太陽光発電の保険は加入すべき?最新の種類や値上げの動向、個人の損害保険を解説
| カテゴリ:太陽光発電投資の基礎知識
太陽光発電の保険は、高額な設備を災害や事故から守るために重要です。
メーカー保証だけではカバーできない自然災害による損害に備えるため、損害保険への加入が推奨されます。
この記事では、太陽光発電の保険の必要性、種類、費用相場、そして近年の値上げの動向まで分かりやすく解説します。
住宅用と産業用それぞれのケースに応じた保険の選び方や、個人の火災保険で対応する際の注意点も紹介するので、加入や見直しの参考にしてください。
目次
太陽光発電に保険は本当に必要?メーカー保証との違いを解説
太陽光発電設備にはメーカー保証が付帯していますが、それだけでは全ての損害をカバーできません。
メーカー保証は製品の不具合や出力低下に対する保障であり、自然災害や事故による損害は対象外です。
そのため、台風や落雷、盗難などのリスクに備えるためには、別途損害保険への加入が必要となります。
保険に入れないと、高額な修理費用が自己負担になる可能性があります。
特に産業用ではFIT/FIP制度により保険加入が努力義務とされており、その重要性は増しています。
メーカー保証でカバーできる範囲(製品・出力の保証)
メーカー保証には主に「製品保証」と「出力保証」の2種類があります。
製品保証は、太陽光パネルやパワーコンディショナといった太陽光発電システムの構成機器に製造上の不具合が見つかった場合、修理や交換を保証するものです。
保証期間は10年~25年が一般的です。
一方、出力保証は、経年劣化により太陽光パネルの発電出力が規定値を下回った場合に適用されます。
ただし、これらの保証はあくまで製品自体の故障や性能に関するものであり、災害による物理的な破損や、電力会社の出力抑制による売電機会の損失は対象外です。
保険でないとカバーできない範囲(自然災害・事故・盗難など)
損害保険は、メーカー保証の対象外となる突発的な損害をカバーします。
具体的には、台風によるパネルの飛散や飛来物による破損、洪水による水没、積雪によるパネルの損壊といった自然災害が対象です。
また、火災や落雷による設備の焼損、第三者によるいたずらや盗難、動物がケーブルをかじるといった偶発的な事故による損害も補償範囲に含まれます。
これらのリスクは予測が難しく、一度発生すると甚大な被害につながる可能性があるため、保険による備えが不可欠です。
災害から高額な設備を守るためには、損害保険への加入が重要な役割を果たします。
太陽光発電で加入できる保険の主な種類と補償内容
太陽光発電で加入できる保険は、主に「設備の損害」「第三者への損害賠償」「売電収入の減少」という3つのリスクに対応します。
設備の損害には火災保険や動産総合保険、第三者への賠償には施設賠償責任保険、売電収入の減少には休業損害補償保険がそれぞれ対応します。
これらの損害保険は、単体で契約するだけでなく、特約として付帯できる場合もあります。
どの保険が必要かは、住宅用か産業用か、またどのようなリスクに備えたいかによって異なります。
各保険会社が提供する種類や補償内容を比較検討することが重要です。
設備の損害に備える「火災保険・動産総合保険」
太陽光発電設備の物理的な損害に備える保険として、住宅用では火災保険、産業用では動産総合保険が一般的です。
火災保険では、太陽光発電設備を「建物」または「建物の付属物」として扱うことで、火災、落雷、風災、雪災などの自然災害による損害を補償対象に含めることができます。
一方、産業用の動産総合保険は、火災保険よりも補償範囲が広く、自然災害や盗難に加えて、電気的・機械的事故といった偶発的な事故による損害もカバーできるのが特徴です。
どちらの保険も、高額な太陽光発電設備そのものを守るための基本的な補償となります。
第三者への損害賠償に備える「施設賠償責任保険」
施設賠償責任保険は、太陽光発電設備が原因で他人の身体や財物に損害を与え、法律上の賠償責任を負った場合に備える保険です。
例えば、台風で太陽光パネルが屋根から剥がれて通行人に怪我をさせたり、隣家の車を破損させたりするケースが想定されます。
また、反射光が原因で近隣住民からクレームを受け、訴訟に発展した場合の弁護士費用などが補償されることもあります。
この保険は、火災保険や動産総合保険に特約として付帯できることが多いため、設備の損害補償とあわせて加入を検討することで、対人・対物事故のリスクにも包括的に備えられます。
売電収入の減少に備える「休業損害補償保険」
休業損害補償保険は、自然災害や事故によって太陽光発電設備が損壊し、発電が停止した期間の売電収入の損失を補償する保険です。
