中古の太陽光発電所のメリット

著者名:
サムライ大家
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こんにちは。サムライ大家です。

 

メガ発さんから「中古の太陽光発電所のメリット」というお題をいただきました。毎年売電単価が下がり続けていく中で今後市場が拡大するであろう中古の太陽光発電所について、私の考えるメリットをまとめてみました。長文です。

 

(1)すぐに売電収入が入ってくる

新設の太陽光発電所の場合、土地から購入したり、契約後に着工だったりすることも多いです。その場合、電力会社の送電網と連系して実際に売電を開始するまでに数ヶ月~1年ほどかかるでしょう。つまり、土地代や頭金を支払ったのに売電が始まらない期間が長くなる傾向があります。

 

住宅でいう建売のように、完工済の新設の太陽光発電所を購入すれば、購入と同時に売電を開始できるケースもありますが、新設の場合は売電開始までタイムラグがあることがほとんどです。銀行融資を受けているなら、売電開始までタイムラグがあっても返済が開始し、しばらく持ち出しが続くこともあります。

 

これに対して、中古の太陽光発電所であれば購入してすぐに売電収入を得ることができます。すぐに収入が入ってくることは中古の発電所の大きなメリットです。新設で売電開始までのタイムラグが長いと、先行して投入した土地代や頭金などの自己資金を長期間眠らせてしまうことになりますし、回収までの期間もその分長くなります。しかし、中古ならすぐに売電収入が入るので、投入した資金の回収もすぐに始まりますし、返済が開始していても売電収入で賄えるため、持ち出しが発生せずに済みます。

 

このように、中古の場合はすぐに売電収入が入ってくるというメリットがあります。

 

(2)新設よりも表面利回りが高い

現在(2019年度)の新設の太陽光発電所は表面利回り10%弱が多いでしょうか。一方、中古の太陽光発電所は表面利回り11%以上のものも結構あります。売電できる期間は新設の場合の買取期間(10kW以上の規模の産業用は20年間)よりも短くなりますが、安く買えるので、その分、収支が改善します。

 

このように、当然のことではありますが中古のほうが新設よりも表面利回りが高いというのがメリットです。

 

ちなみに、新設の表面利回り10%の案件にフルローンを組んでしまうと収支はトントンか赤字になりうるので、自己資金を手元に残しておきたいのであれば、中古の表面利回り11%の案件にフルローンほうが収支の観点ではおすすめだと思います。

 

(3)売電実績があるので収支計算の精度がよい

新設の太陽光発電所の場合、実際にモノが存在しないので、売電収入はあくまで予測値になります。予測値はおおよそ正確なものですが、周辺環境(近くの電柱の影の影響、隣地に背の高い竹林があるなど)によって変わります。最初の予測値が正しいかどうかは1年間が過ぎてみないと分かりません。場合によっては、「予測値よりも随分少ないじゃないか」なんてことも起こります。

 

一方、中古の太陽光発電所の場合、既に完工しており、完工から1年以上経過していることが多いです。そのため、売電実績が積みあがっています。実績値として年間の売電収入がいくらなのかをより正確に知ることができます。

 

実績値が分かれば、収支計算の精度も向上します。新設よりも中古のほうが、想定通りの手残りを得ることができるでしょう。

 

(4)過去の高い売電単価の案件(税抜40円、36円、32円など)を購入できる

(4-1)高い売電単価の案件はメンテナンスの手間が少ない?

