太陽光発電は儲からないは嘘?投資はやめとけと言われるリスクと成功のコツ
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太陽光発電は本当に儲かるのかという疑問を持つ方へ。売電価格の下落から太陽光発電は儲からないと言われることがありますが、必ずしもそうとは限りません。設備費用の低下や、売電以外の様々なメリットも存在するためです。
今回は太陽光発電投資に潜むリスクと、それを乗り越えて利益を出すための具体的な対策や成功のコツを解説します。
目次
太陽光発電投資が「やめとけ」「儲からない」と言われる5つの理由

太陽光発電投資が「やめとけ」「儲からない」と言われる背景には、主に5つの理由が存在します。
その中でも売電価格の下落や出力制御、災害リスクといった要因は、事業計画に大きな影響を与え、場合によっては投資の失敗に直結する可能性も否定できません。
だからこそこれらの具体的な理由を事前に理解し、対策を講じることが重要です。
本章では、投資を検討する上で必ず知っておくべきネガティブな側面を詳しく掘り下げていきます。
理由1:売電価格(FIT単価)が年々下落しているから
FIT(固定価格買取制度)が開始された2012年度当初、10kW以上の産業用太陽光発電の売電価格は1kWhあたり40円(税抜)でした。
しかし、この単価は年々下落を続け、2025年度には9.9円(10kW以上50kW未満の地上設置)まで低下しています。
この売電単価の大幅な下落が「太陽光発電は儲からない」と言われる最大の理由です。
ただし、売電価格の低下と並行して、太陽光パネルやパワーコンディショナーといった設備費用も大きく下落しています。
そのため、売電価格が下がったからといって、必ずしも利回りが悪化しているわけではない点も理解しておく必要があります。
理由2:出力制御によって売電収入が減少する可能性があるから
出力制御とは、電力の需要と供給のバランスを保つため、電力会社が一時的に太陽光発電所からの電力の受け入れを制限することです。
電力の供給量が需要量を上回ってしまうと、大規模な停電につながる恐れがあるため、それを防ぐ目的で行われます。
出力制御が実施されると、その期間は発電した電気を売ることができなくなり、結果として売電収入がシミュレーションよりも減少してしまいます。
特に、九州電力や四国電力など、再生可能エネルギーの導入が進んでいるエリアでは出力制御が実施される頻度が高くなる傾向にあり、物件を選ぶ際の注意点となります。
理由3:台風などの自然災害やケーブル盗難のリスクがあるから
太陽光発電設備は屋外に設置されるため、台風によるパネルの飛散や破損、水害による設備の浸水、落雷による機器の故障といった自然災害のリスクに常に晒されています。
また、近年では銅価格の高騰を背景に、発電所のケーブルを狙った盗難被害が全国で増加傾向にあります。
これらの災害や盗難に遭うと、設備の修繕に高額な費用がかかるだけでなく、復旧までの期間は売電ができず機会損失も発生します。
こうした物理的な損害リスクは、太陽光発電投資における大きな懸念点の一つであり、事前の対策が不可欠です。
理由4:メンテナンスや将来の廃棄に想定外の費用がかかるから
太陽光発電は「メンテナンスフリー」というイメージを持たれがちですが、実際には安定した発電量を維持するために定期的な管理が不可欠です。
具体的には、パネルの洗浄や除草、機器の定期点検などのO&M(運用・保守)費用が発生します。
また、主要機器であるパワーコンディショナーは10年~15年で寿命を迎えることが多く、交換にはまとまった費用が必要です。
さらに、FIT期間終了後の設備撤去や廃棄にも費用がかかるというデメリットがあります。
これらの長期的なコストを事前に計画へ組み込んでおかないと、収支が想定外に悪化する原因となります。
理由5:インボイス制度などの法改正で利益が圧迫されるから
2023年10月から開始されたインボイス制度も、太陽光投資の収益性に影響を与える要因です。
これまで多くの個人投資家は、売上が1,000万円以下の免税事業者として消費税の納税が免除されていました。
