太陽光発電の買取制度が終了?!というニュースに関しまして
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昨日、2019年6月12日に報道各社から出た「太陽光発電の買取制度終了」ニュースに関しまして、現在発表されている内容は2019年度:14円+税/kWhだった10kW以上の太陽光発電の買取価格が、来年度以降は入札によって買取価格を決めることを検討しているという内容です。既存の稼働中太陽光発電所、認定取得済みで未可動の太陽光発電所には影響がありません。
日本経済新聞に詳細が記載されていましたので、要点をまとめますと
- 新たな競争入札制度を導入してコスト低減を進めるために2020年に関連法を改正する
- 50~100キロワット超の中・大規模の太陽光や風力の事業者には、自ら販売先を見つけたり、電力卸市場で売ったりすることを求める。価格は取引先との交渉や市場の状況で変わることになる。
- 入札で基準価格を決定、一定の事業者を認定する。認定事業者は卸市場で電力価格が急落し基準価格を下回った場合は国がその分を補填する
- 小規模の事業用太陽光・家庭用太陽光では買取制度自体は残すが、全量買取でなく自家消費後の余剰買取となる
(引用:日本経済新聞「太陽光発電の買い取り終了へ 入札制度で価格競争促す」)
この”50~100キロワット超の中・大規模の太陽光”が最大定格出力かパネル容量かは不明ですが、最大定格出力だった場合は低圧太陽光発電所は全てこれに該当しなくなるため、全量買取なしの余剰売電のみとなります。
逆にこれがパネル容量の場合は、自分で売電先を見つける、もしくは電力卸市場での売電となると書かれています。
参考までに卸電力市場での売電を行う場合、2019年6月13日現在の取引価格をみてみますと
- 前日24時間平均:8.53円/kWh
- 前日8:00-22:00平均:9.28円/kWh
- 前日13:00-16:00平均:9.91円/kWh
(参照:JEPX「スポット取引インデックス情報」)
となっています。取引価格は受給状況で上下するため年間を通じて上記価格が保証されるものではありません。
買取制度の現状と今後の予想
今回のニュースではSNS上で多くの方が、稼働済み・認定取得済み未稼働太陽光発電も現在の買取価格での売電が終了すると認識されている方が多く見られましたが、2020年度以降の太陽光発電を対象としておりますのでお間違えなく。
太陽光発電の全量買取案件について、状況別に整理させていただきますのでご確認ください。
【現時点ですでに売電を開始している場合】
→売電開始時から20年間、現在売電している価格が継続。
【事業認定を取得しているが、売電を開始していない案件】
→売電開始時から20年間、FIT認定取得時の固定価格が継続。
※売電開始時期により買取期間が変動する可能性あり。(3年ルール)
【今後、事業認定を取得予定の案件】
→今年度内に取得した場合、売電開始時から20年間、FIT認定取得時の固定価格が継続。 ※売電開始時期により買取期間が変動する可能性あり。(3年ルール)
【今年度以降に取得する場合】
今年度以降に認定取得する場合、固定価格制度が適用されない可能性あり。
まとめ
現行の固定価格買取制度の問題点の一つであった「国民負担の増大 = 太陽光発電事業をおこなっていない国民との不公平」を是正するするための更なる制度改正ということになります。
政府は2012年から「再生可能エネルギーによる発電コストが既存の電力のコスト(電力料金、発電コスト等)と同等かそれより安価になる」事を目標に固定買取価格制度の導入を行いました。
元々2030年の目標価格としていた8.5円/kWhは2018年11月ごろには5年前倒しして達成することが提唱されており、今回の報道どおりの改正が実施されるとすると、これを更に前倒しした形となります。
(引用:経済産業省 資源エネルギー庁「太陽光発電について」現行の価格目標より)
政府は依然として再生可能エネルギーを今後の主力電源として拡大するという考えに変更は無いようで、固定価格買取制度を終了したとしても、「卸市場で電力価格が急落し基準価格を下回った場合は国がその分を補填する」という計画でいるようです。