太陽光発電投資は融資・ローンが通りやすい? 銀行・公庫・信販会社別に徹底解説
公開日:2018/11/06 | | カテゴリ:太陽光発電投資の基礎知識

ここでは、だれもが悩む太陽光発電投資における融資について解説します
現在出回っている太陽光発電所のうち、個人投資家の対象としては2000万~2500万円の価格帯の物件が一般的でしょう。 その内訳は発電システムが2000万前後、それに土地が200~500万ぐらいです。 土地は所有せずに地代を払う賃貸型物件もありますが、いずれにしても結構な購入金額であることには間違いありません。
購入に際しては多くの投資家が借入れを検討することになります。 しかし太陽光発電投資の融資にもクセがあり、初めて購入する人にとっては戸惑うことが多いのも事実でしょう。 ローンで購入する場合のメリットとデメリット、金融機関はどこを選べばいいのかなど、太陽光発電投資の融資についてわかりやすく解説します。
目次
太陽光発電投資は融資の可能性が高い
太陽光発電は不動産投資と同様、融資の可能性が高い投資の一つです。極論すると、この世の中で投資に融資がつくのは不動産投資と太陽光発電投資の二つしかないと言ってもいいくらいです。
それでは、なぜこの二つの投資にはお金を貸してくれるのか、貸し手の金融機関の立場から考えてみましょう。
ズバリその答えは、不動産投資には土地という絶対的な担保があり、太陽光発電には安定したキャッシュフローが確実に見込めるからです。
太陽光発電の場合は20年間にわたって固定価格買取制度での固定価格の買取りが保証されていて、毎年の実際発電量もほぼ予想値に収束するという実態があります。 また、特別な運営ノウハウは必要なくだれがやっても同じような結果が出るという高い再現性がその特徴の一つです。
そのため金融機関からみれば、貸し倒れリスクの低いビジネスとみることができ、あとで説明するようにソーラーローンと呼ばれる商品を販売しているわけです。
一方、投資家からみれば、長期のローンを組んでも賃貸不動産投資にあるような空室リスクの心配がなく、保証された固定価格での売上が見込めるのためキャッシュフローが持ち出しになってしまうリスクが低い投資と考えることができます。
太陽光発電投資で検討すべき金融機関の特徴
太陽光発電は融資の可能性が高く長期ローンとの相性がいいことがわかりました。 しかし、融資の依頼を手あたり次第、金融機関に持ち込んでも効率的ではありません。ここは多くの投資家が利用してきた太陽光発電融資に実績のある金融機関に絞って話をしていくべきです。
具体的な選択肢は以下の3つです。
- 日本政策金融公庫(通称:公庫)
- ノンバンク信販系
- 地銀や信金
順に解説していきますが、その前に一つ覚えておいてほしいことがあります。それは、融資付けが得意な販売施工業者を使うことです。
個人が飛び込みで行っても話は聞いてくれるでしょうが、やはり金融機関とパイプがある業者から連絡を入れてもらって話をするほうが絶対に有利です。 融資付けは強い業者とそうでない業者に分かれますので、借入れが必要な人ははじめからそういう業者を選んで物件選びをするのが早道でしょう。 特に信販系ローンは、業者が信販会社との提携をおこなっていない場合には利用ができないため注意しましょう。
融資付けに強い業者の探し方は、メガ発の物件検索ページで「ローン可」というフラッグがたっている個別案件を探すか、サーチ機能から「アプラスが利用可能な物件」「銀行融資紹介可能物件」などを選べば一発検索が可能です。
それでは、それぞれの金融機関の特徴を説明していきましょう。
日本政策金融公庫(通称、公庫)
- 金利が安い(1%台の金利も可能,1%~3%)
- 非化石エネルギー関連事業への融資制度あり(最大は7200万円まで)
- 一方、書類関係は煩雑
- 手続きにも、時間がかかる
- 返済期間は20年以内
公庫は以前より審査が厳しくなって、難易度は上がりました。初めて利用する場合には追加担保や保証人を要求してくるかもしれません。
書類関係も一式必要で、事業計画書などが含まれます。しかし、なんといっても金利は一番低く融資枠も通れば大きいので、一度は近くの支店の相談窓口に行って、直接話をしてみることをお薦めします。
申し込みの際、公庫のどの支店を使ったらいいのかや種々の融資制度についても親切に教えてくれるはずです。 公庫は、融資検討の優先順位としては一番の金融機関ですが、手続きの時間もかかりますので難しそうならあまり引きずらないで、次に説明するノンバンクか地銀をあたっていくのが得策かもしれません。
経営力向上計画の申請で公庫の金利が更に下がる可能性があります。詳しくは以下の記事をご覧ください。
公庫の融資で金利が0.9%も下がる!経営力向上計画とは?ノンバンク信販系
- 金利は高めの2.5%前後
- 審査が早く書類も簡単
- 動産総合保険が一般的に付与される(10年限定)
- 融資期間は短めの15年