しかし、インボイス制度の開始により、電力会社から売電収入にかかる消費税分の支払いを受けるためには、課税事業者となってインボイスを発行する必要があります。
課税事業者になると消費税の納税義務が発生し、その分手取り収入が減少します。
一方で免税事業者のままでいると、消費税相当額の売電収入が減る可能性があり、どちらの選択をしても収益を圧迫する要因となり得ます。
太陽光発電は本当に儲からない?実際の利回りと収支を解説

太陽光発電投資にまつわる様々なリスクやネガティブな情報を踏まえた上で、ここでは「本当に儲かるのか」という核心に迫ります。
実際のところ、太陽光発電投資は他の投資対象と比較しても遜色のない、むしろ高い水準の利回りを期待できる可能性があります。
表面的な噂だけでなく、具体的な利回りの平均値や、詳細な収支シミュレーションモデルを確認することで、より現実的な収益性を判断できるはずです。
表面利回り10%も可能!不動産投資より高い平均利回り
太陽光発電投資の利回りは、一般的に表面利回りで10%前後、経費を差し引いた実質利回りでも7~8%程度が目安とされています。
これは、平均的な利回りが4~6%程度である不動産投資と比較しても、魅力的な水準です。
売電価格が下落した現在でも、設備費用の低下によって高い利回りを維持している物件は数多く存在します。
実際に、適切な物件選びと運用管理を行うことで、安定した収益を上げて「儲かった」と実感している投資家は少なくありません。
初期のシミュレーション通り、あるいはそれ以上の成果を出すことも十分に可能な投資と言えます。
【収支モデル】産業用太陽光発電の年間利益をシミュレーション
ここでは、具体的な数値を用いて産業用太陽光発電の収支をシミュレーションします。
例えば、物件価格2,000万円、FIT単価10円/kWh、年間想定発電量100,000kWhの物件を考えます。
この場合、年間の売電収入は100万円です。
一方、支出としてローン返済が年60万円、O&M費用が年5万円、保険料が年5万円、固定資産税が年10万円かかると仮定すると、年間支出の合計は80万円になります。
これにより、売電収入100万円から支出80万円を差し引いた20万円が、年間の手残り、つまり儲けの額となります。
これはあくまで一例であり、物件の条件やローンの組み方によって利益は変動します。
売電収入だけじゃない!太陽光発電投資が選ばれる3つのメリット

太陽光発電投資の魅力は、単に売電による収益だけにとどまりません。
他の投資にはない独自のメリットが存在することも、多くの投資家から選ばれる理由です。
特に、国の制度に裏付けされた収入の安定性や、税制上の優遇措置は大きな強みとなります。
ここでは、売電収入以外の3つの主要なメリットに焦点を当て、太陽光での発電事業がなぜ長期的に見て有利なのかを解説します。
メリット1:20年間の固定価格買取制度(FIT)で収入が安定しやすい
太陽光発電投資の最大のメリットは、FIT制度によって事業開始から20年間、国が定めた固定価格で電力を買い取ってもらえる点にあります。
これにより、長期にわたって非常に安定した収入を見込むことができます。
一般的な事業投資では、市場の需要や競合の状況によって収益が大きく変動するリスクが伴いますが、太陽光発電投資ではその心配がほとんどありません。
日照量による多少の変動はあるものの、年間を通してみれば発電量は比較的安定しており、極めて精度の高い事業計画を立てることが可能です。
メリット2:消費税還付や減価償却による高い節税効果が期待できる
太陽光発電投資は、高い節税効果が期待できる点も大きなメリットです。
課税事業者として登録することで、設備購入時に支払った高額な消費税の還付を受けられる「消費税還付」というスキームがあります。
また、取得した太陽光発電設備は減価償却資産として扱われるため、法定耐用年数(17年)にわたって毎年経費を計上できます。
これにより、他の事業所得や給与所得と損益通算することで所得税や住民税を圧縮することが可能です。
