太陽光発電の全リスク一覧|後悔する前に知るべき問題点と対策
| カテゴリ:太陽光発電投資の基礎知識
太陽光発電の導入を検討する際、多くのメリットに目が行きがちですが、長期的な視点で見ると様々なリスクや問題点が潜んでいます。
経済的なデメリットから物理的な損害、近隣トラブルまで、事前に懸念を把握しなければ「こんなはずではなかった」と後悔するかもしれません。
最悪の場合、金銭的に損するだけでなく、生活に支障をきたす問題に発展することも考えられます。
この記事では、太陽光発電が抱える全リスクを網羅的に解説し、失敗しないための具体的な対策を提示します。
目次
太陽光発電の導入前に知るべき4つのリスク分類
太陽光発電の導入に伴うリスクは、多岐にわたりますが、大きく4つのカテゴリーに分類して理解することが重要です。
第一に、初期費用や維持費、売電価格の変動といった「経済的リスク」。
第二に、自然災害による破損や経年劣化などの「物理的リスク」。
第三に、パネルの反射光や騒音による「近隣トラブルのリスク」。
そして最後に、不適切な工事や契約内容に関する「業者選定のリスク」です。
これらのリスクは相互に関連し合うこともあり、それぞれに特有の危険性が存在します。
導入を決める前に、これらの分類を念頭に置き、どのような問題が起こりうるのかを具体的に把握しておくことが、後悔を避けるための第一歩となります。
【経済的リスク】お金で損をしないために押さえるべき5つの問題点

太陽光発電は長期的な投資ですが、シミュレーション通りに収益が上がらず、経済的な損失につながるリスクを抱えています。
初期費用0円を謳うサービスもありますが、維持費や将来の廃棄費用まで含めたトータルコストで判断しなければなりません。
ここでは、売電価格の下落や予期せぬ出費など、お金で損をしないために事前に押さえておくべき5つの問題点を具体的に解説します。
問題点1:初期費用の回収がシミュレーション通りに進まない
太陽光発電の導入時に提示される初期費用の回収シミュレーションは、あくまで理想的な条件下での予測値に過ぎません。
天候不順によって想定よりも日照時間が短くなったり、季節によって発電量が大きく変動したりすることで、実際の発電量はシミュレーションを下回ることがあります。
特に、業者が提示するシミュレーションは、有利な条件で計算されている可能性も否定できません。
この予測値を保証するものと誤解してしまうと、計画通りに費用を回収できず、結果的に経済的な負担が大きくなるリスクがあります。
シミュレーションは参考程度に留め、余裕を持った資金計画を立てることが求められます。
問題点2:売電価格の下落により想定していた収益が得られない
太陽光発電で得られる売電収入は、固定価格買取制度(FIT制度)によって一定期間保証されますが、この買取価格は年々低下しています。
制度が開始された当初に比べて現在の売電単価は大幅に下がっており、今後もこの傾向が続くと予想されます。
そのため、導入を検討している時点での売電価格を基に収支計画を立てても、実際に連系されるタイミングの価格が適用されるため、想定していた収益が得られない可能性があります。
売電収入を主な目的として導入を考えると、価格低下のリスクによって投資回収が困難になるケースも少なくありません。
自家消費をメインに考え、余剰分を売電するというスタンスがより現実的です。
問題点3:パワーコンディショナの交換など維持・管理費用が発生する
太陽光パネルの寿命は20年〜30年と長い一方、発電した電気を家庭で使えるように変換するパワーコンディショナ(パワコン)の寿命は10年〜15年が目安です。
そのため、長期運用する中では、パワコンの交換費用として20万円〜30万円程度の出費が必ず発生します。
また、安定した発電量を維持するためには、定期的なメンテナンスや清掃も欠かせません。
これらの維持・管理費用を導入前に見積もっておかないと、売電で得た収益が想定外の出費で相殺されてしまう可能性があります。
長期的な視点でランニングコストを把握し、資金計画に組み込んでおくことが不可欠です。
問題点4:FIT制度終了後に収益性が大幅に悪化する可能性がある
住宅用太陽光発電の場合、10年間の固定価格買取期間が終了(卒FIT)すると、売電価格が大幅に下落する可能性があります。
