低圧とは?高圧との違いを電圧・料金・資格の観点から解説
| カテゴリ:太陽光発電投資の基礎知識
低圧とは、法令で定められた電圧の区分の一つですが、同時に電気料金の契約プランを指す言葉としても使われます。
法令では、電気を安全に取り扱うための基準として、電圧を低圧、高圧、特別高圧の3つに分類しています。
一般的に家庭や小規模な店舗で使われる電気が低圧に該当します。
この記事では、法令上の定義から、高圧との具体的な違い、電気料金プランの種類、そして業務で取り扱う際に必要となる資格や安全教育について、多角的に解説します。
目次
そもそも低圧とは?法令で定められた電圧の区分を解説
電気事業法に関連する省令「電気設備に関する技術基準を定める省令」では、安全確保の観点から電圧の区分が明確に定義されています。
この法令に基づく区分は、電気設備の設計や保守、作業者の安全管理における基本的な基準となります。
電圧は「低圧」「高圧」「特別高圧」の3つに分けられており、それぞれに具体的な数値基準が存在します。
私たちが日常的に使用する電気のほとんどは低圧に分類されますが、その定義は交流(AC)と直流(DC)で異なる数値が定められています。
交流(AC)における低圧の電圧基準
電気設備に関する技術基準を定める省令において、交流の低圧は600V以下のものと定義されています。
この基準は、日本の電力供給システムにおける安全性の基礎となる数値です。
一般家庭のコンセントから供給される100Vや、エアコン、IHクッキングヒーターなどで使用される200Vの電圧は、すべてこの低圧の範囲に含まれます。
また、小規模な店舗や工場で動力として利用される三相200Vも同様に低圧に分類されます。
電柱に設置された変圧器によって高圧から600V以下に降圧された電気が、各家庭や事業所に供給される仕組みです。
直流(DC)における低圧の電圧基準
法令では、直流(DC)における低圧の電圧基準を「750V以下のもの」と定めています。
交流の基準値である600Vとは異なる数値が設定されている点が特徴です。
直流電力は、交流電力に比べて日常生活での馴染みは薄いかもしれませんが、近年その活用範囲は広がっています。
具体的には、太陽光発電システムで発電された電気や、電気自動車の充電設備、データセンターの無停電電源装置(UPS)、一部の産業用機械などで利用されています。
これらの設備を安全に取り扱うための境界線として、750Vという基準が設けられています。
低圧・高圧・特別高圧の3つの電圧区分の違い

電圧は使用する規模や用途に応じて、低圧、高圧、特別高圧の3つに区分されます。
法令では、交流の場合、600V以下が低圧、600Vを超え7,000V以下が高圧、7,000Vを超えるものが特別高圧と定義されています。
直流の場合はそれぞれ750V、7,000Vが基準となります。
この区分は、一体何Vの電気を使用するかという技術的な基準であると同時に、どのような施設で利用されるか、受電方式や保安体制にどう影響するかを決定づける重要な指標です。
一般家庭や小規模店舗で利用される「低圧」
低圧は、電力会社との契約電力が原則として50kW未満の需要家向けに供給される電力です。
一般家庭をはじめ、コンビニエンスストア、飲食店、小規模な事務所などが主な利用対象となります。
電力会社の配電網から供給される高圧の電気を、電柱に設置された変圧器(トランス)で100Vや200Vに降圧してから各施設に引き込むのが特徴です。
この方式のため、需要家側でキュービクルのような大規模な受変電設備を用意する必要がありません。
私たちが日常的にコンセントから使用する電気のほとんどが、この低圧に分類されます。
中小ビルや工場で利用される「高圧」
高圧は、契約電力が50kW以上2,000kW未満の施設で利用される電力区分です。
スーパーマーケットや中小規模の商業ビル、オフィスビル、工場などが主な需要家となります。
電力会社からは6,600Vの電圧で電力が供給され、これを敷地内に設置したキュービクルと呼ばれる自家用変電設備で100Vや200Vに変圧して使用します。
低圧に比べて電力の使用量が多いため、高圧で受電する方が電気料金の単価が安くなるというメリットがあります。
