太陽光発電投資は儲からない?やめとけと言われるリスクや節税メリットを解説
| カテゴリ:太陽光発電投資の基礎知識
太陽光発電への投資は「儲かるのか」という期待がある一方で、「やめとけ」という声も聞かれます。
実際に、売電価格の下落といったリスクが存在するのは事実です。
しかし、太陽光投資には長期的に安定した収益が期待できるほか、節税といった見逃せないメリットもあります。
この記事では、太陽光投資が儲からないと言われる理由から、具体的なリスクと対策、そして成功するためのポイントまでを網羅的に解説します。
目次
太陽光投資が「儲からない」「やめとけ」と言われる3つの理由
太陽光投資に対して「儲からない」「やめとけ」といった否定的な意見が見られる背景には、いくつかの明確な理由が存在します。
特に、収益の根幹である売電価格の下落や、自然エネルギーならではの不安定さ、そして電力会社の都合による出力制御といった点が、主な懸念材料として挙げられます。
これらの要素が、投資への不安を煽る原因となっているのです。
ここでは、それぞれの理由について具体的に掘り下げていきます。
理由1:売電価格が年々下落しているため
太陽光投資の収益性を疑問視する大きな理由として、FIT制度における売電価格が年々下落している点が挙げられます。
この制度は再生可能エネルギーの普及を目的としており、導入初期は高い買取価格が設定されていました。
しかし、太陽光パネルの製造コスト低下や普及の進展に伴い、新規で認定を受ける案件の買取単価は毎年引き下げられています。
2012年度には1kWhあたり40円(税抜)だった価格が、2024年度には10kW以上50kW未満で10円(税抜)にまで下がりました。
この価格下落が、将来的な収益性の低下を懸念させ、「今から始めても儲からない」という印象を与える一因となっています。
理由2:天候によって毎月の発電量が変動するため
太陽光発電はその名の通り太陽光を利用して電気を生み出すため収益が天候に大きく左右されます。
晴天の日が続けば発電量は増えますが梅雨の時期や秋の長雨冬場の日照時間が短い季節など曇りや雨の日が多ければ発電量は想定を下回り売電収入も減少します。
特に台風のシーズンは発電量が落ち込むだけでなく設備が破損するリスクも抱えています。
このように月々の収入が不安定になりがちで年間を通した収支シミュレーション通りに進まない可能性がある点が計画的な資産運用を望む投資家にとって懸念材料となり得ます。
理由3:電力会社の出力制御で売電できなくなるため
出力制御とは、電力の供給量が需要量を大幅に上回った際に、電力会社が安定供給を維持するために発電事業者に対して発電を一時的に停止させる措置のことです。
太陽光発電の導入が特に進んでいる九州や四国などのエリアでは、晴天の昼間などに電力供給が過剰になりやすく、出力制御が実施されることがあります。
この出力制御が行われている間は発電しても売電ができないため、その分の収益機会を失うことになります。
将来的に再生可能エネルギーの導入がさらに進めば、出力制御の頻度や時間が増加する可能性もあり、これが収益を圧迫するリスクとして認識されています。
それでも太陽光投資を始めるメリットとは?
太陽光投資には「儲からない」と言われる側面がある一方で、それを上回る可能性を秘めたメリットも存在します。
国の制度に裏付けられた収益の安定性や、他の投資商品と比較して魅力的な利回り、さらには節税効果など、賢く活用すれば大きな儲けを生み出すことが可能です。
ここでは、太陽光投資が依然として多くの投資家を惹きつける具体的なメリットを3つの観点から解説し、その収益性の高さを明らかにします。
メリット1:20年間は国が定める固定価格で売電できる
太陽光投資の最大の魅力は、FIT(固定価格買取制度)によって、国が定めた価格で20年間(10kW以上の場合)の売電が保証されている点です。
売電価格が年々下落しているのは事実ですが、それはあくまで新規で事業認定を受ける場合の話です。
一度認定を受ければ、その時点での買取価格が20年間にわたって維持されます。
このため、株式投資や為替取引のように日々の価格変動に一喜一憂する必要がなく、長期間にわたって非常に安定した収益計画を立てることが可能です。
将来の収入を高い確度で予測できるこの安定性は、他の投資にはない大きな強みと言えます。
メリット2:不動産投資などより高い利回りが期待できる
太陽光投資は、他の代表的な投資対象と比較して高い利回りが期待できる点も大きなメリットです。
一般的に、産業用太陽光発電の表面利回りは8~10%程度が目安とされており、これは都市部のワンルームマンション投資などの不動産投資(表面利回り3~5%程度)と比較しても魅力的な水準です。
また、不動産投資における空室や家賃滞納といったリスクが太陽光投資には存在しません。
FIT制度に基づき、発電した電力は電力会社が必ず買い取ってくれるため、計画通りの発電量さえ確保できれば、安定して高い収益を上げ続けることが可能です。
メリット3:減価償却費の計上で節税効果が見込める
太陽光発電設備は、法定耐用年数が17年の減価償却資産として扱われます。