ノンバンク信販系は太陽光発電融資では一番使いやすい金融機関でしょう。 具体的にはアプラス、ジャックス、イオン、オリコ、セディナなどの信販会社です。 審査も比較的通りやすく、原則、担保も保証人も必要ありません。 融資額は一件当たり最大で2000万、元利均等15年の180回払いのところが多いです。 これは、ソーラーローンというパッケージ化された商品になっていますので、一定の条件を満たせば審査がおります。 勤続年数のあるサラリーマンならまず問題はないでしょう。 しかし、金利は他よりは高めですので利回りを重視した物件探しが重要になってきます。
また、繰上げ返済が可能で手数料もかかりませんので、とても使い勝手がいいローン商品です。 さらに、一般的には10年程度の動産総合保険が付帯されてきますので、ここも大きなメリットの一つです。 補償内容は確認する必要がありますが、個人が単独で加入すると年間5万円程度の出費ですから、その分、保険費用の節約ができます。 それから、アプラスのソーラーローンの場合は、Tポイントが貯まり、2000万の借入れだと10万円分のポイントが付与されます。
アプラス担当者インタビュー
【アプラス】Tポイントも貯まるソーラーローン【メガ発インタビュー】
ジャックス担当者インタビュー
株式会社ジャックス【メガ発インタビュー】
各信販会社別の審査方法
アプラス審査方法
【個人の場合】
・直近1年の源泉徴収
・印鑑(認印可)
【法人の場合】
・2期分の決算書
・会社印
・法人情報記入欄について、会社ゴム印での代用可能
【法人で2名の保証人を立てる場合】
①保証人に代表者様の署名捺印
②2枚目を用意し、保証人欄を記入(法人情報も同じように記入する)
③2枚上下で割り印をする(法人の印、代表者様の印、保証人様の印の3つ)
・2期分の決算書
・保証人2名の直近1年の源泉徴収
■金利
2.5%
■アプラス付帯保険
動産総合保険:10年
機械保険:1年
■その他メリット
Tポイントが付く(※業者、案件によります)
■備考
売買、地上権、賃借権それぞれ融資可能。
※地上権、賃借権は業者による。
ジャックス審査方法
【個人の場合】
・直近1年の源泉徴収または確定申告書
・印鑑(認印可)
【法人の場合】
・2期分の決算書
・会社印
【審査の内容次第で連帯保証人が必要な場合】
・連帯保証人の直近1年の源泉徴収または確定申告書
・印鑑(認印可)
【土地について】
原則、土地売買のみ。地上権、賃借権は販売店による。
【金利】
2.2%
【融資額上限(目安)】
3000万円程度
■その他メリット
繰り上げ返済時の手数料が0円(他信販会社も繰上返済時の手数料が0円かどうか確認する必要あり)
■備考
本人確認書類は原則不要(日本国籍でない方は在留カードが必須)
■担保設定型ソーラーローンについて
【個人の場合】
・抵当権設定契約書(署名・捺印を頂いたもの)
・登記委任状(署名・捺印を頂いたもの)
・印鑑証明書1通(登記申請時点で発行後3ヶ月以内)
・本人確認資料(運転免許証写し)
【法人の場合】
・抵当権設定契約書(署名・捺印を頂いたもの)
・登記委任状(署名・捺印を頂いたもの)
・印鑑証明書1通(登記申請時点で発行後3ヶ月以内)
・資格証明書1通(登記申請時点で発行後1ヶ月以内)
・法人代表者本人確認資料(運転免許証写し)
イオン審査方法
【個人の場合】
・社員の場合直近1年の源泉徴収
・自営業の場合直近2年の源泉徴収
・印鑑(認印可)
【法人の場合】
・会社印
■金利
2.1%~2.5%
■付帯保険
動産総合保険:10年
■上限金額
3,000万円
セディナ審査方法
【個人の場合】
・確定申告書 or 源泉徴収票 2年分
・申込書(認印可)※口座記入欄に銀行印必要
【法人の場合】
・確定申告書 or 決算書 2期分
・申込書(ゴム印可能)※複写の為、ゴム印の場合すべてに押印
その他、業者側からパネルレイアウト、契約書、見積書、シミュレーションを提出
■上限
2,000万円(土地代除く)
■付帯保険
なし
◇保証人・担保
利用者の属性によっては必要になる場合あり
地銀や信金
- 金利はいろいろ。
- 不動産投資や事業で既に関係があれば有利
- 融資期間や追加担保などは交渉次第
- 物件の地域によっては制限あり
メガバンクは太陽光発電融資にあまり積極的ではないですが、地銀や信金の場合には、まずは話に乗ってくれる可能性が高いです。 しかし最近は、個人向けアパートローンに急ブレーキがかかり、太陽光発電の融資も以前より保守的な審査をしてくることが予想されます。 ただ、地銀・信金ローンは、原則、個別交渉ベースですので、不動産の追加担保に対応できる余裕のある人や個人事業で実績がある人には有利でしょう。 地銀・信金は地域金融ですので、物件の所在地がエリア外だったりすると難しいことがあります。まずは、販売業者に、その地域で融資実績のある地銀を聞いてみましょう。
また、一部の地銀では、ABL(債権・動産担保融資)という特殊なローンを扱っています。
太陽光発電投資でも利用できるABLとはどんなローン?