特に所得の高い個人事業主や法人にとって、この節税メリットは非常に大きな魅力となります。
メリット3:事業計画の立てやすさから金融機関の融資を受けやすい
太陽光発電投資は、FIT制度によって20年間の収入がほぼ確定しているため、事業計画の透明性が非常に高いという特徴があります。
この収益の安定性と予測可能性は金融機関から高く評価され、他の新規事業と比較して融資を受けやすい傾向にあります。
そのため、自己資金が少ない個人投資家でも、ローンを活用して大規模な投資をスタートさせることが可能です。
金融機関によっては、太陽光発電投資専門のローン商品を用意している場合もあり、資金調達のハードルが低い点は、この投資を始める上での大きなアドバンテージとなります。
太陽光発電投資で懸念される3つのデメリット
太陽光発電投資にはメリットがある一方、事前に理解しておくべきデメリットも存在します。
まず、太陽光発電は自然エネルギーであるため、発電量が天候に大きく左右される点が挙げられます。
梅雨や台風のシーズン、豪雪地帯などでは、想定していたシミュレーションよりも発電量が下回り、収益が減少する可能性があります。
また、売電価格は年々下落傾向にあり、今後新規で始める場合の利回りは低下していくことが予想されます。
さらに、FIT制度による固定価格での買取は20年間という期限があり、それ以降の収益は保証されていない点も太陽光発電投資のデメリットです。
太陽光発電投資で失敗しないために!知っておくべき5つのリスク対策

太陽光発電投資には確かにリスクが存在しますが、それらの多くは事前の対策によって回避したり、影響を最小限に抑えたりすることが可能です。
リスクを正しく理解し、適切な対策を講じることが、投資を成功に導く鍵となります。
ここでは、失敗を避けるために必ず知っておくべき5つの具体的なリスク対策を紹介します。
物件選びの段階から運用中に至るまで、それぞれの局面で有効な手段を学び、安定した収益確保を目指しましょう。
対策1:出力制御のリスクが少ないエリアの物件を選ぶ
出力制御のリスクを回避するためには、物件選びの段階でエリアを慎重に検討することが重要です。
電力会社各社はウェブサイトで過去の出力制御実績や今後の見通しに関する情報を公開しています。
これらの情報を参考に、比較的出力制御の可能性が低いとされるエリア(例:東京電力、中部電力、関西電力管内)の物件を選ぶことが有効な対策となります。
すでに再生可能エネルギーの導入量が多い九州や四国などのエリアは、出力制御のリスクが高まる傾向にあるため、特に注意深い判断が求められます。
対策2:自然災害保険や盗難保険に加入して万が一に備える
台風や落雷、水害、盗難といった物理的な損害リスクに備えるためには、保険への加入が不可欠です。
太陽光発電設備を対象とした動産総合保険や火災保険に加入することで、設備の損壊や盗難による損害を補償してもらえます。
さらに、これらの保険には「売電収入補償特約」を付帯できる場合が多く、設備が故障して売電できなくなった期間の逸失利益までカバーすることが可能です。
保険料は経費として計上できるため、万が一の事態に備え、必ず加入しておくべきです。
対策3:信頼できる(メンテナンス)業者に管理を委託する
発電量の低下を防ぎ、長期的に安定した運用を続けるためには、専門的な知見を持つO&M(運用・保守)業者にメンテナンスを委託することが効果的です。
信頼できるO&M業者は、定期的な点検や除草、パネル洗浄だけでなく、遠隔監視システムを用いて日々の発電状況をチェックし、異常があれば迅速に対応してくれます。
設備の不具合を早期に発見し対処することで、発電停止期間を最小限に抑えることができます。
業者によってサービス内容や費用が異なるため、複数の業者を比較検討し、実績豊富な業者を選ぶことが重要です。
対策4:実績が豊富で誠実な販売・施工会社を見極める
太陽光発電投資の成功は、入口となる販売・施工会社選びで大きく左右されます。
会社の施工実績や財務状況、提供している設備のメーカーや保証内容を十分に確認しましょう。
