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太陽光発電投資の売電収入は確定申告が必要?

太陽光発電投資の売電収入は確定申告が必要?

そもそも確定申告とはどんなときに必要??

確定申告とは、1月1日から12月31日までの所得を税務署に自ら申告し、所得税を納税する仕組みです。

これに対してサラリーマンや公務員など会社から給与をもらっている人は、年末調整によって会社が代わりに所得税の申告と納税を済ませてくれます。ただし、会社が申告と納税を済ませてくれるのは、その会社が支払った給与に対してだけです。

副業収入がある場合は、本業の給与と副業収入を合わせて自分で確定申告をしなければなりません。

太陽光発電で確定申告が必要になる場合とは

サラリーマンや公務員が副業によって確定申告が必要になるのは、給与以外の所得の金額の合計額が20万円を超える場合です。この20万円は「所得」ですので、収入から経費を控除した金額で判定します。

例えば、太陽光発電による売電収入が60万円でその経費が40万円の場合、ちょうど20万円ですので他に副収入がなければ確定申告をする必要はありません。

10kW以上(産業用)に注意

売電収入は、2012年7月から始まった固定価格買取制度(FIT)によって支払われます。ただし出力10kW未満(住宅用)の発電設備では、「余剰売電」しか選択できません。余剰売電とは、自家消費した電力を差し引いた残りの電力しか売ることができないというものです。

一方、出力10kW以上(産業用)の発電設備であれば、余剰売電か全量売電を選択することが可能となります。全量売電は発電した電力を全て売却できるため、余剰売電よりも収入は大きく上がります。そのため10kW以上(産業用)の発電設備であれば確定申告が必要となるケースが多いでしょう。

確定申告の期限と方法

確定申告は、確定申告書を作成して翌年2月16日から3月15日までの間(土日祝日があればその翌営業日)に、税務署宛に郵送、持ち込み、あるいは電子申告で行います。

納税も確定申告の期限と同じです。納税方法は納付書での払い込みのほか口座振替、クレジットカード(手数料あり)などがあります。

確定申告と事業税住民税の関係

太陽光発電による売電収入には、所得税の他に事業税と住民税がかかります。それぞれ国、都道府県、市町村に納税しなければなりませんが、確定申告をすると都道府県と市町村にその内容が通知され、事業税や住民税の計算に反映されます。

したがって、確定申告は税務署1箇所にすればOKで、あとは納税の必要があれば納付書が送られてきます。 給与から住民税を天引きしている場合は、市町村から会社に住民税額の通知書が送付されます。

売電収入は事業所得?雑所得?不動産所得?

確定申告が必要になった場合、売電収入は、事業所得、雑所得、不動産所得のいずれかに該当します。この3つがどのように区分されるか

それぞれのケースで見ていきましょう。

サラリーマンの太陽光発電

サラリーマンや公務員など給与所得者が、自宅用に太陽光発電設備を使用してその電力を売却する場合は、雑所得になります。

もし事業としてその設備から売電を行っている場合は事業所得となる余地がありますが、基本的に自宅用は雑所得です。一方、土地付きの太陽光発電所などに投資している場合は、その規模や営業形態から事業といえるかどうか個別判断を行わなければなりません。事業に該当しなければ雑所得ですが最終的には税務署への事前相談することをおすすめします。

職業 形態 所得の種類
給与所得者(サラリーマン等) 事業として行っていない
(例:自宅用の発電設備からの売電等)
事業所得
事業として行っている 事業所得

(参考:国税庁「質疑応答」)

個人事業主の太陽光発電

個人事業主の場合、下記のいずれかに該当する時は事業所得になります。

  • 売電を事業として行っている場合
  • 個人事業の付随業務として売電収入を得ている場合

付随業務とは、例えば飲食業などを営む事業用の建物に太陽光発電設備を設置して売電収入を得るケースです。事業と無関係な売電は雑所得となります。

職業 形態 所得の種類
個人事業主 事業として行っている
(事業付随を含む)
事業所得
事業として行っていない 雑所得

不動産所得者の太陽光発電

賃貸収入を得ている投資物件(賃貸アパートなど)に太陽光発電設備を設置してそこから「余剰電力」を売却すると、その収入が不動産所得になるケースがあります。

なぜ余剰売電に限定されるかというと、余剰売電の仕組みが不動産所得の額に影響を与えるからです。余剰売電では発電した電力はまずその賃貸アパートに使われますよね。 これにより通常経費にできるはずの電気代が減少し不動産所得の額を変えてしまいます。

このことから賃貸アパートなどの余剰売電収入を不動産所得の一部に計上することとなったのです。全量売電の場合は不動産所得に影響は与えませんので、事業所得か雑所得の判定になります。

職業 形態 所得の種類
不動産所得者 賃貸アパート等で余剰売電 不動産所得
賃貸アパート等で全量売電 事業として行っている→事業所得
事業として行っていない→雑所得

