土地付き太陽光発電に投資する際のシミュレーションについて

土地付き太陽光発電の場合、気になる物件があれば販売業者がシミュレーションを出してくれます。しかし、業者によってシミュレーションの出し方にはばらつきがありますので、シミュレーションについてはご自身で把握しておいて損はありません。
ここではシミュレーションのポイントを解説していきますので、これを参考にできるだけ正確にシミュレーションを算出し良い物件を選びましょう。
シミュレーションの計算は複雑
太陽光発電投資の収支をシミュレーションは日射量はもちろん、融資の金利・固定資産税などかなりの条件があるため複雑な計算が必要となり、物件は投資家の属性によっても条件が大きく異なるため、自分で行うのはかなり困難です。そのため、ここではシミュレーションの詳しい計算方法は説明しません。
そこで、利用して頂きたいのがシミュレーターです。項目に数字を入れていくだけで20年間の収支をシミュレーションしてくれます。
メガ発でもシミュレーターを用意しているので活用してください。
太陽光発電投資・売電収入・コスト・減価償却シミュレーション
土地付き太陽光発電投資の表面利回り
シミュレーションを計算するときに一緒に出して欲しいのが利回りです。利回りは投資する上で分かりやすい指標となるため重要です。
利回りには表面利回りと実質利回りがあり、実質利回りは太陽光設備以外の費用も全て考慮して算出します。そのため、実質利回りの方が低くなるので、収益を正確に把握するには実質利回りも把握しておく必要があります。
まずは表面利回りから見ていきます。
太陽光発電の表面利回りの計算は以下のようにして求めます。
・利回り(%)=(1年間の売電収入÷初期費用)×100
例えば、1年間の売電収入が200万円、太陽光発電設備にかかった初期費用が2000万円だったとすると、
・(200万円÷2000万円)×100=10%
で、表面利回りは10%となります。
土地付き太陽光発電投資の実質利回り
土地付き太陽光発電の実質利回りを計算するためには20年間で必要となる費用の総額を算出しなければなりません。20年間というのは10kW以上の太陽光発電の場合、固定価格買取制度の買取期間が20年間のためです。
主な項目は下の6項目になります。
1.初期設置費用
2.太陽光パネルのメンテナンス費用
3.パワーコンディショナー交換費用
4.土地の代金(賃貸土地の場合は賃貸料、売買契約の場合は固定資産税)
5.災害などの保険や補償費用
6.支払いローン費用
シミュレーションでは基本的にこれらのランニングコストなど全ての費用を考慮して計算することになります。そのため、より正確な収支を知ることができます。
この中でも注目しておいたほうがいいのが、パワコン(パワーコンディショナー)です。パワコンの寿命は一般的に10~15年と言われていますので、20年間の買取期間の中で1回は交換することになります。
パワコンの交換費用は業者によっては積み立てるところもありますが、いずれにせよ自分で支払うことには変わりありませんので、交換費用についても計算にいれておくと、より正確に利回りが算出できるでしょう。
実質利回りは表面利回りよりも概ね2%~3%ほど下がることが多いです。
シミュレーションに影響する要素とは?
ここではシミュレーションに多く影響する3つの要素について解説していきます。この要素を把握しておかなければ、シミュレーションと実際の数字(収支)が乖離してしまいますので注意が必要です。
1.日射量
2.自然災害
3.融資を受けた場合の金利
日射量
発電量は日射量に比例して増減するため、日射量がどのくらいあるのかを把握しておくことが重要です。全国の日射量はNEDOの日射量データベース閲覧システムから見ることができます。
しかし、これはあくまでも目安であり、実際の土地の角度や形状によっても日射量は違ってきます。また、周りに陰になりそうな木や山などがあれば日射量は下がってしまいますので、可能であれば陰になりそうなものがないか実際に現地に行って確認すると良いでしょう。
自然災害
発電所を稼働させた後に台風や大雪、落雷など自然災害によって太陽光発電設備が壊れて発電できなくなれば、当初のシミュレーションの数字に大きく影響してしまいます。
自然災害は防ぎようがありませんので仕方ないのですが、大事なのは故障や不具合があった場合でもすぐに気付けるかどうかでしょう。そのためにも、遠隔監視システムは必ず導入することをおすすめします。
遠隔監視システムがなければ、電力会社の明細でしか気づくことができないため、最悪の場合1ヶ月以上も発電が止まった状態となる可能性もあります。1ヶ月分の売電収入が丸々入ってこないのはかなりの損失です。
遠隔監視システムではPCやスマートフォンで1時間毎や1日毎の発電量も見れるので、異常にすぐに気づくことができます。 代表的なものにはエコねがねやom’s(オムズ)などがあります。
融資を受けた場合の金利
土地付き太陽光発電は数千万しますので現金だけで購入する人はほとんどいません。頭金をいくらか支払って残りを金融機関から融資してもらうパターンが多いです。
借り入れをする場合、どこの金融機関から借り入れるか、また、借り入れる時期によっても金利に差があるため、シミュレーションに影響してきます。
主な金融機関は以下の3つです。
・日本政策金融公庫
・銀行
・信販会社(ソーラーローン)
1000万円を金利2%で15年借りた場合、利息総額は1,583,075円となります。これが金利1%だと772,812円まで下がりますので、収支も大きく変わってきます。額が額だけに金利にはシビアになる必要があるでしょう。
最も金利が低いのは日本政策金融公庫で、1%を切る低金利で融資を受けることもできます。しかし、返済期間や時期などの条件により金利は変動しますので、信販会社のソーラーローンとあまり変わらないこともあります。
まとめ
シミュレーションはその良し悪しによって投資するかどうかの指標となる重要なものです。何にいくらぐらいかかるのか、20年間でどのようなリスクがあるのかをしっかりと把握しながら、正確にシミュレーションを算出することが大切です。また、業者が出したシミュレーションで不明な点がある場合は必ず質問するようにしましょう。
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