特に、長期的なパートナーとなるため、アフターフォロー体制が充実しているかは重要な判断基準です。
一部にはずさんな工事を行ったり、デメリットを十分に説明しなかったりする悪質な業者も存在するため、複数の会社から話を聞き、担当者の対応や提案内容を比較して、誠実で信頼できる会社を慎重に見極める必要があります。
対策5:甘いシミュレーションを鵜呑みにせず複数の業者を比較検討する
販売会社が提示する収支シミュレーションは、あくまで予測値であり、必ずしもその通りの収益が保証されるわけではありません。
中には、契約を取りたいがために、日照条件を楽観的に設定したり、経年劣化による発電量の低下やメンテナンス費用を考慮していなかったりする甘いシミュレーションを提示する業者も存在します。
提示されたシミュレーションの前提条件(発電量データ、劣化率、経費など)を細かく確認し、少しでも疑問があれば質問することが大切です。
複数の業者から相見積もりとシミュレーションを取り、現実的な収支計画を立てることが失敗を避ける上で不可欠です。
太陽光発電投資で成功確率を高める3つのポイント

リスクを回避する守りの対策だけでなく、より積極的に利益を追求し、成功確率を高めるための攻めの戦略も重要です。
市場の動向を読み、制度を最大限に活用することで、投資リターンを向上させることが可能になります。
ここでは、数ある戦略の中でも特に効果的な3つの実践的ポイントを解説します。
物件の探し方から出口戦略、資金調達に至るまで、一歩進んだ視点で投資計画を練り上げていきましょう。
ポイント1:FIT単価の高い中古物件を視野に入れて探す
新規のFIT単価が下落している現在、過去の高いFIT単価が適用された中古の太陽光発電所が投資対象として注目されています。
例えば、FIT単価が20円台や30円台で認定された物件が市場に出ることがあり、これらの物件は新規物件に比べて格段に高い利回りを期待できます。
ただし、中古物件は設備の経年劣化や過去のメンテナンス状況などを慎重に見極める必要があります。
専門家によるデューデリジェンス(資産調査)などを活用し、設備の健康状態を正確に把握した上で投資判断をすることが成功の鍵となります。
ポイント2:FIT終了後(21年目以降)の出口戦略を事前に計画しておく
20年間のFIT期間が終了した後の運用方法、いわゆる「出口戦略」を投資開始時点から計画しておくことは非常に重要です。
FIT終了後の選択肢としては、主に「電力会社と新たな契約を結び売電を継続する」「発電した電気を自家消費する」「蓄電池を導入して電気を貯め、需要が高い時間帯に売電する」「設備全体を売却する」などが考えられます。
21年目以降の収益を最大化するために、どの戦略が自身の状況に最も適しているかをあらかじめ検討し、長期的な視点で事業計画を立てることが求められます。
ポイント3:自己資金を抑えるためにフルローンやオーバーローンを活用する
太陽光発電投資は金融機関からの融資を受けやすい特性があるため、これを最大限に活用する資金計画が成功のポイントです。
物件価格の全額を融資で賄う「フルローン」や、登記費用などの諸経費まで含めて借り入れる「オーバーローン」を利用できれば、自己資金をほとんど使わずに投資を始めることができます。
手元資金を残しておくことで、急な修繕費用の発生など不測の事態にも対応しやすくなります。
ただし、借入額が大きくなる分、金利の変動リスクや返済計画には細心の注意を払い、無理のない範囲でローンを活用することが重要です。
まとめ
太陽光発電投資が「儲からない」と言われる背景には、売電価格の下落や出力制御、災害リスクといった具体的な要因が存在します。
しかし、これらのリスクは、エリア選定や保険加入、信頼できる業者選びといった適切な対策を講じることで十分に管理することが可能です。
一方で、FIT制度による収入の安定性や高い節税効果といったメリットも大きく、他の投資対象と比較しても魅力的な利回りが期待できます。
成功のためには、甘いシミュレーションを鵜呑みにせず、中古物件も視野に入れるなど、多角的な情報収集と慎重な事業計画が不可欠です。