電力会社は引き続き電気を買い取ってくれますが、その価格はFIT期間中のような優遇されたものではなく、市場価格に近い安い単価になります。
これにより、売電による収益ループがストップし、収益性が大きく悪化しかねません。
卒FIT後を見据え、発電した電気を売るのではなく、蓄電池を導入して自家消費に回したり、新しい電力プランを契約し直したりするなど、対策を事前に検討しておく必要があります。
何も対策をしなければ、経済的なメリットが大きく損なわれる事態に陥ることも考えられます。
問題点5:将来パネルを撤去・廃棄する際に費用負担が生じる
太陽光パネルの寿命が尽きた後には、撤去および適切な廃棄が求められ、そのための費用が発生します。
撤去費用は足場の設置有無など条件によって変動しますが、一般的に10万円以上かかると言われています。
さらに、廃棄費用についても、2022年7月から太陽光発電所の解体等費用積立制度が始まり、将来の廃棄に備えることが求められるようになりました。
この費用は売電収入から差し引かれる形で積み立てられますが、制度開始前に認定を受けた設備は対象外であるため、別途自己資金で準備しなくてはなりません。
導入時のコストだけでなく、将来必ず発生する出口の費用まで考慮に入れておく必要があります。
【物理的リスク】災害や経年劣化による4つの危険性

太陽光発電設備は屋根の上など屋外に設置されるため、常に自然の猛威や経年劣化に晒されています。
台風や積雪、落雷といった自然災害による設備の破損は、発電停止による経済的損失だけでなく、二次的な被害を引き起こす危険性もはらんでいます。
ここでは、物理的な要因によって生じる4つの具体的なリスクと、それに伴う問題点について解説します。
危険性1:台風や積雪、落雷などの自然災害で設備が破損する
屋外に設置されるソーラーパネルは自然災害による物理的な破損リスクを常に抱えています。
強風でパネルが飛ばされたり飛来物によって表面が損傷したりする被害は台風時に起こり得ます。
また豪雪地帯では雪の重みで架台や屋根が破損するケースも報告されています。
さらに落雷が直撃すればパワーコンディショナなどの電気系統が故障し修理に高額な費用がかかることも少なくありません。
これらの自然災害による損害は発電が停止することによる売電収入の逸失にも直結します。
災害に備えて火災保険の補償内容を確認したり必要に応じて保険に加入したりするなどの対策が重要です。
危険性2:施工不良が原因で屋根から雨漏りが発生する
太陽光パネルを屋根に設置する際、架台を固定するために屋根に穴を開ける工法が一般的です。
このとき、防水処理が不十分であったり、専門知識のない業者が施工したりすると、その穴から雨水が浸入し、雨漏りの原因となることがあります。
雨漏りは建物の躯体を傷め、資産価値を大きく損なう深刻な問題に発展しかねません。
一度発生すると原因の特定や修繕が難しく、高額な費用がかかることもあります。
このようなリスクを避けるためには、屋根に関する十分な知識と豊富な施工実績を持つ、信頼できる業者を選ぶことが極めて重要です。
施工会社の保証内容を事前に確認することも欠かせません。
危険性3:パネルの経年劣化によって発電効率が低下する
太陽光パネルは長期間の使用により、少しずつ性能が劣化していきます。
パネルの部材が紫外線や風雨に晒されることで、発電効率が徐々に低下していくことは避けられません。
多くのメーカーは20年〜25年の出力保証を付けていますが、これは保証期間内に一定の出力値を下回った場合にのみ適用されるものです。
保証されている数値以上の性能低下は起こりうる現象であり、発電量の減少は直接的に収益の悪化につながります。
特に、大規模なメガソーラー施設だけでなく、住宅用においても長期的な視点での収支シミュレーションには、この経年劣化による効率低下を正確に織り込む必要があります。
危険性4:火災発生時に感電や消火活動の障害となる
太陽光発電システム自体が原因で火災が発生するケースは稀ですが、万が一、自宅が火災に見舞われた際には特有のリスクが生じます。
太陽光パネルは光が当たっている限り発電を続けるため、消防隊が放水による消火活動を行う際に感電する危険が伴います。
このため、消火活動が難航し、被害が拡大してしまうおそれがあるのです。
また、夜間であっても消防車のライトなどで発電してしまうことがあります。