これにより、設備の取得費用を17年間に分割して毎年経費として計上可能です。
この減価償却費を計上することで、太陽光投資で得た利益だけでなく、給与所得など他の所得と損益通算して課税所得全体を圧縮できます。
結果として、所得税や住民税の負担を軽減する効果が期待できるのです。
特に、高い所得を得ている給与所得者や個人事業主にとって、この節税メリットは投資利回りとは別に得られる大きな恩恵となり、実質的な手残りを増やすことにつながります。
太陽光投資を始める前に知るべきデメリットと注意点
太陽光投資には多くのメリットがある一方で、無視できないデメリットや注意点も存在します。
屋外に設備を設置する性質上、自然災害による破損リスクは避けられません。
また、FIT制度が終了した後の収益性の問題や、盗難、維持管理費用の発生など、長期的な視点で考慮すべき課題があります。
これらのリスクを事前に把握し、対策を講じておくことが、投資を成功させるための鍵となります。
デメリット1:台風や地震など自然災害で設備が壊れる恐れがある
太陽光発電設備は屋外に長期間設置されるため、台風や竜巻、豪雨、地震、落雷といった自然災害のリスクに常に晒されています。
台風による強風でパネルが飛散したり、飛来物によって破損したりするケースは少なくありません。
また、地震で架台が倒壊したり、集中豪雨による土砂崩れで設備が流されたりする可能性も考えられます。
設備が損壊すれば、修理費用が発生するだけでなく、復旧するまでの間は売電収入が完全に途絶えてしまいます。
こうした突発的な損害は事業計画を大きく狂わせる要因となるため、事前の対策が不可欠です。
デメリット2:FIT期間終了後の売電収入が大幅に下がる可能性がある
FIT制度による20年間の固定価格買取期間が終了した後(卒FIT)の収益計画は、多くの投資家が抱える課題です。
卒FIT後の売電価格は、市場価格に連動する形となり、FIT期間中の固定価格よりも大幅に安くなることが確実視されています。
そのため、21年目以降の売電収入は大きく減少し、投資の収益性が著しく低下する可能性があります。
この対策として、発電した電力を売電するのではなく、蓄電池を導入して自家消費に回したり、新たに契約する電力会社を選定したりするなど、FIT期間中から将来を見据えた出口戦略を検討しておく必要があります。
デメリット3:設備の盗難やいたずらの被害に遭う危険性がある
太陽光発電所、特に人里離れた場所に設置されている場合、設備や部材が盗難のターゲットになることがあります。
特に、銅価格の高騰を背景に、送電に使われる銅線ケーブルの盗難被害が多発しています。
また、太陽光パネル自体が盗まれたり、投石などのいたずらによって破損させられたりするケースも報告されています。
盗難やいたずらの被害に遭うと、設備の再購入費用や修理費用がかかるだけでなく、発電が停止している間の売電機会も失ってしまいます。
防犯カメラやセンサーライト、侵入防止用のフェンスを設置するなど、物理的な防犯対策が重要となります。
デメリット4:定期的なメンテナンスや修繕に費用がかかる
太陽光発電設備は「メンテナンスフリー」と誤解されがちですが、長期にわたって安定した発電量を維持するためには定期的なメンテナンスが欠かせません。
太陽光パネルの表面に付着した鳥のフンや砂埃、雑草の影などは発電効率を低下させるため、定期的な清掃や除草作業が必要です。
また、電力を変換するパワーコンディショナーは消耗品であり、10~15年程度で交換が必要になることが多く、その際にはまとまった費用が発生します。
これらの維持管理費用や将来の修繕費をあらかじめ収支シミュレーションに組み込んでおかないと、想定していた利回りを確保できなくなる可能性があります。
太陽光投資で失敗しないための成功ポイント
太陽光投資で安定した収益を上げるためには、事前にリスクを理解し、適切な対策を講じることが不可欠です。
特に、高額なローンを組んで始めるケースが多いため、失敗は避けなければなりません。
成功の鍵は、立地条件の吟味、精度の高い事業計画、リスクヘッジとしての保険加入、そして信頼できるパートナー選びの4点に集約されます。
これらのポイントを一つずつ確実に押さえることで、失敗のリスクを最小限に抑えられます。
ポイント1:日照時間が長く災害リスクの低い土地を選ぶ
太陽光投資の収益は発電量に比例するため、設置場所の日照条件が最も重要な要素です。
年間を通じて日照時間が長く、安定した発電量が見込める土地を選定することが成功への第一歩となります。
周辺に太陽光を遮る山や高い建物がないかを確認するのはもちろん、過去の気象データを基に日射量をシミュレーションすることが欠かせません。
同時に、ハザードマップなどを活用して、洪水、土砂崩れ、地盤沈下といった自然災害のリスクが低いエリアであるかを確認することも重要です。
長期的に安定した運用を目指す上で、土地選びは妥協できないポイントです。
ポイント2:精度の高い収支シミュレーションを入手する
投資を判断する上で、根拠となる収支シミュレーションの精度は極めて重要です。
