太陽電池の劣化についての記事

著者名:
Tomatosoup
公開日:
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ネットで太陽電池の劣化についてのインタビューが紹介されていました(バックコンタクトやPERCパネル、約半年でPIDやLIDによる不具合も)。昨年10月の記事でちょっと古いですが、産総研九州センターの暴露試験を取り扱ったものです。産総研の報告会でも紹介されたのかもしれませんが、よく覚えていません(笑)。とにかく参考になる記事でした。

まず結晶系太陽電池と薄膜太陽電池の劣化について報告されています(下図)。薄膜太陽電池はアモルファスシリコンとCIGSが取り上げられています。アモルファスシリコンはもともと劣化のある太陽電池で、今ではほとんど使われていませんが、ここでは取り上げられて、5年間で5-6%の劣化が確認されています。一方のCIGS太陽電池は劣化が無いと言われていますが、ここでは5年で3-4%の劣化が見られています。これらは単結晶の太陽電池に劣化が無いとして、それとの比較の話なので、単結晶太陽電池も少しは劣化するでしょうから、実際にはもう少し劣化していることになります。多結晶の太陽電は単結晶と同じでほとんど劣化が見られませんね。この辺りの情報は結構参考になりました。

ところで上図の分析手法は参考になります。まず左側のグラフ(年発電量/1kW)はパネル1kWあたりの年間発電量の絶対値で、年によって変わりますが、1100~1200kWh/kWぐらいになっています。これから大きく外れる場合は何らかのトラブルがあると見て良いでしょう。次に右側のグラフ(規格化年発電量)はこの年発電量を各太陽電池/結晶シリコンの比で示したものです。前述のようにこのグラフは単結晶がほとんど劣化しないと仮定して比較している訳ですが、年に1-2%の微小な劣化でもはっきり読み取れて便利ですね。

 

一方、結晶系でもバックコンタクトやPERCの新しい技術を使った太陽電池は、最近設置されたためまだ暴露期間が短いのに、劣化が見られているようです(下図)。半年ほどで数%の劣化があるようですね。かなり大きいです。どちらも有望な技術だけに、これはちょっとショックです。

バックコンタクトについては、私が山梨県の北杜サイト太陽光発電所を見学した時、バックコンタクト太陽電池だけホットスポットが出まくっているのを発見しましたので、信頼性に問題があると思っていましたが、九州でも劣化が確認されていたわけです。ただ山梨で見られたホットスポットはランダムに見られたので、バックコンタクトの製造技術が未熟だったのかと思っていましたが、九州で見られたものはPID(電界誘起劣化)のようです。電圧の高いモジュールで見られた劣化なのでPIDと見なしたそうです。その後PIDについてはいろいろ研究され対策も提案されています。また、私はサーモカメラで別の場所のバックコンタクト太陽電池を検査することがありましたが、ホットスポットは見られていません。従って今では改良されているかもしれませんが、気になる現象です。

 

PERCの劣化はLID(光誘起劣化)として観測されたようです。PERCはバックコンタクト以上に電極構造が細かいので、高い製造技術が必要となります。このため初期のPERCモジュールはまだ製造技術が安定していなかったもしれません。電極を安定的に作る技術はいろいろ研究されているので、PERCについても改良されている可能性はありますが、やはり劣化があると心配になります。

 

バックコンタクトもPERCも新しい技術なのでもう少し様子を見た方が良いのでしょうか? この辺り、判断が難しいですね。

 

太陽光発電所を運営している者にとって劣化は結構気になる問題です。単結晶太陽電池も年に0.5%ぐらいの劣化があると言われていますが、最近のモジュールではどうなのでしょうかね。劣化についてはもっと情報が欲しいです。産総研九州センターの報告は今後も参考になりそうなので注目していきたいと思います。

 

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