一方で、キュービクルの設置費用や、法律で定められた保安点検の維持管理コストが発生するのが特徴です。
大規模工場や鉄道会社で利用される「特別高圧」
特別高圧は、契約電力が2,000kW以上の大規模な施設で利用される、最も高い電圧区分です。
主な需要家としては、大規模な製造工場や化学プラント、データセンター、デパート、鉄道会社などが挙げられます。
電力会社の変電所から20,000V以上の極めて高い電圧で直接電力が供給され、需要家は自前で大規模な受変電設備を構えて使用電圧まで降圧します。
膨大な電力を効率よく、かつ安定的に使用するために採用される供給方式です。
設備の保安管理には、専門の電気主任技術者を配置するなど、法律で定められた厳格な保安体制が求められます。
電気料金プランから見る低圧電力の2つの契約形態
低圧で受電する契約には、供給される電気の種類によって主に2つの料金プランが存在します。
一つは一般家庭で広く利用される「従量電灯」、もう一つは商店や小規模工場で動力源として使われる「低圧電力」です。
前者は照明や家電製品向けの単相の電気、後者は業務用機器向けの三相の電気を供給するプランであり、それぞれ料金体系や用途が異なります。
事業を始める際などは、使用する機器に合わせて適切な契約を選ぶ必要があります。
一般家庭向けの契約「従量電灯」
「従量電灯」は、主に一般家庭や、電力使用量が少ない小規模な店舗・事務所向けの電気料金プランです。
照明器具やコンセントで使う電気を対象としており、単相100Vまたは単相200Vで電力が供給されます。
テレビや冷蔵庫といった一般的な家電製品はもちろん、大型のエアコンやIHクッキングヒーターなど200Vを必要とする機器もこの契約で使用できます。
料金は、毎月固定でかかる基本料金と、使用した電力量に応じて変動する電力量料金の二部構成が基本です。
電力量料金は、使用量が増えるほど単価が上がる段階制料金が採用されていることが多いのが特徴です。
店舗や小規模工場向けの契約「低圧電力(動力)」
「低圧電力(動力)」は、店舗や小規模な工場、事務所などで業務用機器を稼働させるための契約プランです。
三相200Vで電力が供給され、業務用エアコン、エレベーター、冷蔵・冷凍庫、工作機械といった、モーターを動力源とする大型機器の使用に適しています。
従量電灯契約に比べて電力量料金の単価が安価に設定されている一方、基本料金は契約電力に基づいて算出されるため、機器を全く使用しない月でも一定の固定費が発生します。
比較的大きな電力を効率的に利用することを目的とした、事業者向けの契約形態です。
低圧電気の取り扱いに求められる資格や教育

低圧の電気は私たちの生活に最も身近な存在ですが、取り扱いを誤れば感電や火災といった重大な事故につながる危険性をはらんでいます。
そのため、業務として低圧の電気設備に触れる作業を行う際には、労働者の安全を確保するための法的な規制が存在します。
具体的には、労働安全衛生法に基づき、事業者は労働者に対して「低圧電気取扱業務特別教育」を受講させることが義務付けられています。
さらに、配線工事などの専門的な作業を行うためには、国家資格である「電気工事士」の資格が不可欠です。
これらの制度は、電気による災害を未然に防ぐために設けられています。
業務で必須となる「低圧電気取扱業務特別教育」
低圧電気取扱業務特別教育は、労働安全衛生法で定められた安全衛生教育の一つであり、事業者が対象となる労働者に受けさせなければならないものです。
この教育は、低圧の充電電路の敷設や修理、または充電部分が露出した状態での開閉器の操作など、感電の危険性が高い業務に従事する作業者の安全を確保することを目的としています。
講習では、低圧電気に関する基礎知識や関連法令、安全作業用具に関する知識、そして万が一の感電災害発生時の救急処置について学びます。
電気工事士の資格がなくても、この教育を受けることで特定の業務を行うことが可能になります。
電気工事を行うための国家資格「第二種電気工事士」
第二種電気工事士は、電気工事士法に基づく国家資格であり、一般用電気工作物の工事に従事するために必要です。
一般用電気工作物とは、主に600V以下の低圧で受電している一般住宅や小規模な店舗、事業所などの設備を指します。
