々、電柱やアンテナなど生じる影でも発電量が変わってきます。
野立て設置が多い産業用の太陽光発電では、それが雑草なのです。

雑草程度の影が、太陽光発電ではなぜ発電ロスとなってしまうのでしょうか。
じつは、太陽発電で一般的な結晶シリコン系太陽電池では、太陽電池(セル)は直列で繋がっています。
そのため、影がかかる部分以外にも発電しない箇所が広がってしまうのです。

システムトラブルを避けるためにも雑草対策は重要

最近の太陽光発電のモジュールには、このような影による発電ロスを防ぐためにバイパスダイオードが備わっています。

結晶シリコン系パネルは、先ほども出たように、すべてのセルを直列で接続しています。
そして、影などの不具合によって発電しないセルが出ると、太陽光パネル全体に影響し、モジュール全体の出力に影響を与えてしまいます。
バイパスダイオードは、こうしたパネルの構造上の弱点を補うために使われています。

しかし、バイパスダイオードが機能していたとしても、影が恒常的に生じる場合は、クラスタに発熱の逃げ場がなくなり、その結果としてセルが破損してしまう場合があります(これをホットスポットといいます)。
そのため、バイパスダイオードを使った機種でも、システムトラブルを避けるために、雑草対策しっかり行うことが大事なのです。

なお、太陽光パネルにはCIS系パネルのように、影になったところだけ発電し難くなる太陽電池の機種もあります。ただ、除草対策が必要かどうかは敷地の状況を見ながらの判断になります)

対策にはどんな方法があるのか紹介

雑草対策の基本は早いうちに処理してしまうことです。
ただ、人手をそれほど投入できない場合もありますから、例えば防草シートや舗装と言った、あまり人手に頼らない方法で雑草対策を行わなければならないケースもあるでしょう。

雑草対策の方法には主に以下の方法がありますが、それぞれの特徴やコストについて見ていきましょう。

草刈り機を使った人の手による除草

草刈り機を使った除草は、作業コストが1平米あたり200円~300円程度で、除草の処分費用が1平米あたり200円と言われています。
コストはいちばん抑えられるかもしれませんが、却ってコスト高になる可能性もあります。

たとえば、作業中はケーブルの切断や、草刈り機からの飛び石によるパネルの破損などにも注意しなければいけません。
また、年2回で組んでいても、春先や秋口にかけては毎月出動しなければならない時もあります。
こうした目に見えない費用がかさむと、人の手による除草は意外と高くつくかもしれません。

除草剤散布

自分で行うこともできるため、費用は最安値となるのが除草剤散布です。
ただし、除草剤散布を行う場合は、事前に環境評価をする必要があり、土壌・人体・設備などへの影響はしっかり考慮しなければいけません。
特に近隣に井戸や農地がある場合は散布した除草剤が飛散しないように注意しましょう。
コストは平米あたり100円~200円程度になりますが、当然ながら定期的な散布が必要です。

防草シート

防草シートは太陽光発電の設置時に行うもので、太陽光発電システムの工事見積もりに含まれている場合もあります。
コストは1平米あたり400円から2000円程度が相場で、防草シートによって値開きがあります(大体1500円ぐらいで見ておけば間違いないかもしれません)。

粗悪な商品はあまり保ちも良くなく、シートを破って雑草が伸びることもあるため、業者が勧めるレベルのシートを選ぶと良いでしょう。
なお、防草シートと砂利敷きを同時に行うケースも多い方法です。

砂利

砂利敷きも除草対策ではよく使われる方法です。
住宅の外構工事では除草剤の散布や防草シートとの併用が一般的ですが、野点の更地なら砂利敷きだけでも効果が見込めます。
また、沈み込んだ砂利を完全撤去するのは難しいため、更地返還が求められる借地契約の土地では気をつけなければなりません。

費用は、草刈り、整地、残土処理費を含めると平米あたり2000円からとなりますが、幅があるため、個別見積もりはやはり必要でしょう。
なお、砂利は時間経過とともに土と混ざり除草効果が弱まります。特に歩行者や車で走行する土地だとだと尚更です。その場合は、定期的な砂利の継ぎ足しを行います。

コンクリート舗装

コンクリート舗装はアスファルト舗装より丈夫で除草対策としては最高の方法になりますが、借地の場合は現状復帰させなくてはならないため、土地によっては勧められない場合もあります。
コストは平米あたり7000円〜10000円で、整地に費用がかかると別途費用がかかります。

種子の吹き付け

クローバーなどの種子を吹き付けて、雑草より優位に繁殖させるやり方。
育ちに当たり外れがあるため、専門家に敷地を見てもらう必要があります。

費用はやや高めです。 クローバーに関しては1平米あたり100円からなのですが、潅水設備、雑草管理費用が必要など、その他の費用がかかってきますので個別に見積もりを取ってから決めた方が良いでしょう。

防草土

防草土とは雑草が生え難い土のことで、これで敷地を覆う方法を言います。コストは概ね高価となりますが、除草効果の方も確実性は低くなります。
もう少し割安になってから、検討してみるべき方法です。

まとめ

野立てで太陽光発電を計画する際、除草対策ははじめから考慮しなければならないものです。
敷地の与件に応じて対策は変わってきますが、初めての方は造園業者などの専門家に相談のうえ、決めていくことをお勧めします。

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