太陽光発電システム(パネル・パワコン)の寿命は20年間持つのか?【耐用年数】
全量買取の太陽光発電投資では発電した電気を電力会社が20年間は買い取ってくれます。しかし、そもそも太陽光発電設備の寿命は20年間持つのでしょうか?今回の記事では、太陽光発電は法的にはどのくらい持つと考えられているのか、また、実際にはどのくらいの期間壊れずに動くのかを見ていきます。
まずは太陽光発電設備が法律で何年くらい利用に耐えれると考えられているのか、見ていきましょう。
目次
太陽光発電システムの法定耐用年数とは
太陽光発電設備の法定耐用年数を見ていく前に、「法定耐用年数」の意味を確認しておきたいと思います。
法定耐用年数とは
法定耐用年数を簡単に説明すると、時間の経過によって価値が減っていく減価償却資産がどのくらいの期間、利用に耐えれるのかを法律で定めたものです。そのため、法定耐用年数はその資産が壊れるまでの期間(平均寿命)ということではなく、経済的に価値のある期間だと言えます。
ちなみに「減価償却」とは、減価償却資産を取得するのにかかった費用を使用可能期間の全期間で毎年、必要経費として配分していく手続きのことです。つまり、基本的に減価償却資産を取得した時に費用の全てを一回で減価償却することはできないということですね。
太陽光発電の耐用年数は17年
太陽光発電設備の法定耐用年数については国税庁のホームページでは下記のように説明されています。
減価償却費の計算上、太陽光発電設備は、太陽電池モジュール、パワーコンディショナーなどが一体となって発電・送電等を行う自家発電設備であることから、一般に「機械及び装置」に分類されると考えられますので、照会の場合、その耐用年数は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令別表第二の「55 前掲の機械及び装置以外のもの並びに前掲の区分によらないもの」の「その他の設備」の「主として金属製のもの」に該当し、17年となります。
つまり、減価償却を行う場合の太陽光発電設備の法定耐用年数は17年ということになります。
実際の太陽光発電各設備における耐用年数
減価償却を計算する上で重要な経済的な価値としての法定耐用年数が分かったところで、次は実際に太陽光発電設備はどのくらい持つのか、寿命をみていきましょう。
太陽光パネル・モジュールは20~30年が寿命?
最近では太陽光パネル(モジュール)の出力保証は25年や30年が多くなってきており、一般的に20~30年は持つと言われています。また、40年以上持つという見解もあるくらいで、耐久性はかなり高いと言えます。
というのも、モーターなどのようにずっと可動する部分が太陽光パネルにはないため、壊れにくいという特徴があります。それでも、太陽光の熱だったり、強風や雨、雪などによってダメージは受けるので、少しずつ劣化は進んでいくでしょう。
30年以上稼働している太陽光発電設備
2012年に固定価格買取制度が始まってから投資用の太陽光発電設備は急激に増加しましたので、実際に20年間動き続けた実例というのがまだ、ほとんどありません。
そんな中、京セラが1984年に設置した太陽光発電設備が30年以上経った今でも発電し続けているという例があります。
(引用:日経BP「<第5回>京セラの“こだわり”|メガソーラービジネス」)
京セラは定期的に出力を計測しており、設置してから25年目に出力を計測したところ、出力低下率は9.6%だったそうです。現在でも20年で10%ほどの出力低下があると言われているため、30年前のパネルということを考えると、かなり優秀な数字だと言えます。
近年の太陽光パネルは30年前よりも性能は上がっていることを考えると、現在稼働している太陽光パネルは30年以上持つ可能性は十分にあるでしょう。。
パワコンの寿命は10年ぐらい
パワコン(パワーコンディショナー)の寿命は一般的に10~15年とされています。パワコンは電化製品のようなものなので太陽光パネルと比べると寿命は短く、故障も多いです。そのため、20年間売電するのであれば1度はパワコンを交換するにことになります。
パワコンの保証期間は10年となっていることが多いですが、メーカーによっては有償で20年に保証期間を延長することもできます。
保証期間は10年程度が多いので、この期間内であれば、修理や交換を行ってもらえます。
(引用:経済産業省 資源エネルギー庁「太陽光発電フィールドテスト事業に関するガイドライン基礎編(2013 年度版) 」)
資源エネルギー庁の調べでは、パワコンを設置後、修理が最も多くなっているのは9年目で、交換が最も多くなるのは12年目となっています。
パワコンについて詳しくはこちら
太陽光発電でよく耳にするパワーコンディショナー(パワコン)って何?
各メーカーも保証に力を入れてきている
10kW未満の住宅用の保証は、モジュールが10年~25年、パワコンなどの周辺機器は10年というのが各メーカーの保証期間となっています。10kW以上50kw未満の産業用の場合、モジュールの保証期間は住宅用と差はありませんが、周辺機器は1年保証のメーカーもあり、設置を検討している方にとっては心配な一面もあるかと思います。
ただ、2013年からは東芝が50kW未満の太陽光発電システムを対象に、モジュール20年・機器15年の『パワフル保証』を、シャープは住宅用20kW未満、集合住宅50kW未満の対象に、システム構成機器の『まるごと15年保証』のサービスを始めています。どちらのサービスも有償にはなりますが、万が一のトラブルの時には安心できる環境が整いつつあります。各メーカーがどのような保証をつけているかは見積もりを依頼する施工業者に確認するようにしましょう。
メガ発メンテナンス
パネルメーカー別の保証内容一覧施工会社の保証、アフターサービスも確認しよう!
メーカーとは別に、施工会社が独自に補償をつけている場合もあります。雨漏りなどの施工保証10年、自然災害10年などです。また定期点検やモジュールの清掃など、アフターサービスに力を入れている業者もあります。業者ではどのような保証やアフターサービスを行なっているのか、引き合いの段階で相談しておきましょう。
民間の保険も活用しよう!
火災、落雷、台風など、自然災害は、補償の対象となる範囲がメーカーによって異なります。オリコでは太陽光発電システム総合補償制度として、加盟店向けに『陽光発電システムの設置工事に関する補償』、購入者向けに『台風・火災等の自然災害に対する補償』サービスを提供しています。
また、ほとんどの施工会社は個別に保険会社に加入しています。万が一入っていない場合は、充分な補償が受けられない可能性があるため、問い合わせや見積もりの段階で確認しておくと安心です。
パワコン関連記事
太陽光発電所のパワコン交換について
ヒラソル・エナジーのリパワリングってどうなの?
太陽光発電所のリパワリングとは
太陽光発電所のリパワリングに関する『よくある質問』をヒラソル・エナジーさんにご回答いただきました。
保険に関してはこちらもご覧ください
太陽光発電の損害保険と補償を徹底解説【台風・地震はメーカー保証の対象外?!】