稼働済み太陽光発電設備のパネル増設・過積載が禁止になる?!
※追記2017年8月31日に公布・施行された新ルールによって、認定取得後のパネル容量変更に新たな制限が設けられました。
- 増設・・・「3kW未満かつ3%未満」
- 減少・・・「20%未満」
パネル容量の増減が上記の範囲を超える場合、売電単価が当該年度のものに変更されます。
2017年1月30日の「日経テクノロジーonline」にこんな記事が掲載されていました。
経済産業省・資源エネルギー庁は1月25日、新エネルギー小委員会を開催し、固定価格買取制度(FIT)の改正に向けた現状の報告と今後の課題などに関して討議した。そのなかで、パワーコンディショナー(PCS)の定格出力を上回る太陽光パネル容量を設置する、いわゆる「過積載」「積み増し」への対応について議論した。
経産省・事務局が問題視したのは、稼働済みの太陽光発電所にパワコンの定格出力を変えずにパネルを積み増す、事後的な過積載のケース。この場合、「パネルの積み増し」は軽微変更に当たり、認定取得時の買取価格(売電価格)を維持したまま発電量を増やせることになる。
・・・・・・これに対し、委員からは、「過積載自体は、設備を効率的に利用する効果もあり、好ましい面もある。だが、稼働後に価格の下がったパネルを積み増すのは倫理的に問題があり、規制の対象にすべき」、「FITのルール見直しや改正は、後手に回っていることが多く、過積載への増設に関してもそうなりつつある」、「そもそも過度な過積載にはロスが多く、技術的には合理性を欠く」といった、何らかの規制に前向きな発言が目立った。
引用:日経テクノロジーonline「太陽光パネルの事後的「過積載」を問題視、エネ庁の審議会で」
今回の新エネルギー小委員会では、新設太陽光設備の「過積載」ではなく、既設太陽光設備の事後的な「増設による過積載」が問題視されています。
固定買取価格(売電価格)はもともと太陽光設備システムの導入費用を基に算出されており、制度が始まった当初から広く普及するとともに、その価格は年々下落しています。
このことから、40円・36円の太陽光発電事業者が事後的にパネルを増設する場合、高い買取価格(売電価格)を維持しつつ安価になったパネルを設置することが出来るため、倫理的に問題があるとしています。
過積載について
太陽光発電の設備認定における「発電出力」とは、太陽光パネルの合計出力とパワコンの定格出力のいずれか低い方が登録されます。
この「発電出力」を変更する場合は、変更認定をおこなう必要があり、買取価格(売電価格)は変更した年度の価格へ変更されることになります。
例)
パネル:50kW / パワコン:49.5kW / FIT:36円
を
パネル:75kW / パワコン:80kW へパネル、パワコンのいずれも増設した場合 ⇒ FIT:24円(2016年度)
ただ、パワコンの増設はおこなわず、パネルの増設のみをおこなった下記ケースでは
パネル:75kW / パワコン:49.5kW パネルのみ増設した場合 ⇒ FIT:36円
と、固定価格は変更されません。
パネル増設による「過積載」のメリット
では、パネルのみを増設(過積載)することによって、どんなメリットがあるのでしょうか?
経済産業省 資源エネルギー庁の資料を見てみましょう。
出典:経済産業省 資源エネルギー庁「調達価格等算定委員会(第17回)‐配布資料」
増設の規模に拠っては上記のように、ピークカットでのロス分よりも、その他の時間帯での発電量の増加率が大きいため設備利用率が改善します。
- 40円、36円、32円案件の買取価格(売電価格)を維持したまま、安価になったパネルを増設
- 発電量が増加することにより設備利用率が引き上がる↑
- 投資効果の増大↑
特に日射量が少ない場所に設置した場合、日中でもパワーコンディショナーのピークカット(パワコンの限界値)に達していない場合があり、その場合はパネルの増設分がほぼ発電量に上乗せされるケースもあります。
更に詳しく過積載を知りたい場合はこちら
パワコンよりも容量の多いパネルを設置する「過積載」太陽光発電とは?
実際のパネル増設した場合のシミュレーションは?
「経済産業省 資源エネルギー庁」の資料内<過積載設備と非過積載設備の比較>では、36円太陽光発電所のパネルを50kW⇒75kWに増設したケースが記載されています。
出典:経済産業省 資源エネルギー庁「改正FIT法施行に向けて」
非過積載 | 過積載 | 増加数 | 向上率 | |
---|---|---|---|---|
パネル | 50kW | 75kW | 25kW | 50%増 |
発電量 | 58,692kWh/年 | 89,352kWh/年 | 30,660kWh/年 | 52%増 |
売電収入 | 2,112,912円/年 | 3,216,672円/年 |
1,103,760円/年 | 52%増 |
設備利用率 | 13.4% | 20.4% | 7%増 |
このように、パネル増設分がほぼ発電量に反映し、売電収入もそれに比例して増加しています。
また、仮に増加分の3割をピークカットでロスしたと考えても、21,462kWhの発電量増加、927,158円の売電収入増加になります。
増設にかかる費用
発電所の設置場所や条件は一つ一つ異なるため、下記は一例ですがこの様な費用が必要です。
部材代 | 太陽光パネル |
---|---|
架台 | |
延長パネル | |
工事費用 | パネル設置工事 |
配線工事 | |
その他 | 引込線の張替え |
ブレーカーの交換費用 | |
足場代 | |
荷場代 | |
部材送料 | |
人件費 |
また、下記経済産業省の資料から、2017年度における1kWあたりのシステム費用(太陽光パネル、パワコン、架台、工事費を含む)を30万円とすると、25kWの増設でおよそ750万円となります。
出典:経済産業省 資源エネルギー庁「最近の再生可能エネルギー市場の動向について」
このことから、上記のシミュレーション通りの発電増加で増設費用は7年で回収、発電量の3割がピークカットされるとしても8年程度で回収ができることになり、その後は増設分が残存買取期間上乗せされることになります。
パネル増設で注意したい点
- 設備認定の軽微変更申請または変更認定申請が必要
- 売電期間は「既設の太陽光パネルで売電開始した日から」計算
- パワコンのメーカー保証対象を確認する
すでに設置しているパネルと全く同じパネル型式で増設→軽微変更申請
設置しているパネルと異なるパネル型式で増設→変更認定申請
売電単価に変更がない増設の場合、売電期間は「既設の太陽光パネルで売電開始した日から」10年間(10kW未満)または20年間(10kW以上)です。
増設しても売電期間は延長されないことに注意して下さい。残りの売電期間を考えると、できるだけ早く増設したほうがお得です。
電流値または電圧値がパワコンの許容範囲を超えると、メーカー保証対象外となります。他にも保証対象外条件を確認しておく必要があります。
冒頭の日経onlineで取り上げられたように、太陽光発電に対する規制は強化される一方ですので、パネル増設による過積載も今後規制される可能性は非常に高いと考えられます。
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