固定価格買取制度終了後(20年後)は投資用太陽光発電をどうする?売電価格は?
公開日:2016/12/14 | | カテゴリ:太陽光発電投資の基礎知識
固定価格買取制度では10kW以上の太陽光発電の場合、20年間は電気を固定価格で買い取ってもらえますが、それ以降は電気の買取価格(売電価格)は保証されていません。
これから土地付き太陽光発電の購入を検討している方であれば、20年後の出口戦略にはどのような選択肢があるのか気になるところだと思います。
それでは、固定価格買取制度の買取期間が終わった後、太陽光発電設備にはどのような選択肢があるのでしょうか。
目次
固定価格買取制度が終了する20年後も売電はできるのか?
20年を過ぎれば固定買取制度による買取期間が終了するため、電力会社は電気を買い取る義務はなくなります。しかし、その後も太陽光発電設備が発電できるのであれば、そのまま20年後も継続して売電したいところでしょう。20年後は初期費用を全て回収し終わっているわけですから、売電した金額は全て収入となります。
そこで問題となるのが、「20年後も電気を買い取ってもらえるのか?」ということです。
現時点では20年後も売電できる可能性は高いです。2012年に始まった固定価格買取制度の買取期間を終えた10kWを超える太陽光発電所はありませんが、10kW未満でFITが終了したいわゆる家庭用の太陽光発電では条件付きで売電が行われているからです。
また、資源エネルギー庁のホームページでは以下のように説明されていました。
国による価格の規制が終了しますので、買取期間の終了後又は終了が近づいた時点で、発電事業者と電気事業者との合意により買取価格(売電価格)を決めて頂くことになります。
つまり、電気事業者(電力会社など)と合意できれば売電できるということでしょう。
まだ、当分先のことになるので今後どういう舵取りを行っていくかは不透明なままですが、10数年が経過した現状を考えれば売電出来なくなるという可能性は極めて低いと判断出来ます。
20年後に電気を買い取ってもらえる可能性
固定価格買取制度が始まった当初、政府は2030年までに総発電電力の22~24%を再生可能エネルギーで賄う目標を掲げていました。経済産業省の資料によりますと、2022年度時点での再生可能エネルギーの比率は以下の様になっています。
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(引用:「主要国の再生可能エネルギーの発電比率」 | 経済産業省「主要国の発電電力量に占める再エネ比率の比較」より)
再生可能エネルギー全体で21.9%でその後も太陽光発電の普及率は増加し続けているので、この目標はすでに達成出来ていることになります。
次に経済産業省が発表している「日本の一次エネルギー供給構成の推移」を見てみましょう。
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(引用:経済産業省「日本の一次エネルギー供給構成の推移」より)
この様に1970年代から水力発電の発電設備の容量は、ほぼ横ばいで今後も開発余地は大きいとはいえません。また、風力発電も山間部の多い日本では設置箇所はかなり限定されており、再生可能エネルギーは今後も太陽光発電が牽引するとみられています
また、2030年の太陽光発電の1kWhあたりの発電コストは7円/kWhを目標としています。
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(画像引用 「太陽光発電のコスト低減イメージ」 | 経済産業省「再生可能エネルギーの大量導入時代に おける政策課題について」より)
この発電コスト1kWhあたり7円という費用は、現在コストが安いといわれている火力発電の1kWhのものよりも低いことになります。
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(画像引用 「設備利用率と発電コストの相関関係(石炭・LNG火力)」 | 経済産業省「火力発電に係る昨今の状況」より)
こういったことから、固定価格買取制度による買取が始まった2012年から20年後の2032年になっても、買取価格が下がったとしても、買取自体が停止する可能性はかなり低いと考えられます。
20年ではなく30年で計画する太陽光発電事業
上記の理由から20年後も売電を継続できると考え、固定価格買取制度の買取期間の20年に縛られず30年で発電事業計画をたてている方もいます。
同じ利回りなら売電単価が低い発電所の方が有利!?