簡単に説明すると、一般のローンは不動産を担保にしての貸出しになりますが、ABLの場合は発電システムという動産と将来の売電債権を譲渡担保に取っての貸出しになります。 この動産担保と債権担保に関する書類作成には弁護士が関与するので、結構な費用がかかってしまうことが欠点です。しかし「融資枠がいっぱい、でも2基目の発電所を買い増したい」そんな方には最後の頼みとなる融資商品でしょう。
ABL(債権・動産担保融資)の特徴
- 融資枠を使い切り、不動産担保に余裕がない方に
- 扱っている金融機関が非常に限られている
- 書類作成にかなりのコストがかかる
太陽光発電ローンを組む前に知っておきたいこと
太陽光発電ローンを組む前には、いくつかの重要なポイントを理解しておく必要があります。
金利相場や返済期間が収益計画にどう影響するか、金融機関が審査でどのような点を重視するのかを把握することは不可欠です。
また、団体信用生命保険への加入の要否や、ローン契約における注意点、そして申し込みから融資実行までの具体的な流れを知ることで、スムーズかつ計画的に資金調達を進めることができます。
これらの知識は、リスクを管理し、投資の成功確率を高めるために役立ちます。
太陽光発電ローンの金利相場と返済期間
太陽光発電ローンの金利相場は、利用する金融機関によって大きく異なります。
一般的に、日本政策金融公庫では1%台、地方銀行や信用金庫では2%前後、信販会社のソーラーローンでは2%から3%台が目安となります。
金利は申込者の信用力や物件の担保価値、自己資金の割合などによって変動します。
返済期間は、固定価格買取制度(FIT)の買取期間に合わせて設定されることが多く、産業用であれば最長で20年程度の長期ローンを組むことが可能です。
長期で組むことで月々の返済額を抑えられますが、総支払利息は増加するため、収支シミュレーションを基に慎重な計画が求められます。
太陽光発電のローン審査でみられるポイント
太陽光発電のローン審査では、主に「個人の属性」「自己資金」「事業計画・物件の収益性」の3点が総合的に評価されます。
個人の属性としては、年収、勤務先、勤続年数、既存の借入状況といった返済能力と、過去の延滞履歴などを含む信用情報が確認されます。
自己資金は、購入価格に対してどの程度の割合を準備できるかが問われ、割合が高いほど審査上有利です。
事業計画では、発電量シミュレーションや収支計画の妥当性、物件の立地条件、使用する機器の信頼性などが精査され、長期的に安定した収益が見込めるかが重要な判断基準となります。
団体信用生命保険(団信)への加入は必要?
団体信用生命保険(団信)は、ローン契約者が死亡または所定の高度障害状態になった場合に、生命保険会社がローン残高を支払う保険です。
太陽光発電のような事業用ローンでは、住宅ローンのように加入が必須とされるケースは少なく、任意加入が一般的です。
加入するメリットは、万が一の際に家族へ負債を残さずに済むという安心感です。
一方で、デメリットとしては、保険料の負担が発生し、金利に0.2%~0.3%程度上乗せされることが多く、総返済額が増加します。
自身の健康状態や家族構成、万が一のリスクに対する考え方などを総合的に考慮して、加入するかどうかを判断する必要があります。
太陽光発電ローンを組む際の注意点
太陽光発電ローンを組む際には、いくつかの注意点があります。
まず、販売会社が提示する収益シミュレーションを鵜呑みにせず、天候不順による発電量低下や、経年劣化による発電効率の低下といったリスクを考慮に入れるべきです。
また、金利負担だけでなく、固定資産税、メンテナンス費用、パワーコンディショナの交換費用、各種保険料といったランニングコストも収支計画に含める必要があります。
さらに、繰り上げ返済を検討する際は、手数料の有無や条件を事前に確認しておくことも重要です。
これらの要素を総合的に検討し、無理のない返済計画を立てることが求められます。
太陽光発電のローン申し込みから融資実行までの流れ
太陽光発電ローンの申し込みから融資実行までの一般的な流れは、まず販売会社を選定し、購入したい物件を決定することから始まります。
次に、販売会社提携の信販会社や、自身で選んだ銀行、公庫などの金融機関に融資の相談を行い、仮審査を申し込みます。
仮審査が承認されると、身分証明書、収入証明書、物件の見積書、事業計画書などの必要書類を提出して本審査に進みます。
本審査の承認後、金融機関との間で金銭消費貸借契約を締結し、契約内容に基づいて指定の口座に融資金が振り込まれ、その資金で物件の決済を行う、という手順で進みます。
ローンを組んだ場合と組まない場合では収益にどれくらい差が生じる?