設備の修理には数週間から数ヶ月かかることもあり、その間の収入減少は、特にローンを組んで設備を導入した事業者にとって大きな打撃となります。
この保険に加入していれば、復旧するまでの間の逸失利益が補填されるため、事業計画の安定化に繋がります。
主に産業用太陽光発電で重視される保険ですが、余剰売電による収入が家計にとって重要な位置を占める個人宅でも、検討する価値があります。
失われるはずだったお金を補填する重要な役割を担います。
こちらの記事でも保険について詳しく記載しています
太陽光発電の損害保険と補償を徹底解説【台風・地震はメーカー保証の対象外?!】【法人・事業者向け】産業用太陽光発電で検討すべき保険とは
法人や事業者が産業用太陽光発電を運営する際は、事業リスクを包括的にカバーする保険設計が求められます。
単なる設備の損害だけでなく、事業の中断による収益減少や第三者への賠償リスクにも備える必要があります。
そのため、補償範囲の広い動産総合保険を主契約とし、休業損害補償や施設賠償責任補償を特約で付帯するのが一般的です。
三井住友海上や東京海上日動などの大手損害保険会社は、ソーラー事業者向けの専用保険パッケージを提供しており、事業規模やリスクに応じたプランを選択できます。
売電収入を守る休業損害補償の重要性
産業用太陽光発電事業において、売電収入は事業の根幹をなすものです。
しかし、自然災害や機材の故障で発電がストップすれば、その期間の収入は途絶えてしまいます。
設備の復旧には部品の調達や工事で数ヶ月を要すこともあり、その間の収入ゼロは経営に深刻な影響を及ぼしかねません。
特に、融資を受けている場合は返済が滞るリスクも生じます。
休業損害補償は、このような発電停止期間中の売電収入の損失を補償してくれるため、キャッシュフローを安定させ、事業継続性を高める上で極めて重要な役割を果たします。
事業リスクを総合的に補償する動産総合保険
産業用太陽光発電の保険として、動産総合保険は非常におすすめです。
この保険は、火災保険でカバーされる自然災害(火災、落雷、風災、雪災など)に加えて、盗難などのリスクを補償対象とします。
ただ、一般的には電気的・機械的事故は補償の対象外とされています。
例えば、パワーコンディショナの内部的な故障や、操作ミスによる破損が常にカバーされるわけではありません。
事業運営においては予期せぬトラブルが発生しうるため、補償範囲が広い動産総合保険に加入しておくことで、様々な事故による損害から事業資産を守ることができ、安心して事業を継続するための基盤となります。
【個人向け】住宅用の太陽光発電は火災保険でカバーできる?
住宅用に設置した太陽光発電は、多くの場合、現在加入している火災保険に補償を追加することでカバーできます。
新たに専用の保険に加入する必要はなく、既存の契約を見直すのが一般的です。
ただし、自動的に補償対象となるわけではないため、保険会社への通知と契約内容の確認が不可欠です。
太陽光発電設備が「建物」の一部として扱われるか、どのような事故までが補償されるかなど、保険会社によって対応が異なるため、事前にしっかりと確認しておく必要があります。
火災保険の特約を付帯すれば補償対象になるケースが多い
住宅用の太陽光発電設備は、火災保険の「建物」の補償対象に含めることで、火災や風災、雪災などの自然災害による損害をカバーできます。
保険契約時に太陽光発電設備の設置を申告し、その分の保険金額を増額するのが一般的です。
さらに、「電気的・機械的事故補償特約」や「破損・汚損損害等補償特約」をセットで付帯すれば、落雷による過電流が原因のパワーコンディショナの故障や、飛来物によるパネルの破損といった偶発的な事故まで幅広く補償されるようになります。
これらの特約を追加すると火災保険料は上がりますが、より手厚い補償を備えられます。
加入前に確認すべき3つの注意点
火災保険で太陽光発電をカバーする際は、3つの点を確認する必要があります。
第一に、補償の対象範囲です。
太陽光パネルが「建物」の一部として扱われるかを確認し、保険証券に明記されているか確かめます。
第二に、補償される事故の種類です。
特に水災補償はオプションの場合が多く、ハザードマップなどを参考に必要性を判断します。
第三に、保険金額が設備の設置費用に対して十分かを確認することです。
後付けした場合は保険会社への通知義務があり、怠ると保険金が支払われない可能性もあるため、加入後も見直しが必要です。
複数の保険を比較検討することも大切です。
太陽光発電の保険料は値上がり傾向?気になる費用相場
近年、自然災害の増加を背景に、太陽光発電を含む損害保険の保険料は値上げ傾向にあります。
特に、火災保険の参考純率が引き上げられており、今後の契約更新や新規加入時に影響が出る可能性があります。