中古の太陽光発電所の場合、過去に連系済ですので、売電単価も当時の高い単価の案件が多くなります。高単価の案件は50kWほどの規模が多く、設置面積も600㎡~700㎡ほどです。現在の低い売電単価の発電所は過積載(70kW~100kW超)が主流であるため、接地面積は場合によっては2倍くらい必要です。

 

設置面積の多寡は、草刈りなどのメンテナンスの手間に直結します。狭い面積で高収益の発電所を購入できれば、土地自体の管理の手間を減らすことができます。

 

自主管理ではなく管理会社に管理を依頼する場合でも、管理料がパネルの規模に応じて決まることがあります。そうした管理会社を見つけることができれば、管理料を節約することができるでしょう。

 

(4-2)出力制御リスクの無い高い売電単価の発電所を購入できる

また、高単価の案件の中には、例えば九州電力などの出力制御(出力抑制)が実施されているエリアに含まれていても、出力制御(出力抑制)の対象外となっていることがあります。中古で高単価の発電所を購入することで、出力制御(出力制御)により売電できないというリスクを回避できる場合があります。

 

産業用の低圧(10kW~50kW未満)の発電所の場合、例えば九州電力(http://www.kyuden.co.jp/rate_purchase_topics.html)の場では、2015年(平成27年)1月25日まで連系承諾分については出力制御対象外として扱われています。売電単価で言うと、40円、36円、32円辺りの時代の太陽光発電所でしょうか。

 

九州電力管内など、出力制御(出力抑制)が実施されているエリアで中古の太陽光発電所を購入する際には、出力制御(出力抑制)の対象外かどうかを事前に確認し、対象外となる高い売電単価の発電所を購入することで、そのリスクを無くすことができます。

 

九州電力管内では、その日射量の高さも影響して40円、36円といった高い売電単価の太陽光発電所が多く設置されていますので、今後これらの発電所が中古市場に放出された際には狙い目となるのではないでしょうか。

 

ちなみに、東京電力、中部電力、関西電力管内では需要が大きいため、いまのところは売電単価に関わらず全案件が出力制御(抑制)の対象外となっています。

 

(5)未施工のまま業者が倒産してしまうリスクが無い

新設の太陽光発電所の大きなリスクに、施工業者の倒産リスクがあります。これが一番怖いです。頭金を振り込んだ後に連絡が付かなくなることがあります。頭金だけで済んだならまだいい方かもしれません。融資資金を含め全額を振り込んだ後に施工業者が倒産してしまうこともありえますし、実際にそうした事例は起こっています。全額振り込んだ後の倒産はどうしようもありません。その時点でほぼ終了です。発電所は完成しないまま、当然売電も始まらず、返済だけがスタートします。借金だけが残ることになります。

 

これに対して、中古の太陽光発電所には、既に完工しているので、こうした施工業者の倒産リスクがありません。これは本当に大きなメリットです。自分に代わって他人が既にリスクを取ってくれているのです。施工業者が信頼できるかどうか判断できない場合は、新設ではなく中古を選択したほうが、リスク無く購入することができます。

 

(6)銀行融資は新設よりも中古が有利?

意外に感じられるかもしれませんが、新設よりも中古の方が銀行は融資しやすいです。新設の場合、施工業者の倒産リスクを把握するため、施工業者の調査が行われます。銀行としても業者の倒産リスクを負うことになります。融資を実行してから完工し、実際に売電が開始するまでの間、ずっと気が抜けません。投資家と同じように銀行も大きなリスクを負っています。そのため、新設の太陽光発電所の場合、審査も厳しくなりますし、土地代は自己資金で支払うように要求されるなど、制約が増える傾向にあります。

 

一方、中古の太陽光発電所の場合は、倒産リスクや、未完工により売電が開始できず返済できないといったリスクがありません。既に過去の売電実績値もあるので、より正確に収支を判断することができます。実績がある分、中古の方が銀行としては低いリスクで融資することができます。

 

太陽光発電設備の法定耐用年数は17年ですので、売電開始から既に2年が経過した発電所にも融資期間15年での融資が可能な場合もあります。私が借り換えで打診した2つの銀行では、最大で法定耐用年数17年を前提に検討してくれています。

 

不動産投資では法定耐用年数を超える融資期間での融資も可能ですが、太陽光発電所への融資はどうなのでしょうか。仮に法定耐用年数を超える融資が可能であったとしても、おそらくは固定価格買取期間(20年)がMAXになるのではないかと思います。その場合、5年経過後の発電所にも15年の融資が出ることになるので中古市場が活性化しそうです。希望的観測ですが、そうなってくれたらいいなと思います。