ローンを組んだ場合なんといっても気になるのが、返済額を払ったあとに手元にいくら残るかということでしょう。 個人投資家の典型的規模の発電所を前提にキャッシュフローをシュミレーションしてみます。
まず、次のような投資物件を考えてみます。投資は、サラリーマンが個人事業主として行い、消費税は免税事業者扱い、所得税はここでは考慮しないことにします。
| 物件価格 | 2,200万円(土地代金は含まず) |
|---|---|
| 利回り | 10% |
| 年間の予想売電金額 | 238万円(消費税込み) |
借入は、金利が高めの信販ローンを仮定してみましょう。
| 融資金額 | 2,000万円(ローン上限額) |
|---|---|
| 条件 | 金利2.4%・期間15年・元利均等払い |
| 年間の返済金額 | 158万円 |
年間の経費支払い合計:38万円
| 経費の内訳 | |
|---|---|
| 償却資産税 | 20万円 |
| 設備メンテナンス契約 | 12万円 |
| 監視装置通信費 | 4万円 |
| パワコン電気代 | 2万円 |
| その他 (土地の固定資産税や賠償責任保険等) | 2万円 |
償却資産税は17年間にわたって払いますが、その税額は毎年逓減していきます。ここでは、3年目の税額を想定しています(初年度26万円、3年目20万円、5年目15万円、10年目8万円)。また、保険費用のほうですが、信販ローンを仮定しましたので、メインの火災保険は付帯されているとしています。
シュミレーションの結果
- ローンを組んだ場合、3年目の手取りは年間42万円、月にして3.5万円。
- 償却資産税が年々下がっていくので、手取り金額は毎年少しずつ増えていく。
- 初年度は36万円、3年目が42万円(上記)、その後は5年目47万円、10年目54万円。
- ローン返済総額は15年で2,384万円(金利の支払い総額は384万円)。
- ローンを組まなかった場合、3年目の手取りは年間200万円、月にして16.7万円。
ローンを組むと毎月の手取りは3年目で3.5万円となりました。ローン期間が15年と短いのに加え、ほぼフルローンですので、やはりキャッシュフローに占める返済比率は高めになります。ローンを完済したあとにやってくるゴールデンタイムを楽しみに、それまでは安定した副収入を得るというイメージになります。もちろん、15年が長すぎると感じられる方もいるでしょう。その場合には、毎年の余剰キャッシュフローを繰上げ返済に回し、毎月の手取りを希望するレベルにもっていくようにすればいいでしょう。
それから、15年の返済は総額で2384万円になります。金利部分で384万円も払うことになりますが、金利は税務申告では経費算入ができますので、その分、税金は軽減されるということも覚えておきましょう。
太陽光発電ローンは借り換えも検討しよう
太陽光発電ローンの返済中でも、より有利な条件のローンに乗り換える「借り換え」は有効な選択肢です。
借り換えの最大のメリットは、現在よりも低い金利のローンに変更することで、月々の返済額や総返済額を削減できる点にあります。
市場全体の金利が低下している時期や、自身の信用状況がローン契約時よりも向上した場合などは、借り換えを検討する良いタイミングです。
ただし、借り換えには新たな融資手数料や保証料、登記費用などの諸経費が発生するため、これらのコストを考慮してもメリットがあるかどうかを慎重に試算する必要があります。
まとめ
最後にローンを組むメリットとデメリットをまとめてみました。
太陽光発電投資における融資のメリット
- 手持ち資金が少なくても始められ、レバレッジ効果で2000万クラスの投資が可能。
- 期間限定の固定価格買取制度に、機会を逸することなく参加できる。
- 融資が付きにくい他の投資や、キャッシュが必要な投資に資金をまわすことができる。
- ローン金利は税務上の経費。その分、課税所得を減らし税金を少なくする効果がある。
太陽光発電投資における融資のデメリット
- 返済比率は比較的高くなるので、毎月の手取りは限定される。
- 繰上げ返済をしない場合、金利は総額で数百万払うことになる。
ローン期間は15年というような長期でそれなりの金額ですから、借り入れたあとに、繰上げ返済をしていくとか、金利状況をみて金利の低いローンへの借り換えなど、その後の負債戦略を検討していくことも大切なことになってきます。
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