こうした事態に備え、緊急時にシステムを安全に停止させる手順を家族で共有しておくことや、消防署へ設置情報を事前に提供しておくなどの対策が考えられます。
【近隣トラブルのリスク】予期せぬご近所からのクレーム
太陽光発電の設置は、自宅だけの問題で終わらないケースがあります。
パネルの反射光やパワーコンディショナの運転音が、近隣住民の生活に影響を与え、思わぬクレームに発展することがあるのです。
ご近所付き合いにひびが入るだけでなく、裁判沙汰になる可能性もゼロではありません。
導入前に、自宅の周辺環境や隣家との位置関係をよく確認し、トラブルの火種となりうる点がないか、細心の注意を払う必要があります。
クレーム1:太陽光パネルの反射光がまぶしい
太陽光パネルの設置角度や方角によっては、太陽光が鏡のように反射し、近隣の住宅の窓に差し込んでしまうことがあります。
この反射光が「まぶしくて生活できない」といったクレームになり、深刻な近隣トラブルに発展するケースが報告されています。
特に、北向きの屋根に設置した場合や、冬場の太陽高度が低い時期に問題が起きやすい傾向にあります。
こうした事態を避けるためには、契約前に業者に依頼して、反射光が周辺にどのような影響を与えるかシミュレーションしてもらうことが重要です。
事前にリスクを把握し、パネルの配置や角度を調整することで、トラブルを未然に防ぐことが可能になります。
クレーム2:機器の運転音が騒音問題に発展する
太陽光発電システムの一部であるパワーコンディショナは、運転中に「モスキート音」とも呼ばれる高周波の音を発生させます。
この音は、人によっては不快に感じることがあり、特に静かな住宅街では騒音として捉えられかねません。
パワーコンディショナの設置場所が隣家の寝室やリビングの近くであった場合、運転音が原因でクレームにつながるリスクがあります。
多くの製品は図書館内と同程度の静音設計になっていますが、音の感じ方には個人差があるため油断はできません。
設置場所を決める際には、自宅の利便性だけでなく、隣家への影響も十分に配慮することが、無用なトラブルを避けるために不可欠です。
【業者選定のリスク】契約後に後悔しないための注意点
太陽光発電システムの性能を最大限に引き出し、長期にわたって安心して利用するためには、信頼できる業者選びが最も重要です。
しかし、中にはずさんな工事を行ったり、不当に高額な費用を請求したりする悪徳業者も存在します。
業者選びを誤ると、経済的な損失だけでなく、設備の不具合や保証の問題など、後々まで続くトラブルに発展しかねません。
契約前に十分な注意を払うことが求められます。
注意点1:悪徳業者の不適切な工事や高額請求
太陽光発電の業界には、残念ながら悪徳業者が存在します。
「今だけモニター価格で安くなる」といったセールストークで契約を急かし、相場よりもはるかに高額な費用を請求したり、知識や技術が不足したまま不適切な工事を行ったりするケースがあります。
特に、突然訪問してくる業者には注意が必要です。
ずさんな工事は、雨漏りや機器の故障といった直接的な被害につながるだけでなく、メーカー保証の対象外となる原因にもなりかねません。
その場で契約を決めず、必ず複数の業者から見積もりを取り、サービス内容や費用を冷静に比較検討することが、悪徳業者による被害を防ぐための鉄則です。
注意点2:施工会社の倒産により保証が受けられなくなる
太陽光発電は20年以上にわたる長期的な運用が前提となる設備です。
そのため、設置後のメンテナンスや万が一のトラブル対応は、施工会社と長い付き合いになります。
しかし、もしその施工会社が倒産してしまった場合、独自の施工保証や定期点検などのアフターサービスが受けられなくなるというリスクがあります。
パネルやパワコンなどの機器に対するメーカー保証は残りますが、施工に起因するトラブル、例えば雨漏りなどが発生した際に対応を依頼する先がなくなってしまいます。
業者を選ぶ際には、価格や提案内容だけでなく、経営の安定性や長年の実績なども含めて、長期的に信頼できる会社かどうかを見極める視点が不可欠です。
太陽光発電のリスクを回避し、失敗を防ぐための5つの対策

これまで解説してきた様々なリスクは、太陽光発電の導入をためらわせる要因かもしれません。
しかし、これらのリスクは事前に正しく理解し、適切な対策を講じることで、その多くを回避または軽減することが可能です。
対策をしっかりと行うことで、太陽光発電が持つ経済的・環境的なメリットや魅力を安心して享受できます。