(参考:国税庁「質疑応答」)

事業所得になる売電収入の判断基準とは

事業に該当するかどうかは、その営利性や独立性、反復継続して行われていることなどから総合的に判断されます。

かつて資源エネルギー庁ではグリーン投資減税(現在は終了)の説明として、「出力50kW以上であれば無条件に事業所得に該当する」として、50kW未満はその管理状況などから判断という目安を示していました。

確かに50kW以上であれば自宅の余剰売電など小規模な売電に比べて収入額も大きくなり、電気事業法の管理対象となる設備でもあるため、一般的には事業とみなされることが多いでしょう。 しかしながら、事業所得に該当するかどうかは、あくまで税法の上で事業といえるかどうかです。

そのため事業所得で申告したい場合には、最終判断を税務署に任せることをおすすめします。 ちなみに、事業所得と不動産所得については税制上近い優遇措置を受けることができますが、雑所得には優遇措置がありません。 本当は雑所得であるのに事業所得で申告すれば、税務署のチェックを受けやすくなると考えられるため注意しましょう。

太陽光発電で経費になるもの

太陽光発電の経費となるものを大きくわけると

  • 売電収入を得るために支出した費用
  • 発電設備の減価償却費

です。

収入を得るために支出した費用とは

収入を得るために支出した費用とは、例えば

  • 設備の購入費
  • 借入金の利息
  • 設備の修繕や管理費用
  • 土地の賃貸料
  • 損害保険料
  • 固定資産税、償却資産税(不動産や事業用設備を保有していることで発生する税金)
  • その他販売、管理にかかる一般的な費用

などです。

減価償却費とは

減価償却費とは事業用の資産をその耐用年数(税務上の使用可能期間)に応じて、その価値を減少させていく会計処理のことです。

価値を減少させた分で収入を生み出していると考え、価値の減少額と同額を「減価償却費」という費用で経費にします。つまりお金を払っていないのに計上できる経費になります。

太陽光発電において減価償却の対象となる資産とは太陽光発電設備です。耐用年数は、基本的に17年となります。

例外的に発電した電気を使って製品を作っている場合の太陽光発電設備の耐用年数は、その製品の耐用年数とします。耐用年数は単なる税務上の使用可能期間ですので、その年数を超えて使用することを禁止するものではありません。

減価償却の方法には「定額法」と「定率法」があります。

定額法は、設備の取得価格を耐用年数で均等に償却していく方法です。一方、定率法は償却率という一定の割合を、設備の残存価格にかけて償却する方法になります。

トータルの減価償却費は同じですが、最初に多く償却できるのは、「定率法」です。個人では「定額法」が法定償却方法となるため「定率法」に変えたい場合は税務署への届け出により変更することができます。

経費は領収書などを保管する

売電収入を得るために支出した費用全般については、領収書など支払いを証明できるものを保管しておきましょう。

特に消費税の還付を受けるためにあえて課税事業者を選択する場合、領収書や請求書の保管とその記載要件が厳格になります。消費税で還付を受けるためには、請求書等の金額が3万円以上の場合、

  • 作成者の氏名
  • 年月日
  • 支払内容
  • 支払金額
  • 宛名

の全てが記載された書類が保管されていなければ、税額控除は認められません。保管期間は7年間になります。

太陽光発電の確定申告は青色申告か白色申告か

確定申告には、青色申告と白色申告の2つの申告方法があります。

青色申告は、事業所得か不動産所得のみ選択できる申告方法で、雑所得は自動的に白色申告となります。青色申告で確定申告をすると様々な税制上の特典があります。

太陽光発電の確定申告で使える青色申告の主な税制上の特典

  • 青色申告特別控除額
  • 所得から最大65万円の控除額(不動産所得は事業規模による)が受けられます。
    65万円分の経費を支出するのと同じ節税効果を、実際にはお金を払うことなく受けられるため、メリットは大きいです。

  • 少額減価償却資産の特例
  • 取得価格30万円未満の減価償却資産の取得費を、一度に経費にできる制度です。
    パソコンなどの事務機器を、減価償却の手間なく一度に経費にすることができます。年間で合計300万円が上限です。

青色申告の注意点

青色申告は、確定申告の期日までに確定申告書を提出することが条件です。このことから、青色申告の特典を受けるには確定申告が要件となります。

もし青色申告特別控除額によって太陽光発電による所得が20万円以下になったとしても、確定申告はしなければならないというわけです。

青色申告の方法

青色申告を行うには、

  • 「青色申告承認申請書」を青色申告しようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以降に開業した場合は、開業日から2ヶ月以内)に税務署に提出すること
  • 期中は複式簿記で帳簿をつけ、確定申告書に青色申告決算書を添付すること

が必要です。「青色申告承認申請書」は一度提出すれば、翌年以降は提出不要となります。

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