パワコンよりも容量の多いパネルを設置する「過積載」太陽光発電とは?
メガ発で販売している物件でも最近では「過積載」のものが増えてきていますが、「過積載って何?」「どんなメリットがあるの?」と疑問をお持ちの方も多いかと思います。ここでは、そもそも過積載とは何なのか、どんなメリットがあるのかなど、まとめていきます。
まずは、「過積載」が一体何なのか、解説していきます。
目次
過積載とは何か?
「過積載」を簡単に説明すると『パネル容量70kW、パワコン容量49.5kW』のように、パワコン(パワーコンディショナー)よりも大きな容量のパネルを設置することを言います。パワーコンディショナーよりも大きな容量のパネルを設置することで、パワコンの容量を変えずに発電量を増加させることができます。
パネル容量が50kWを超えても低圧
「でも、パネル容量を70kWにすると高圧になるのでは?」と疑問に思った方もいらっしゃるでしょう。
太陽光発電システムは出力の大きさによって50kW未満の「低圧」と50kW以上の「高圧」に分けられます。(正確には2000kW以上の「特別高圧」というのもあります。)
そして太陽光発電システムの出力は太陽光パネルとパワーコンディショナーの容量(出力)のいずれか小さい方が採用されます。
つまり、パワコン49.5kWに対して50kW以上のパネルを設置したとしても、太陽光発電システムの規模は49.5kWとなるため、過積載の場合でも「低圧」区分になるということです。
メガ発でも70kWや80kWの過積載物件を多く掲載しておりますが、上記の理由から「低圧」としているわけです。
最適容量までパネル容量を積み増すことで発電量がアップ!
過積載はパワーコンディショナーよりも大きな容量のパネルを設置することだというのはお分かり頂けたと思います。しかし、ここでもう1つ疑問が出てきます。
それは、『結局パワコン容量が49.5kWだから意味ないんじゃないの?』というものです。
確かにパネルの容量だけ増やしてもパワーコンディショナーの容量が一緒ならば、発電量は変わらないように感じますね。 では、なぜ過積載すると発電量がアップするのか解説していきましょう。
まずは下の画像をご覧ください。経済産業省の資料ではグラフを用いて発電量が増える仕組みを示しています。
(出典:経済産業省 資源エネルギー庁「調達価格等算定委員会(第17回)‐配布資料より」)
グラフでは横軸が時間、縦軸が発電量となっています。12時付近に発電量が最大になっていることが分かるかと思います。
青線で描かれているのがパネルとパワーコンディショナーの容量が同じだった場合の発電量です。
次に、赤線で描かれているのがパネルだけを増やした「過積載」時の発電量を示しています。
黄色線で描かれてるのは赤線の場合よりも更にパネルを積み増したケースです。
赤線の過積載のケースでは、ピーク時にパワーコンディショナーの容量を超えてしまうのでピークカットされているものの、通常の青線と比べて斜線部分の発電量が増加していることが分かります。 ちなみに、ピークカットされた部分は売電することができません。
パワーコンディショナーの容量が同じだとピーク時の発電量は変わりませんが、パネルを積み増すことでパワーコンディショナーの容量をあまり使えていない時間帯の発電量を増加させることができるため、1日トータルの発電量が増加することになります。
つまり発電量の全体的な底上げをするというイメージでしょう。
パネルの増やし過ぎには注意
上のグラフの黄色線は赤線よりもパネルを増やした場合ですが、発電量は赤線とほとんど変わらないものの、ピーク時のロス部分だけが大きくなっています。
パネルを増やし過ぎても1日トータルの発電量がそんなに変わらないのであれば、パネル設置にかかった費用が無駄になるだけですので、パネルは積めるだけ積めばいい!というわけではなく、費用対効果を考え最適な容量を設置することが重要です。
パネル過積載の場合の保証はどうなる?
パネル過積載でもメーカー保証の対象になるのかどうか、気になる方も多いかと思います。
過積載の場合、保証されるかどうかはどのぐらいパネルを積むかにもよりますし、一様に基準が決まっているわけではなく各メーカーによっても異なります。 ここでは保証対象となるケースを一部紹介しておきます。
カナディアンソーラーでは179%まで積載できる
例えばカナディアンソーラーのシステム保証ですと、最高で過積載率179.7%まで可能となっています。 つまり、パワーコンディショナー容量に対して1.797倍までパネルを設置することができるということですね。パワーコンディショナーによっても保証される過積載率が違う点は注意が必要です。
製造メーカー 品番 相数 定格出力 最大接続枚数(総最大出力) 過積載率 デルタ電子 RPI H6J(P) 単相 5.9kW 40枚(10.60kW) 179.7% 田淵電機 EPU-T99P5-SFL 三相 9.9kW 65枚(17.225kW) 173.9% オムロン CSR55G1B 単相 5.5kW 36枚(9.54kW) 173.5% 田淵電機 EPC-S55MP3-L 単相 5.5kW 33枚(8.745kW) 159% 田淵電機 EPC-S99MP5-L 単相 9.9kW 55枚(14.575kW) 147.2% (出典:「http://eneleaks.com/?p=6392」)
オムロンは過積載でも保証対象
オムロンのパワーコンディショナーは入力電圧と入力電流の条件を満たせば、定格容量を超えたパネルを接続しても保証対象になる、とホームページにしっかりと記載されています。
過積載が保証されるかどうかで躊躇している方にとっては、オムロンのように「過積載でも保証対象」とはっきりと明記されていると安心感はあるでしょう。 ここ最近の傾向として低圧の太陽光発電システムは過積載することが主流となっているので、今後も徐々に過積載を大々的に保証するパワコンメーカーは増えてくると予想されます。
(出典:オムロン「オムロン製パワーコンディショナの過積載対応について」)
どのくらいまでパネルを搭載できるのか計算方法まで記載されていますので、詳しくはオムロンのホームページをご覧ください。
パワコン製造大手オムロン社の主査リードアカウントマネージャ平井孝和氏にインタビューしてきましたのでこちらもご覧ください。
オムロン株式会社【メガ発インタビュー】
過積載を超える「スーパー過積載」とは?