 

(7)現物をチェックできる

新設の場合、購入前に現物をチェックできないことも多くあります。一方、中古であれば、当然現地に赴き、施工状況、管理状況をチェックすることができますので、そうした点もメリットです。

 

管理状況については、雑草対策がしっかり行われているかどうかがメインになりますので、現地に行けばひと目でわかるでしょう。しかし、施工状況については、知識が無いと何が良くて何が悪いのか分かりにくいのではないでしょうか。

 

業者によって施工の仕上がり具合に大きな違いが出ます。私が所有している発電所の中にも、この業者の施工は素晴らしいと思えるものもあれば、この業者の施工はいまいちだなぁと感じるものもあります。複数の発電所を所有しているからこそ比較で分かることかもしれませんが、施工が甘い会社には注意が必要です。

 

施工が甘いとは、例えば、

 

・一部のケーブル類が地面の上に剥き出しになっている。

・太陽光パネルを支えるための架台が少し傾いている。

・パネル間の真下にパワーコンデショナーがあり、隙間からパワーコンディショナーに雨水がかかる配置になっている。

・太陽光パネルの裏側にあるケーブル類が留め具でしっかりと留められておらず、垂れ下がっている。

 

などが挙げられるでしょう。

 

上記はほんの一例ですが、中にはケーブル類が全く地中に埋設されておらず、ケーブルの保護パイプも無く地面の上に全てが剥き出しになっているヒドイ状況の発電所も存在します。地上に剥き出しにされていると風雨や紫外線にさらされるため、劣化が早くなり断線につながります。

 

他にも、コンクリートの基礎が割れてしまっていたり、架台を打ち込む土の部分が一部崩落して架台の杭のスクリュー部分が見えてしまっていたりすることもあります。

 

このように、中古の場合は現物をチェックできるので、ハズレを引いてしまうリスクを低減できます。購入前に現物をチェックできることは中古の大きなメリットです。

 

(8)太陽光発電所を償却目的で購入した売主が狙い目?

過去には、グリーン投資減税制度下での100%償却や、生産性向上設備投資促進税制下での50%償却といった税制が導入されていました。そのため、利益圧縮のために、中小企業が太陽光発電所を積極的に購入していた時期があります。彼らは投資目的ではなく、あくまでも償却目的で購入しており、償却が完了した後は機を見て手放したいと考えています。

 

中古の太陽光発電所の売主には、こうした中小企業が売主であることがあります。狙い目は、このように償却目的で購入した売主だと思います。例えば100%償却してしまった売主の場合、太陽光発電設備の簿価はほぼ土地値になっているはずです。そのため、高値で発電所を売ってしまうと売価と簿価との差が大きくなり、結果として利益が大きくなって支払う税金の額も大きくなってしまいます。

 

こうした売主であれば、大きな指値にも応じてくれる可能性があるかもしれません。高値で売りたくはないという事情がある売主を見つけることで、新設の太陽光発電所では考えられないような高利回りの中古発電所を購入できる可能性を秘めているように思います。

 

どうやってそのような売主を見つければよいかが問題ですが、融資のあてがある投資家であれば、そうした売主を探し出して安く購入するというアプローチも一案かもしれません。

 

(9)まとめ

以上、中古の太陽光発電所のメリットをいくつか挙げて参りましたが、一言でまとめると「新設と比べて中古のほうが低リスクで高利回りの発電所を購入できる」のがメリットでしょう。

 

固定価格買取制度(FIT制度)が今後どのように変遷していくか分かりませんが、売電単価は年々減少しており、少しずつ中古の太陽光発電所の価値が増しています。そして、近い将来、固定価格買取制度が終了した後には、固定買取価格制度下の太陽光発電所の価値は大きく増大するはずです。

 

購入にあたりいくつか注意すべき点もありますが、中古の太陽光発電所はこれから大きく育っていく市場だと思います。

 

それでは、また次回も宜しくお願い致します。

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