この資格を取得すると、屋内の配線工事、コンセントやスイッチの増設・交換、分電盤の設置・交換といった、日常生活に密接に関わる電気工事を行うことができます。
無資格者がこれらの工事を行うことは法律で固く禁じられており、違反した場合は罰則が科されます。
電気設備の安全性を確保し、火災や感電事故を防ぐ上で重要な役割を担う資格です。
【見分け方】低圧と高圧の契約を簡単に見分ける2つのポイント
自社や管理する建物が低圧契約なのか高圧契約なのかを判別するには、いくつかの簡単な確認方法があります。
最も分かりやすいのは、高圧受電に必須となるキュービクル(自家用変電設備)が敷地内に設置されているかを目視で確認することです。
また、より確実な方法として、電力会社から毎月届く検針票(電気ご使用量のお知らせ)に記載されている契約種別を確認する方法が挙げられます。
この2つのポイントをチェックすることで、現在の電力契約を正確に把握できます。
ポイント1:キュービクル(自家用変電設備)が設置されているか
高圧契約と低圧契約を見分ける最も分かりやすい物理的なポイントは、キュービクル式高圧受電設備の有無です。
キュービクルは、電力会社から供給される6,600Vの高圧電力を、施設内で使用できる100Vや200Vの低圧電力に変換するための様々な機器を金属製の箱に収めた設備です。
内部には変圧器や遮断器といった重要な機器が格納されています。
このキュービクルが事業所の敷地内や建物の屋上などに設置されていれば、高圧で受電していることになります。
逆に、電柱から直接建物内へ電線が引き込まれている場合は、低圧契約であると判断できます。
ポイント2:電力会社との契約種別を確認する
キュービクルの有無と合わせて、電力会社との契約内容を書類で確認するのが最も確実な方法です。
毎月発行される「電気ご使用量のお知らせ(検針票)」や、電力会社のウェブサイトの契約者ページを確認してください。
その中に「ご契約種別」という項目があり、「従量電灯」や「低圧電力」と記載されていれば低圧契約です。
一方で、「業務用電力」「高圧電力」などの記載があれば高圧契約となります。
また、契約電力の項目も参考になり、一般的に50kW未満であれば低圧、50kW以上であれば高圧契約に該当します。
この方法であれば、契約内容を正確に把握することが可能です。
低圧に関するよくある質問
低圧電気に関して頻繁に寄せられる質問とその回答をまとめました。
Q1. 低圧の電気でも感電する危険性はありますか?
はい、十分に危険性があります。
人体が水に濡れている状態では50V程度の電圧でも死亡事故に至る可能性があり、家庭用の100Vでも感電の仕方によっては命を落とす危険が伴います。
濡れた手で電気製品やコンセントに触れることは絶対に避けてください。
Q2. 家庭で使う100Vと200Vは、どちらも低圧に含まれますか?
はい、どちらも低圧に含まれます。
日本の法令では、交流電圧600V以下が「低圧」と定義されています。
したがって、一般家庭のコンセントで使われる100Vや、エアコンなどの大型家電で使用される200Vは、いずれも低圧の区分に入ります。
Q3. 高圧電力の契約から低圧電力の契約へ変更は可能ですか?
はい、電力の使用量が減少し、契約電力が50kW未満になるなどの条件を満たせば変更は可能です。
省エネ設備の導入や太陽光発電システムの設置がきっかけとなることもあります。
ただし、受電設備の変更工事が必要になるため、工事費用と料金削減のメリットを慎重に比較検討することが求められます。
まとめ
「低圧」という言葉は、法令で定められた電圧の区分と、電力会社との契約プランの双方を指します。
電圧区分としては、低圧、高圧、特別高圧の3つに分類され、主に契約電力の大きさによって適用される区分が決まります。
一般家庭や小規模事業所では低圧、中小ビルや工場では高圧が用いられ、高圧受電にはキュービクルという変電設備の設置が必須です。
また、低圧であっても感電の危険性はあり、業務で電気を取り扱う際には特別教育の受講や、工事内容に応じた電気工事士の資格が必要です。
自社の契約形態は、キュービクルの有無や電力会社の検針票で確認することができます。