「スーパー過積載」とは普通の過積載よりも多くのパネルを搭載している太陽光発電システムのことですが、明確に積載率が決まっているわけではありません。 一般的には積載率150%あたりを超えたら、まずスーパー過積載と呼ばれるでしょう。 例えば、パワコン49.5kWに対してパネル74.25kWを設置した場合、過積載率150%でスーパー過積載となります。
メガ発で販売してる過積載の物件でも低圧で60kW後半~80kW前半のものが多くなってきており、パワーコンディショナー容量に対する過積載率で言うと140%~175%なので過積載物件のほとんどがスーパー過積載だと言えます。
200%を超えるスーパー過積載も登場
過積載は固定価格買取制度が始まった後から増えて来たんですが、経済産業省の資料によると平成26年ではパワーコンディショナー容量に対して過積載率は106%程度が一般的だったようです。 これに比べると2015年現在の140%過積載は正に「スーパー過積載」といえるでしょう。
【パネル対パワーコンディショナーの容量の比率】
(出典:経済産業省 資源エネルギー庁 「調達価格等算定委員会(第17回)‐配布資料」より)
さらに、現在では過積載率が200%を超える太陽光発電システムも登場してきています。200%というと、つまり、パワーコンディショナー容量の2倍のパネルを設置することですので、どれだけ過積載かが分かると思います。
2倍以上ものパネルを設置して問題ないのか気になる所ですが、実際に過積載率244%の太陽光発電システムを検証しているという記事がありました。
これから検証していくとのことなので、まだ結果は分かりませんが、パワーコンディショナーに何の問題もなく発電量が大きく伸びるのであれば、今後このような200%を超えるスーパー過積載が増えて来るかも知れません。
2018年の過積載はどの程度のものが主流か?(2018年11月追記)
2018年11月、メガ発では288件の販売中物件を掲載しています。 この内、高圧・低圧複数区画のものを除いた一般的な低圧物件のみで、パワーコンディショナーに対してパネルがどれくらい過積載されているのか調べてみました。
- 対象物件数:277件
- 総パネル容量:20,785kW
- 総パワコン容量:12,152kW
ですので、全体で171%過積載ということになります。
また一物件平均は
- パネル容量:75.0kW
- パワコン容量:43kW
となりました。
1物件平均のパワコン容量が43kWとなったのは、パネル容量:20kW・パワコン容量:11kWというような、低圧の中でも小型の物件が33件ほどあるためです。
ですので、次はパワコン容量:49.0kW以上・パネル50kW以上の、低圧区分の中で最大容量、且つ過積載の物件に絞ってみてみましょう。
- 対象物件数:195件
- 総パネル容量:16,718kW
- 総パワコン容量:9,657kW
ですので、173%過積載ということになります。
また1物件平均は
- パネル容量:85.7kW
- パワコン容量:49.5kW
このようになりました。
また、ついでに最大過積載率の物件もみてみましょう。
- パネル容量:114kW
- パネルメーカー:サンテック
- パワコン容量:49.5kW
- パワコンメーカー:サンテック
なんと過積載率230%という、上記日経テクノロジーオンラインの検証物件である過積載率244%に迫る物件も実際に販売物件として出てきています。
2015年では過積載率140%の物件を「スーパー過積載」と記述しましたが、年度を重ねるごとに過積載率は伸び、2018年では過積載率170%を超える物件が平均的なものとなり、太陽光発電の普及やパネル・モジュールなどのシステム価格、売電単価の下落などを反映した市場の変化をみることができます。
まとめ
今回の記事では「過積載」について解説してきました。
固定買取価格(売電価格)が下がり続けていることもあり、現在では過積載が一般的となってきています。
過積載することで、低圧の太陽光発電システムのまま効率よく発電量を増加させることが可能ですので、今後も過積載には注目でしょう。
・過積載をすることで発電量を増やすことができる
・パネル容量がパワコン容量を超えても発電システムは低圧
・パネルの増やし過ぎには注意した方が良い
・過積載するとメーカーによっては保証の対象外になる可能性も
・今後はスーパー過積載が普通になる可能性もある
パワコン関連記事
太陽光発電所のパワコン交換について
ヒラソル・エナジーのリパワリングってどうなの?
太陽光発電所のリパワリングとは
太陽光発電所のリパワリングに関する『よくある質問』をヒラソル・エナジーさんにご回答いただきました。
気になる過積載物件はこちら
『過積載物件(65kW以上の低圧物件)』