保険料の費用相場は、設備の規模や補償内容、設置場所のリスクによって大きく変動しますが、自身の設備にかかるおおよその費用を把握し、適切な予算を組んでおくことが重要です。
保険料の値上げは避けられない流れであるため、補償内容と費用のバランスをよく検討する必要があります。
自然災害の増加で保険料が上昇している理由
太陽光発電の保険料が値上げ傾向にある主な理由は、近年の自然災害の頻発化と激甚化です。
大型台風やゲリラ豪雨、記録的な大雪といった災害が全国で多発しており、それに伴い保険金の支払い額が急増しています。
損害保険会社は、将来のリスクを予測し、安定した保険制度を維持するために、保険料の算出基準となる「参考純率」を見直します。
近年の災害多発を受けてこの料率が引き上げられた結果、個々の保険契約の保険料も上昇しているのです。
今後もこの傾向は続くとみられており、保険料の値上げは避けられない状況となっています。
設置容量から見る保険料の年間費用の目安
太陽光発電の保険料の年間費用は、設置容量や補償内容によって大きく異なります。
住宅用で一般的な10kW未満の場合、既存の火災保険に組み込む形で、年間数千円から2万円程度が保険料の上乗せ額の目安です。
一方、産業用の場合、50kW未満の小規模な設備であれば動産総合保険で年間5万円から15万円程度が相場となります。
50kW以上の大規模な設備になると個別に見積もりが必要ですが、年間数十万円に達することもあります。
これはあくまで一般的な費用であり、立地条件や選択する補償範囲、免責金額の設定によって変動します。
補償内容と費用で比較!太陽光発電の保険の選び方
太陽光発電の保険を最適に選ぶためには、まず設置場所のリスクを把握し、必要な補償内容を明確にすることがスタート地点です。その上で、保険料と補償のバランスを考え、自己負担額(免責金額)を適切に設定します。
保険会社によってサービス内容や費用は異なるため、1社に絞らず複数の保険代理店から見積もりを取得し、内容を十分に比較検討することが、納得のいく保険選びにつながります。
ハザードマップで必要な補償範囲(風災・水災・雪災など)を確認する
保険を選ぶ前に、まず自治体が公表しているハザードマップを確認し、太陽光発電設備の設置場所がどのような災害リスクを抱えているかを把握することが重要です。
例えば、河川の近くや低地であれば水災補償の優先度が高まりますし、台風の進路になりやすい地域では風災補償を手厚くする必要があります。逆に、特定の災害リスクが極めて低いと判断できる場合は、その補償を外すことで保険料を抑えるという選択も可能です。ハザードマップで客観的なリスクを評価し、自分の設備に本当に必要な補償範囲を見極めることが、無駄のない保険選びの第一歩となります。
免責金額(自己負担額)の設定はいくらが妥当か
免責金額とは、保険事故が発生した際に、保険金から差し引かれる自己負担額のことです。
この免責金額を高く設定するほど、保険料は安くなる傾向にあります。
妥当な免責金額を決めるには、どの程度の損害額までなら自己資金で対応できるかを検討することが重要です。
例えば、免責金額を20万円に設定した場合、30万円の損害が発生すれば10万円の保険金が支払われますが、15万円の損害では保険金は支払われません。
一般的に産業用では20万円、住宅用では5万円から10万円程度に設定されることが多いですが、自身の資金力と許容できるリスクのバランスを考えて設定しましょう。
複数の保険代理店から見積もりを取って比較する
太陽光発電の保険は、保険会社や代理店によって提供するプランの補償内容や保険料が大きく異なります。
そのため、1社だけの見積もりで判断するのではなく、必ず複数の代理店から見積もりを取り寄せ、比較検討することが賢明です。
特に、太陽光発電に関する専門知識が豊富な代理店に相談すれば、リスクに応じた最適なプランを提案してもらえます。
最近では、インターネットを利用して複数の保険会社の見積もりを0円で一括請求できるサービスもあります。
こうしたサービスを活用し、手間をかけずに最も条件の良い保険を見つけることが、コストを抑えつつ十分な補償を確保する鍵です。
まとめ
太陽光発電は高額な投資であり、メーカー保証だけでは自然災害や盗難などの多様なリスクに対応できません。
そのため、万が一の損害に備える損害保険への加入は非常に重要です。
個人の住宅用では既存の火災保険への特約付帯、法人などの産業用では補償範囲の広い動産総合保険への加入が基本となります。
保険を選ぶ際は、ハザードマップで設置場所のリスクを確認し、必要な補償内容を精査することが不可欠です。
また、免責金額の設定や複数の代理店からの見積もり比較を行い、自身の状況に最も適した保険を選択してください。