北杜サイト太陽光発電所に行ってきました

著者名：: Tomatosoup
公開日：: 2017/10/18
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北杜サイト太陽光発電所をご存知でしょうか。中央高速道の長坂インターから少し東京寄りにあり、高速からよく見えます。この発電所は約2MWの規模で、NEDOの実証研究用に平成20年から運転されていましたが、平成23年に研究終了した後は北杜市が運営管理しているものです。税金で作られたものなので、一般の人の見学も受け付けています。27種類のパネルが設置されていて、設置後数年たったパネルの状況が観察できますので、勉強になります。太陽光発電を持っておられる方には、運営の参考になるかもしれませんので、時間がある時にでも見学されることをお勧めします。私は先月見学してきましたが、これは2回目の見学です。今回はサーモカメラを持って行きましたので、その結果をご紹介したいと思います。

サーモカメラでは太陽電池が異常加熱（ホットスポット）していないかどうかを画像で検査することができて便利です。太陽電池で見られるホットスポットは大きく分けて2通りあると思います。一つはセル自体が発電不良で高抵抗になり、そこに強制的に電流が流れるために発熱してしまう現象。この場合はセル全体が数℃から十数℃ぐらいの温度上昇することになります。もう一つはインターコネクタなどの接触不良によるもの。これは接触状態によっては百度以上の温度上昇が起こり、場合によっては発火することもあるので危険です。

で、今回の見学では両方のサンプルを発見しました。まず一つ目です。現地の管理者もホットスポットがあることは認識していますが、危険でなければそのままにして経過を観察しているようです。その現地の管理者から「この部分にはホットスポットが大量にある」と言われたところのサーモ写真をとりました。下図です。

いや、本当にたくさんありますね。こういう感じでこのアレイには全体にホットスポットが散在していました。ホットスポットのところは他のところに比べて数℃から１０℃くらい温度が上ですね。ホットスポットのセルは発電していないか、ヘタをすると他のセルの発電分を喰っている可能性があり、パネルの発電量は数%落ちるでしょう。この太陽電池はバックコンタクト型で、今から10年ほど前に設置されたことを考えると、当時はまだ技術が不完全だったのでしょうかねぇ。ちょっと多すぎる気がしますが、今ではこういうことは無いと思います。

次が接触不良。写真を見てください。

白いところの温度は100℃近いですね。セルに2本あるインターコネクタの一方とその周りが温度上昇しています。多分、そのインターコネクタが接触不良なのでしょう。100℃くらいならまだ発火しないでしょうけれど、これぐらいになると注意しないと火事を起こすかもしれません。これも管理者は知っていましたが、まだ慎重に経過を観察しているようです。

今回この発電所で私が見ることができたホットスポットは上記の2つだけでした。一つ目がやたら多く発生して問題ですが、残りで一つだけというのは良い方でしょうね。

ホットスポット以外にスネイルトレイルも見つかりませんでした。ここにあるパネルは今から10年ほど前に設置されたので、日本ではまだFIT制度が始まっていません。その頃、日本で取り扱われていた太陽電池は信頼性が高かったのではないかと私は思っています。そのためスネイルトレイルが見られなかったのでしょう。

その後、FIT制度が始まった2012年以降にはパネルの需要が高まり、廉価の太陽光パネルも多く入ってきたと思います。スネイルトレイルもそのようなパネルに多く見られているようです。スネイルトレイルは今のところ見かけ上の問題だけで、性能への影響は確認されていませんが、長期には悪影響が出るかもしれません。太陽光発電所を運営されている方は、サーモカメラなどで定期的に検査して状況を見ておいた方が良いと思います。

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