販売会社が提示するシミュレーションを鵜呑みにするのではなく、その内容を精査する必要があります。
売電収入の見込みだけでなく、初期費用、土地代、接続負担金、メンテナンス費用、保険料、固定資産税、将来の修繕費といったあらゆる支出が現実的な数値で盛り込まれているかを確認します。
特に発電量の予測値は、甘い見積もりになっていないか、どのようなデータに基づいて算出されたのかを詳しく確認することが肝心です。
複数の会社からシミュレーションを取り寄せ、比較検討するのが賢明な方法です。
ポイント3:災害や盗難に備えて保険に必ず加入する
台風や地震といった自然災害による設備の損壊や、ケーブルなどの盗難リスクは、どれだけ対策をしても完全には排除できません。
万が一の事態が発生した際に、事業が破綻してしまうのを防ぐために、保険への加入は必須です。
具体的には、火災、落雷、風災、水災、盗難などを幅広くカバーする動産総合保険(火災保険)に加入します。
さらに、設備が故障して売電できなくなった期間の逸失利益を補償してくれる休業補償保険も併せて検討すべきです。
保険料はコストとして計上されますが、高額な投資資産を守るための必要経費と捉える必要があります。
ポイント4:実績が豊富で信頼できる販売会社を見つける
太陽光投資の成否は、パートナーとなる販売・施工会社の質に大きく左右されます。
会社の選定にあたっては、まず太陽光発電所の販売や施工に関する実績が豊富であるかを確認します。
長期にわたる事業であるため、会社の経営が安定しており、設置後のメンテナンスやトラブル対応といったアフターフォロー体制が充実していることも重要な判断基準となります。
一つの会社に絞らず、複数の会社から提案や見積もりを受け、シミュレーションの精度、担当者の専門知識や対応の誠実さなどを総合的に比較し、長期的に付き合える信頼できるパートナーを見つけ出すことが成功への近道です。
太陽光投資はこんな人におすすめ
太陽光投資は、その特性から特定の人にとって非常に魅力的な選択肢となります。
例えば、本業で忙しい個人やサラリーマンでも始めやすい安定した副収入源を探している場合や、税金対策を考えている高所得者層が挙げられます。
また、単なる利益追求だけでなく、環境問題への貢献という社会的な意義に関心を持つ人にも適しています。
ここでは、どのような目的や志向を持つ人が太陽光投資に向いているのかを具体的に示します。
長期的に安定した収入源を確保したい人
太陽光投資は、FIT制度によって20年間という長きにわたり、国が定めた価格で電力を買い取ってもらえるため、極めて安定性の高い収入が期待できます。
株価や為替のように日々変動する市場を注視する必要がなく、一度発電所が稼働すれば、管理に大きな手間がかからないのが特徴です。
このため、本業が忙しいサラリーマンなどが、手間をかけずに副収入を得る手段として適しています。
老後の年金を補うための資産形成や、将来の教育資金準備など、長期的な視点で安定したキャッシュフローを構築したい人にとって、有力な選択肢の一つとなります。
相続税や所得税の対策をしたい人
太陽光発電設備は、相続税評価額を圧縮する効果が期待できるため、相続税対策として有効な手段となり得ます。
現金や預金で資産を保有している場合と比較して、設備の評価額は時価よりも低くなる傾向があるため、相続財産を減らすことが可能です。
また、個人事業主や高所得のサラリーマンにとっては、所得税の節税メリットも大きいです。
設備の取得費用を減価償却費として毎年経費計上できるため、課税所得を圧縮し、結果的に所得税や住民税の負担を軽減させることができます。
このように、資産運用と節税を両立させたい人におすすめです。
社会貢献や環境問題に関心がある人
太陽光発電は、発電時に二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーです。
太陽光投資を行うことは、再生可能エネルギーの普及を後押しし、地球温暖化対策に直接貢献することを意味します。
投資を通じて経済的なリターンを得ると同時に、持続可能な社会の実現に寄与できるという側面は、大きな魅力と言えます。
単に資産を増やすだけでなく、自分の投資行動が環境保護やエネルギー問題の解決といった社会的な価値につながることに意義を感じる人にとって、太陽光投資は非常に満足度の高い選択肢となるでしょう。
まとめ
太陽光投資が「儲からない」と言われる背景には、売電価格の下落や天候による発電量の変動、出力制御といった無視できないリスクが存在します。
しかし、FIT制度による20年間の固定価格買取は収益の安定性を担保し、不動産投資などと比較して高い利回りや減価償却による節税効果といった大きなメリットも併せ持っています。
成功のためには、これらのリスクとメリットを正しく天秤にかけ、事前の対策を徹底することが求められます。
日照条件が良く災害の少ない土地を選び、精度の高い収支シミュレーションを基に判断し、万が一の事態に備えて保険に加入すること、そして長期的なパートナーとなる信頼できる販売会社を見極めることが、太陽光投資を成功に導くための重要な要素です。