私は固定価格買取期間20年を超えて、30年間に渡って発電所をメンテナンスしながら運営していくことを考えています(もちろん途中で売却する可能性もありますが)。
21年目以降は当初の売電単価では売電ができません。例えば税抜40円で20年間売電してきた後、単価が税抜10円になったとします(もしかしたら一桁円かもしれません)。
21年目以降は売電収入は約4分の1に下がってしまいます。一方、税抜21円で20年間売電してきた場合は約半分程度の収入の低下で済みます。このように、低い売電単価で上手く仕込むことができれば、固定価格買取期間の終了後の収入の落差を小さくすることができます。
また、導入コストの低下により発電所全体の価格も低下しているので、従来は難しかった融資のハードルも(多少なりとも)下がることになります(必要な融資額が少なくて済みます)。特に、信販会社のソーラーローンは一案件当たりの融資金額に上限がありますので、その枠の範囲に収まりやすくなります。
私どもとしては、固定価格買取制度の下で売電単価が数年後に10円台になっても、もし同じような利回りが確保できるなら継続的に規模拡大に力を入れていくつもりでいます。
太陽光施工業者さんの選定については、倒産リスクに鑑み、今後はより一層慎重に行わなければなりませんが、実績のある有力な施工業者さんの協力を得ることができれば、これから良い案件を仕込める人の方がお得になる可能性は十分にあると言えます。
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既に固定価格買取制度が終了した10kW未満の太陽光の現状は?
まず前提としてお伝えしなければならないのは、従来のFIT制度では10kW以上の太陽光発電であれば全量売電と余剰売電とを選択することが出来ましたが、2020年度から制度が変わり、産業用太陽光発電でも10kW~50kW未満は余剰売電のみとなっています。
2019年以前の物件であれば20年間は当初の内容がそのまま引き継がれる形となっているので影響を受けることはありませんが、2020年以降にFIT認定を受けた物件の場合、その出力だと余剰売電しか行えません。
余剰売電というのは、自家消費で使いきれなかった分しか売電出来ず、産業用であればおよそ30%ほどの自家消費を求められるので、50kW未満の投資用太陽光発電は20年の固定価格買取制度が終了すると売電収入は3割減となってしまいます。
10kW未満の太陽光発電システムを搭載し、卒FITを迎えた物件に関してはそのほとんどが自家消費に切り替えながら蓄電池を設置する流れになっているので、そもそも売電収入のみのシンプルな形で運用したい方は注意が必要です。
2021年以降の物件に関しては自家消費で賄う電気料金で浮いた分を考慮しながらの計算となるので、想定投資表面利回りに以前よりも大きなズレが出てくる可能性もあります。
投資用太陽光における買取期間終了後の20年目以降に考えられるケース
基本的には上記で述べたように20年後も事業を継続することを考えれば良いと思いますが、逆に処分が必要になる可能性もあります。それぞれのケースを見てみましょう。
そもそも20年後の買取単価(売電価格)では収益性が合わない
電力会社が買取を継続する可能性は上記で述べましたが、20年後に幾らで電力会社が買取をおこなうのかは2025年現在ではまだはっきりしていません。
そのため想定しているよりも低い単価になった場合、メンテナンスや保険、税金などのランニングコストなどとの比率によっては採算性が合わず事業を終了させることが必要になります。
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土地が賃貸の太陽光発電所の場合
土地賃貸のため所有者への返還が必要
土地付き太陽光発電において土地を賃貸している場合、20年間の固定価格買取期間が終了した後の対応は、地主との契約内容に依存します。契約満了時に延長の合意に至らなければ、原則として設備を撤去し、更地に戻して所有者へ返還しなければなりません。
引き続き売電事業を継続したい場合は、事前に地主へ借地契約の更新や期間延長を相談する必要があります。地主にとっては継続的な賃料収入を得られるメリットがあるため、遊休地の活用を望む場合は双方に利点があります。しかし、地主側が土地の返却や別の用途への転用を強く希望した場合には、発電事業を終了せざるを得ないため、契約条項の事前確認が極めて重要です。
土地が売買の太陽光発電所の場合はどんな選択肢があるのか?
