太陽光発電と仮想通貨

著者名：: Tomatosoup
公開日：: 2018/03/25
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仮想通貨と言うとビットコインが有名で、何か投機的なことを連想してしまいますが、ここで取り上げる話はちょっと違います。仮想通貨の管理に使われているブロックチェーンという技術が太陽光発電の普及にも貢献する可能性がありますので取り上げてみました。

ブロックチェーンは最近有名になってきていますのでご存知の方も多いかと思いますが、まずその内容に簡単に触れます。詳しい内容は私には難しすぎて説明できませんので、専門的な解説を参考にしてください（笑）。

ブロックチェーンと言うのは記録手段です。例えば仮想通貨では過去からの全ての取引がブロックチェーンに記録されていますが、ブロックチェーン自体は記録するだけで取引を介在するものではありません。しかし、この記録はネットワーク上の多くのコンピュータで相互監視する形で保存されていますので、一度記録されてしまうと後から書き換えのできない信頼性の高いものになっています。この信頼性の高さが、仮想通貨管理に使われる理由になっています。

で、これがなぜ太陽光発電の普及と関係するのか・・・という話の前に、まず電力取引の管理にブロックチェーンが有効という話から始まります。電力と言うのは誰が作っても同じもので、送配電線の中に入ってしまえば見分けがつきません。それでも今では電子的に計算してモノの取引のように取り扱うようになりました。更に最近では電力取引が自由化され、多くの新電力がいろいろな形でこの分野に参入しています。これに伴い電力取引は複雑化し信頼性が必要となっています。それだけでもブロックチェーンが使われそうな状況ですね。

さて、そこに私が太陽光発電を絡ませたいのにはいくつか理由があります。

再生可能エネルギー電源を優先利用するニーズが増える
パリ協定の影響でRE100の運動が進み、これから再生可能エネルギー100%の電源に対するニーズが強くなってきそうです。このように電源の由来を正確に管理するには信頼性の高い履歴が記録されるブロックチェーンを利用するのが効果的です。
大量の住宅太陽光をうまく利用すべき
日本では2019年から高値買取り制度を終了した住宅太陽光発電が大量に出てきます。それらのオーナーは太陽光発電の電気が少しでも高く売れることを望むでしょう。不特定多数のオーナーの電力取引を可能にするのにブロックチェーンが役に立ちそう。
系統や需給安定化の電力取引が進む。
太陽光や風力のような安定しない電気を有効に使うには、系統安定や需給調整のためにバッテリーなども利用した複雑な電力取引が多くなってきそうです。取引を正確に行うために、記録のしっかりしたブロックチェーンは有効です。

まぁ、私がとやかく言うより、既にいろいろな記事でブロックチェーンの有効性が示されていますので（「ブロックチェーン」と「太陽光」は相性が抜群　など）、それらを参考にしてもらう方が良いでしょう。とにかく、電力関係やIT関係など多くの会社が、ブロックチェーンを使った電力取引に新しいビジネスを見出そうとしているようです。

私が太陽光発電の立場からブロックチェーンに期待しているのは、今のFIT以外の太陽光発電市場の開発です。FITの買取り価格も下がってきて、今やグリッドパリティに近づいて来ています。もちろん太陽光発電のコストが下がることは良いことなのですが、一方でRE100のように太陽光発電に付加価値を認める動きも出てきています。これからは、FITのように一律に高値で買い取るというようなやり方は通用しにくく、うまく好条件で買ってくれる需要家を個別に見つけていくような細かい対応が必要になってきそうな気がしています。そういう電力の中身や由来に対応した売買を行うには、ブロックチェーンはちょうど合っているような気がします。

もちろん個人でこのようなビジネスを開発するのは困難ですが、恐らく新電力などブロックチェーンを使った電力取引を模索している会社が、新しい太陽光発電の売り方を開発してくれるだろうと期待しています（みん電にエナリス、電力ブロックチェーン始動）。みんな電力など太陽光発電の電気を本当に仮想通貨のように取り扱ったりして、面白いですよ。

まぁ、慌てることは無いと思います。まずは2019年問題で、高値買取りの終了した住宅太陽光発電に対してアグリゲーション事業など新しい電力ビジネスが出てくるでしょう。その形が淘汰され洗練されてくる頃には、野立ての太陽光発電の電力買取りにも対応した取引が開発されてくるのではないかと期待しています。

2019年以降の電力市場がどうなるかを良く見ていくことが重要ですね。

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