某信販会社のソーラーローン 融資期間15年(固定)→20年(変動)で起こること

著者名:
サムライ大家
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こんにちは。サムライ大家です。

 

太陽光業界を牽引する某信販会社の融資期間は、従来は原則として15年の固定金利でした。

 

固定価格買取制度の導入でソーラーローンが始まってからずっと、15年ローン、固定金利が維持されてきたのです。

 

しかし、ついに次の一手を打ってきました。

 

なんと融資期間20年の変動金利が導入される(た?)そうです。これまでも一時期、別の信販会社で担保型ローンで融資期間20年というものもありましたが、一部の業者経由で利用できるのみでした。

 

このインパクトは非常に大きいです。融資期間が20年になれば、表面利回り10%でもそれなりにキャッシュフローが出るようになり、投資しやすくなるからです。

 

売電単価14円時代のいま、全体的に表面利回り(収益性)が少し下がってきたので、投資家の破綻を防ぐために信販会社も安全側に傾いたのでしょうか。

 

14円でもキャッシュフローが出るようになると、投資家の側からは歓迎の声のほうが大きいかもしれません。

 

ただ、懸念点もあります。

 

それは

 

(1)発電所価格の上昇

(2)デッドクロスのリスク上昇

(3)変動金利なので金利上昇リスクあり

 

です。

 

(1)発電所価格の上昇

 

固定価格買取制度では、売電期間は20年が約束されています。でも、これまでは15年融資が原則でした。

 

15年融資でも投資家に多少なりとも旨味(キャッシュフロー)が出るように発電所価格が設定されてきました。

 

それが20年融資がスタンダードになるとどうなるでしょうか。当然、発電所価格も上がる方向に力が働きます。表面利回りを下げても(=価格を上げても)、収益が出れば投資家は飛びつくからです。

 

投資家は昔の農民のようなもの。いつでも「生かさず殺さず」の状態にコントロールされているのです。

 

15年ローンだからこそ、残り5年のボーナス期間に大きな果実をもらえる投資でした。

 

しかし、20年ローンになったら、当然ボーナス期間は無くなります。

 

そのうえ、発電所価格が上がったとしたら、潤うのは業者と信販会社です。言い方はよろしくないかもしれませんが、投資家から搾取されたキャッシュが業者、信販会社に回る構造になっているのです。

 

これに関しては下記の過去コラムもご参照いただければと思います。

 

太陽光発電所投資で表面利回り10%以上が多い理由は●●が短いから

 

(2)デッドクロスのリスク上昇

 

太陽光発電設備の法定耐用年数は17年です。17年かけて減価償却費を計上していきます。

 

減価償却費は、現実にキャッシュが出て行かないにも関わらず、設備の価値が減少した分を毎年経費として計上していくことができる魔法のような費用です。

 

15年ローンの下では、「返済期間 < 減価償却期間」なので、減価償却期間内に返済が終わります。

 

しかし、20年ローンの下では、「返済期間 > 減価償却期間」となり、減価償却期間内が終わっても返済が3年も続きます。

 

残り3年の間、減価償却費を費用計上できなくなったことで税額(個人購入であれば所得税)が上がるのに、変わらず返済は続くことになります(金利は経費計上できますが、元金返済分は経費計上できません)。

 

不動産投資で築古木造に長期融資を受けるようなときほど顕著ではありませんが、いわゆるデッドクロス(減価償却額がローンの元金返済額を上回る状態)の影響をもろに受けることになります。

 

つまり、20年ローンだと、下記の過去コラムで語った太陽光発電投資の良い部分が薄れてしまうことになります。

 

太陽光発電投資は「●●性のあるキャッシュフロー」が得られる堅実な投資法~アパート・マンション投資との一番の違いはここにある!?~

 

(3)変動金利なので金利上昇リスクあり

 

融資期間が延びることのインパクトが大きいと思いますが、こちらも地味に影響が強いのではないでしょうか。

 

金利上昇リスクを想定しなければならないからです。現在の低金利時代に固定金利を組めるなら、そのほうがリスクを排除できる分、安心できます。

 

以上の(1)~(3)のように、私個人としては、20年ローン・変動金利でもたらされるメリット・デメリットを考慮すると、デメリットのほうが大きいような気がしています。

 

まとめ

 

某信販会社でスタンダードだった「15年ローン・固定金利」ですが、ついに「20年ローン・変動金利」が導入される(た?)ようです。

 

他の信販会社も追随する可能性もあります。

 

今後、20年ローンがスタンダードになったとしたら、発電所価格上昇、デッドクロスのリスク上昇に加えて、金利上昇リスクまで考える必要が出てきます。

 

これまでの15年固定金利ローンでは、無意識のうちに投資家は守られていたはずです。

 

20年ローンの利用の際には割高な発電所を避けるのはもちろん、自己資金を一部投入するなど、将来のリスクに備えて行動することをおすすめします。

 

個人的には、法定耐用年数を超える融資期間には(かなりの)抵抗があります(笑)

 

それではまた次回、よろしくお願いいたします。

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