ここでは、失敗や後悔を防ぐための具体的な5つの対策を紹介します。
対策1:複数の優良業者から見積もりを取り比較検討する
太陽光発電の導入で後悔しないためには、1社だけでなく、必ず複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」が不可欠です。
複数の提案を比較することで、自宅の屋根に最適なパネルの種類や設置枚数、そして工事費用を含めた適正な価格相場を把握できます。
見積もりを依頼する際は、単に総額の安さだけで判断してはいけません。
費用の内訳が詳細に記載されているか、使用する機器のメーカーや型番、保証内容が明確になっているかなど、細部までしっかりと確認しましょう。
担当者の説明が丁寧で、質問に対して誠実に回答してくれるかどうかも、信頼できる優良業者を見極めるための重要なポイントです。
対策2:収支シミュレーションの妥当性を慎重に確認する
業者から提示される収支シミュレーションは、導入を判断する上で重要な資料ですが、その内容を鵜呑みにするのは危険です。
シミュレーションがどのような根拠に基づいて算出されているのか、その妥当性を慎重に確認する必要があります。
例えば、日照時間や発電量のデータはどの地域のものを採用しているか、パネルの経年劣化による発電効率の低下率は何パーセントで見積もっているか、パワーコンディショナの交換費用やメンテナンス費用は含まれているかなど、具体的な算出根拠を問い質しましょう。
業者にとって都合の良い、過度に楽観的な数値が使われていないかを見極めることが、現実的な収支計画を立てる上で極めて重要です。
対策3:自然災害補償やメーカー保証の内容を十分に確認する
台風や落雷などの自然災害による設備の破損に備えることは、物理的リスクを管理する上で欠かせません。
まずは、現在加入している火災保険の契約内容を確認し、太陽光発電設備が補償の対象に含まれているか、どのような災害がカバーされるのかを把握しましょう。
補償が不十分な場合は、保険内容の見直しや、太陽光発電専用の保険への加入を検討する必要があります。
また、太陽光パネルの出力保証や、パワーコンディショナなどの機器保証といったメーカー保証についても、保証期間や適用条件を契約前に詳細に確認しておくことが、万が一のトラブル発生時にスムーズな対応を受けるために重要です。
対策4:国や自治体の補助金制度を活用して初期投資を抑える
太陽光発電システムの導入における最大のハードルは、高額な初期費用です。
この経済的負担を軽減するために、国や地方自治体が提供する補助金制度を積極的に活用しましょう。
補助金の有無や金額、申請条件は自治体によって大きく異なるため、まずは居住する都道府県や市区町村のウェブサイトで最新の情報を確認することが第一歩です。
補助金制度は予算の上限に達すると受付が終了してしまうことが多いため、導入を決めたら早めに申請手続きを進める必要があります。
補助金を活用できれば、初期投資を抑えられ、費用の回収期間を短縮することにもつながり、経済的リスクの低減に直結します。
対策5:導入後の定期的なメンテナンスを計画的に行う
太陽光発電は「設置したら終わり」ではなく、長期間にわたって安定した性能を維持するためには定期的なメンテナンスが不可欠です。
パネルの表面に付着した汚れや鳥の糞、落ち葉などは発電効率を低下させる原因となるため、定期的な清掃が推奨されます。
また、専門家による機器の点検を4年に1度程度受けることで、自分では気づきにくい配線の劣化や部品の不具合などを早期に発見でき、大きなトラブルを未然に防ぐことにつながります。
導入時に、施工会社が提供するメンテナンスプランの内容や費用を確認し、長期的な維持管理計画を立てておくことが、安心してシステムを運用していくための鍵となります。
まとめ
太陽光発電には、経済面、物理面、近隣関係、業者選定に至るまで様々なリスクが存在します。
しかし、これらのリスクを事前に正しく理解し、複数の業者から見積もりを取る、保証内容を確認する、補助金を活用するといった適切な対策を講じることで、失敗の可能性を大幅に減らすことができます。
特にFIT制度終了後を見据え、発電した電気を有効活用するために蓄電池を併設するなどの対策も重要です。
リスクと対策の両方を天秤にかけ、総合的に導入の是非を判断してください。