投資の「利回り」とは?表面利回りと実質利回りもわかりやすく解説

これから投資を始めるのであれば、絶対に知っておきたいのが「利回り」です。投資において利回りは大きな指標となるため、非常に重要な数値であり、これを知らなければ投資は始まりません。
なんとなく意味は分かっている方も多いかも知れませんが、この機会に利回りについて理解を深めましょう。
目次
利回りとは?高ければ高いほどよい?
利回りとは、投資した資金に対してリターンはどれくらいかを示す数値です。一般的には、利回りが高ければ高いほど、その投資対象は優良であるといえます。
しかし、国債のように、利回りが低い代わりにリスクも低いというものもありますし、発展途上国の外債のように、利回りが高い代わりにリスクも高いというものもあります。したがって、利回りだけで投資対象の優劣が決まるものではないことを覚えておいてください。
通常、利回りは年間利益を見た時の投資効率を表しています。たとえば、100万円を投資し、1年後に5万円の利益を得られたならば、利回りは5%となります。
利回りの計算方法
利回りは、以下の計算式で求めることができます。
■利回り(%)=(1年間の利益額÷投資額)×100
ある企業の株式を100万円で購入し、配当金や値上がり益で10万円の利益が得られた場合、以下のように利回りが計算できます。
利回り(%)=(10万円÷100万円)×100
=10%
このような計算で求める利回りは、あくまでも利益の金額を示すものではなく、利益の割合を示すものです。だからこそ、使い勝手が良いともいえます。
たとえば、不動産投資を考えた場合、下記の2つのうちどちらの方が良い物件なのかパッと見ただけで分かるでしょうか?
- ①価格が1000万円で年間の利益が150万円の物件
- ②価格が1500万円で年間の利益が220万円の物件
利益の額だけを見れば、パッと見ただけではどちらがより良い物件なのか、判断がつかない人が多いと思います。しかし、利回りに換算すれば、①は利回り15%、②は利回り14.7%であり、①の物件のほうがより大きな利益を期待できることがわかります。
単利と複利
投資にあたって、単利と複利の考え方もきちんと身につけておくべきです。 簡単にいえば、単利とは投資元本は変えずに利回りを計算するものです。
配当金3%の株式を100万円分購入したならば、毎年3万円の利益が得られますが、そのつど3万円を引き出すなどすれば、元本は100万円のまま変わりません。したがって、来年も得られる利益は3万円です。
これに対して、複利とは得られた利益を元本に加えて計算するものです。配当金3%の株式を100万円分購入し、3万円の利益が得られたならば、その利益で株式を追加購入するなどして元本に加えれば、元本は103万円となります。来年得られる利益は3万900円となります。
複利で増やしていくことは、投資による資産形成の醍醐味であるといえます。利益を元本に加えることによって、利回りは同じでも得られる利益は大きくなっていき、まさに「雪だるま式」で増えていくことになるからです。
表面利回りと実質利回り
また、「表面利回り」と「実質利回り」という言葉があります。これは、不動産投資や太陽光発電投資などでよく耳にする言葉です。
表面利回りとは、その名の通り表面的な、ざっくりとした利回りを示すものです。これに対して、実質利回りとはさまざまな要素を考慮し、より正確な利回りを示すものです。ですから、表面利回りよりも実質利回りのほうが低くなるのが一般的です。
土地付き太陽光発電投資の表面利回りと実質利回り
メガ発に掲載している土地付き太陽光発電で見てみますと、9~12%が一般的な利回りとなります。例えば、太陽光発電設備の導入に2000万円、年間の売電収益が200万円の物件であれば、利回りは10%となります。
投資対象として年利10%という魅力的な利回りですが、これはあくまでも表面利回りです。
表面利回りは稼働前に期待値として算出されたものであり、実際にその利回りが得られるという保証はありません。 天候が悪く日射量が予想よりも少なかった、思わぬ汚れや故障によって発電効率が下がったなど、さまざまな障害に見舞われる可能性があります。
汚れによるロスを防ぐためには業者に依頼して定期的に掃除してもらわなければなりませんし、故障によるロスを防ぐためには定期的にメンテナンスを依頼しなければなりません。当然ながら様々なところで経費が発生し、実質利回りは下がっていくことになります。
実質利回りの算出する際に考慮したい項目
太陽光発電投資は通常の投資期間は20年間になります。ですので実質利回りを計算するには、20年間でかかる費用(ランニングコスト)の総額を算出する必要があります。それに該当する主な項目は下記のもになります
- 初期費用
- メンテナンス費用
- パワコン買い替え費用
- 土地代(賃貸の場合は賃料、売買の場合は固定資産税)
- 補償制度(災害保険等)
- ローン金利
これらのものが20年間でかかってくる費用の大半になります。 ローン金利については借入をした場合のみ発生しますので借入をしなければ、特に考える必要はありません。 パワコンについてはメーカー保証は10年間が大半ですので、保証後の故障を考えた場合、一度は買い換える可能性がありますので実質利回りを計算する時には、考えておくとより正確な値が算出できます。
こうしたコストを考慮しても条件によっては実質利回りが8%を超えることもあり、他の投資対象と比較しても優れていると言えるでしょう。
さまざまな利回り
一口に、「利回り」と言っても色々です。代表的なものを見ていきましょう。
株式投資
株式投資の際に重視されるのが配当利回りです。原則として年2回の配当が行われますが、無配の企業もありますし、配当利回りは企業によって様々です。売買による利益よりも、長期的な配当金を目的としているならば、配当利回りは重要な要素となります。
債券
債券とは、いわば国や企業にお金を貸していることですから、一定期間ごとに利子を受け取ることができます。満期までの期間や対象となる国や企業によって、利回りは異なります。
非常に安定している国や企業ならば、安心して満期を迎えることができる可能性が高いため、多くの人から簡単に借り入れることができます。それだけに、利回りは低く設定されています。一方、不安定な国や企業ならば、損失のリスクは高まります。それだけに、債券を買いたいと思う人が少ないため、利回りが高くなる傾向があります。
不動産
不動産の場合、上記の通り表面利回りと実質利回りを正しくとらえておかなければなりません。「全室埋まったら○万円の利益だから、利回りは○%」などというのは非常に危険な見方です。常に一定の空室があることを前提とし、年間の経費もしっかりと考慮した上で、必ず実質利回りを計算しましょう。
太陽光発電
太陽光発電も不動産と同様で、実質利回りを正しく捉えることが重要です。立地条件から年間利益のシミュレーションを行い、必要経費を差し引き、実質利回りを計算しておくことが大切です。
また、10kW以上の産業用の太陽光発電では固定価格で20年間、電力を買い取ってもらえるため、20年間の売電総額を考慮したシミュレーションを用いて比較検討することが重要です。