土地付き太陽光発電所を土地も含めて購入した場合、20年の固定価格買取期間が終了した時点では2つのパターンが考えられるでしょう。
発電所を持ち続ける
20年の固定価格買取制度(FIT)期間が終了した後、売電先を自由に選べる「卒FIT」の状態となりますが、土地を所有している場合はそのまま発電事業を継続することが有力な選択肢となります。20年が経過した時点で、太陽光発電システムの初期投資費用はすでに回収できているケースが多いため、以降に得られる売電収入は、維持管理費などの経費を差し引いた大部分が純利益となる点が大きなメリットです。
事業を継続する上で重要となるのが、収益と支出のバランスの見極めです。21年目以降の売電価格は、卸電力市場の価格や各電力会社との相対契約に基づく単価へと移行し、FIT期間中よりも大幅に低下することが予想されます。一方で、主要設備であるパワーコンディショナーの交換費用や、パネルの点検、雑草対策といったメンテナンス費用、さらには固定資産税や保険料などのランニングコストは発生し続けます。
特に、20年という節目は設備の老朽化に伴う修繕リスクが高まる時期でもあります。最新のシミュレーションに基づき、想定される売電単価でこれらのコストを十分にカバーし、納得のいく利益を確保できるか冷静に判断することが求められます。売電単価の低下を補うために、発電した電気を売るのではなく、自家消費や蓄電池を活用した新たな運用モデルへの転換も検討に値します。
発電所を誰かに売却する
投資として十分に利益を得た後や、ライフスタイルの変化によって管理が難しくなった場合には、発電所を第三者へ売却することが有力な出口戦略となります。売却の形態は、土地の所有形態や設備の状況によって大きく二つのパターンに分かれます。
一つ目は、太陽光発電設備と土地、および売電を行う権利をセットで売却する方法です。いわゆる中古発電所としての売却であり、購入者はそのまま事業を引き継げるため、資産価値を高く評価してもらえる可能性があります。この場合、所有者は売却益を得られる代わりに、将来的な売電収入を手放すことになります。特に20年間のFIT期間が残っている物件や、メンテナンスが行き届いた優良な発電所は、セカンダリー市場において需要が高まっています。
二つ目は、設備を撤去して土地のみを売却する方法です。この場合、太陽光システムの解体や運搬、産業廃棄物としての処分費用は売主側の負担となります。土地を更地に戻すことで、宅地や資材置き場など太陽光発電以外の用途を検討している層もターゲットに含めることができます。
最近では、20年後の設備であってもパネルの有価買取やリユースを行う専門業者も増えています。撤去費用を抑えつつ、土地と設備それぞれの価値を最大化できるよう、市場の動向を注視しながら最適な売却先を選定することが重要です。
制度やルールの変更を待つ
太陽光発電の運用においては、固定価格買取制度の期間満了を見据え、新たな制度やルールの導入に合わせて運用方針を柔軟に見直していく姿勢が重要です。2022年4月からは市場価格に連動して売電価格が決まるFIP制度が開始されており、将来的な収益確保における有力な選択肢として注目されています。
国のエネルギー政策や市場環境は刻々と変化しており、今後は売電のみならず自家消費への転換を促す仕組みがさらに強化される可能性もあります。資源エネルギー庁などの公的な発信を定期的に確認し、常に最新の情報を得ておくことが、長期的な事業継続の鍵となります。
発電所の撤去に関して
土地が賃貸で返却する場合、土地の所有権はあるが発電事業を終了する場合、いずれの場合も発電所の撤去・処分は必要になってきます。撤去費用は購入する業者によっては業者が無償で引き取ってくれたり、賃貸料に撤去費用が含まれている場合もありますが、自費での撤去が必要になってくることもあります。
産業廃棄物として処理する場合は処分・運搬費用がかかりますが、まだ買取期間の終了していない2025年現在でもパネルや太陽光発電関連部材の有価買取している業者も複数あり、20年後は更に太陽光発電が普及し有価買取・リユース・リサイクルなどの周辺サービスが充実していることが予想できるため、発電所の状態が良い場合は撤去のコストが殆どかからないどころか売却による利益が出るという可能性もあります。
2025年に考えるシステムの廃棄
太陽光パネル・モジュールの廃棄に関して【台風・自然災害】
まとめ
土地付き太陽光発電は投資として期待できますが、設置するときに20年以降にどのような出口戦略があるのか考えることでさらに有益な投資物件になります。先を見据えて賃貸にするのか、それとも購入にするのか考えてきましょう。
2019年11月には家庭用太陽光発電で買取期間が終了する、いわゆる「卒FIT」案件が53万件発生し、その後も毎年度約18万件が卒FITを迎え続けています。
新電力など新たな売電先が現れ、それぞれの単価が微妙に異なっているというまだ確立した制度も整っていない状況です。
また20~30年の間にその土地がどのようになっているのか?さらに近隣の土地の変化の状況、電力自由化がどのように進んでいくのか?蓄電池を利用して更に効率化は可能なのか?など様々な要因から探っていきましょう。。